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第6話:最強の武具と、力を増す二人

アルセイン王国の繁栄は、

とどまるところを知らなかった。

私の前世の知識と、

レオニス王子の魔力。

そして、私の魔法陣の組み合わせ。

それは、奇跡を起こし続けた。


食料の増産は軌道に乗り、

余剰分は周辺国へ輸出された。

貧しかった王宮は潤い、

新しい魔導具の導入も進んだ。

灌漑システムが稼働し、

国土の隅々まで水が行き渡る。

人々の生活は、劇的に向上した。


私は、メイドの身分でありながら、

いつの間にか、

王国の実質的な内政を担っていた。

皆が私を信頼し、頼ってくる。

「リディア様がいれば大丈夫だ」

その言葉が、私の誇りとなった。

かつて、アルフレッド王子に、

「無能」と突き放された私。

今、私は、確かにこの国で、

必要とされている。


王国の変化は、

周辺国に大きな衝撃を与えた。

特に、アルセイン王国で生産される、

高品質な魔導製品への注目は高かった。

中でも、魔導鍛造で作られた、

武具の噂は瞬く間に広まった。


この武具は、

レオニス王子の魔力を、

直接金属に流し込むことで生成される。

私が魔法陣を設計し、

彼の魔力を正確に制御する。

そうして作られた武器や防具は、

従来のものを遥かに凌駕する強度と、

魔力親和性を持っていた。


私は、この魔導鍛造の技術を、

アルセイン王国の騎士団に応用した。

古びた鎧や、錆びた剣。

それらをレオニス王子の魔力で、

次々と強化していく。


「王子、ここに魔力を」

私が強化したい武具に触れ、

レオニス王子の手を導く。

彼の魔力が武具に流れ込み、

鈍い輝きを放ち始める。

まるで、金属そのものが、

生命を得たかのように。


騎士たちは、その変化に驚愕した。

「まさか、こんなに変わるとは!」

「以前とは比べ物にならない!」

彼らは、レオニス王子の魔力に、

畏怖と、尊敬の念を抱き始めた。

もう、誰も彼を「化け物」とは呼ばない。

彼を呼ぶのは「魔導王子の加護」だ。


レオニス王子は、

自身が作り出した武具が、

騎士たちの手で輝くのを見て、

満ち足りたような笑みを浮かべた。

彼の魔力が、誰かの役に立つ。

それが、彼にとって、

何よりの喜びなのだと、

私には理解できた。


しかし、彼の変化は、

それだけではなかった。

魔力伝達の最中、

彼は以前にも増して、

私への執着を見せ始めた。

それは、幼い彼の甘えとは違う。

もっと深く、強い感情。


「リディア、ここだ」

彼は私の手を自身の胸元に引き寄せた。

「心臓に近いほど、

僕の魔力は君へ深く、

完璧に伝わるんだ」

彼の言葉は、もはや無邪気ではなかった。

私の表情を探るような、

どこか挑発的な響きがあった。


彼の指先が、

私の胸元に触れる。

布越しに伝わる、彼の熱。

そして、その奥から響く、

力強い心臓の鼓動。

全身に、熱い魔力の奔流が流れ込む。

私の心臓が、激しく脈打った。

羞恥と、抗いがたい快感。


「っ……レオニス様…っ!」

私は思わず、息を呑んだ。

顔が熱くなり、

視線を逸らそうとする。

しかし、彼の蒼い瞳は、

私の反応を逃さない。

満足げに、そして甘く微笑む。


「大丈夫だよ、リディア」

「君は僕の傍にいればいい」

彼の声が、耳元で囁かれる。

「僕が、君の全てを受け止めるから」

彼の魔力が、

私の体を完全に満たしていく。

まるで、私の意志ごと、

彼に掌握されていくような感覚。


私は、彼の魔力で、

騎士たちに強化魔法を施した。

騎士団全体が、

驚異的な力を身につける。

アルセイン王国は、

経済だけでなく、

軍事力においても、

周辺国にとって、

脅威となり始めていた。


私とレオニス王子は、

この国の基盤を、

根底から変えつつあった。

その力は、最早、

私の出身国をも凌駕する勢いだった。

レオニス王子は、

私が魔法を発動するたび、

私の腰を強く抱きしめる。


「リディア…」

彼の声が、低く響く。

「君がいれば、僕の力は無限だ」

その言葉は、

私への絶対的な信頼であり、

同時に、彼自身の私への、

深すぎる執着を表していた。


夜、一人になった時。

私は窓の外を眺めた。

かつては荒れ果てていた王宮。

今、そこには、

灯りが温かく瞬いている。

私は、この全てを、

レオニス王子と共に築き上げた。


しかし、その代償のように、

私の心は、彼の存在に、

深く、深く、囚われていく。

抗いがたい甘い支配。

それが、私の新たな現実だった。

そして、私は、

その現実を受け入れ始めていた。


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