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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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よんじゅーはち



色々とあった騒動も落ち着き、エセル先輩達が取れているというグループ配信部屋に移動。

違う配信部屋に初めて入ったけど、機材の数は同じでも部屋の雰囲気が違ってびっくり。

こっちは畳敷きの和室風で、真ん中にある大きなテーブルは冬にはこたつになるそう。鍋パ配信とかもあったんだとか…。

それに、もう少ししたら寒くなるからこたつは嬉しい。でも、あったらあったで寝ちゃいそうだけど…。

うちも冬にはこたつを出すけど、ついつい居眠りしちゃうんだよね。それでだいたい風邪を引く。


一人別の部屋になるメルティ先輩は最後までふてくされていたけど、早いものがちというのがここのルールらしく、渋々個人配信部屋へ向かわれた。



エリーゼ先輩とヴィオラさんは既に配信してるから、なるべく静かに用意をして…。

配信をスタートさせたら直ぐにアルガードのみんなが来てくれた。みんな待っていてくれたみたい。

「お待たせしてごめんなさい。直ぐにゲームも始めますから…」

コメントを見ていたらクレープの話題もあって、みんな先輩方の上げた写真を見て知ったそう。

「うん? ああ! もちろんサラダやソーセージのも作ったよ。甘いのばかりだと嫌になるだろうからね」

だいたいどこのクレープ屋さんにもあるイメージ。こよみがクレープ好きだから、出かけると付き合って一緒に行くことが多いんだよね。

そのときに色々と食べてるからバリエーションは知ってる。こよみは期間限定のとかに毎回食いつくけど、僕はいつもチョコバナナ。

これには理由があって、こよみが買った期間限定のがハズレだった時に交換してあげるため。

僕もこよみも一番好きなのがチョコバナナだから。こよみが美味しくないって言ったものはもれなく僕の口にも合わないんだけど、そこはね?兄としてのちっちゃなプライドがある訳で…。


「僕が一番好きなクレープ? 一番定番のって言えばわかるかな?」

みんな当るよね。安心して食べられる味だし。


「じゃあそろそろゲームにいくよー」

ゲームに画面を切り替えると、当たり前だけどログアウトした鍛冶場。時間は夜かな。外が暗い。

直ぐにボックスを確認すると結構減ってる…。代わりにリサイクルボックスには壊れたものを入れてくれてあるから直しておこう。

先輩方が戦ってくれた証みたいなものだし、僕にできることをしないとね。


聞いた話だと地上側の拠点も取り戻したし、地下にまで拠点を広げてあるって言ってたから…。

でも比例するようにゾンビも強化レベルが上がってて、しかもマリー先輩っていう指揮官がいるのがマズイんだって言ってた。

今のところマローネさんの動きもないみたいで、先輩方はマリー先輩の隠れている場所を特定しようと昼間も動き回ってるのだけど、地下や木陰みたいな日の当たらないところは当たり前にゾンビたちが活動しているからなかなか難しいんだとか…。


僕にできるのは武具の補充と食料を絶やさないようにするくらい。戦いに行けたらいいのだけど、多分足手まといなんだろうなぁ。

何より戦いに行くのを先輩方が許してくれないから。アルザードが活躍してくれているのがせめてもの救いかな。

夜が明けたら呼び寄せて、食べ物をたくさん持たせてあげないと。ダメージを受けた時に食べるものがないと回復できないらしいから。


明るくなるまでに色々と補充も済ませ、日が昇ったタイミングで先輩方も一斉に拠点へと帰還された。

今のうちにアルザードに食べ物を持たしておいてあげよう。

呼び戻して持ち物を見たら、かなり食べ物が減ってる。

「ごめんね…。戦いを任せっきりで。ありがとう」

たくさん食べ物を持たせてあげて、少し休んでもらおうかな…。


アルザードが急にキョロキョロとし始めて何かと思ったら、マローネさんのフレンドリーファイアが急降下してきて…。

先輩方は武器を構えて迎撃態勢になったけど、フレンドリーファイアは攻撃とか一切ぜずにアルザードの隣に降りてきた。

「どうしたの?」

アルザードも警戒してる感じはしないけど…。あっ、もしかしてお腹空いてる?

ずっとマローネさんの所に帰れなかったから仕方ないか。

食べ物くらいは渡してあげられるはずだと思い、フレンドリーファイアの持ち物にお肉を…。

コレなんだろ。なにより、まだ食べ物はたくさん持ってた。


「アルジェちゃん! 大丈夫!?」

「パルム先輩! 僕は平気です。でも、フレンドリーファイアがなにか持ってて…」

「うん?」

僕ではわからないから先輩に見てもらった方がいいよね。本みたいなアイコンだったけど…。


「なるほど…。私はみんなに知らせてくるね」

「え…はい…」

パルム先輩は本みたいなアイテムを僕に向かって投げた後、走り去った。

どういう事だろう?


「これ、なんのアイテムがわかる?」

アルガードの皆に聞いたら使い方を教えてくれて…。

手に持っていつものアイテムのように使用したら本が開かれた。

“リアル時間、ヒトヨンマルマル時。反抗開始。呼応されたし…“

えーっとヒトヨンマルマルって14時だよね。今は12時半だから…あと1時間半。

反抗っていうのはつまり、マローネさんがマリー先輩を裏切るって意味でいいんだよね?恐らくソフィリナ先輩もだと思う。

呼応って言うのはそのタイミングでこっちも攻勢に出てほしいって事かな?

それにしても、なんでこんな密書みたいな文章なの?ちょっとかっこいいけど…。


僕の解釈が合ってるのか、アルガードの皆と話していたらメルティ先輩と勇者様達も集まってきて…。

「アルジェちゃん…本見せてくれる…?」

「はい!」

メルティ先輩に本を渡したら、”うーん“と唸りながら見てて、ポイッと他の先輩方にも次々と本が渡り…。


「どう思う…?」

メルティ先輩は勇者様達、つまり4期生の先輩達を集めて会議を始められた。

「罠の可能性も捨てきれませんが…」

「ですわね…。前もって渡しておいたというのが胡散臭いですわ」

「アトラが偵察に行ってくれたからその報告を待ってからでも遅くはないかと」

「同じチームのピノ先輩に連絡はないんですか?」

「今のところないみたい…。そもそも自我のあるゾンビになれてるとはいっても、チーム間の通話ができるのかは正直わからない…」

「マローネはそこまで見越した上でこのメッセージをもたせたと考えるのなら、信じていいのでは?」

「でも、これを信じて全戦力をぶつけて罠だったら終わりですわよ?」

「今はアトラを待ちましょう。まだ時間はありますし…」

「ん…。じゃあ戻るまでに実戦部隊を集めといて…。揃ったら多数決取る…」

「わかりましたわ」

勇者様達は情報を伝えるために走っていかれた。


「アルジェちゃんはどう思う…?」

一人残られたメルティ先輩にそう尋ねられて僕は即答した。

「信じていいと思います…。最後にあった時のマローネさんの声は本気でしたから」

「ん…わかったよ」

メルティ先輩は優しい声でそう言ってくれて。

「アルジェちゃんも最後の戦いは一緒に行こう…?」

「いいんですか!?」

「もちろん…。守るから安心して。それまでに武器とかよろしくね…?」

「わかりました!」

足手まといになるかもしれない、でも…少しくらい僕だって役に立ちたいから!



暫くして…。


空中拠点に集まったメンバーにメルティ先輩が今後の予定を説明。

アトラ先輩の偵察の結果、マリー先輩の居場所も判明したのだとか。

今は地上拠点から程近い森の中に集まっているそう。

多数いるソンビの中から発見できた理由は、マローネさんが持ち出した武具を何人かのゾンビが装備していたから一目瞭然だったらしい。

お陰で地下からトンネルを掘って背後を取ることも可能なんだとか。


そんなわけで多数決の結果、マローネさんを信じて14時に全戦力を持ってマリー先輩率いるゾンビ軍団と戦うことになった。

既に背後を取るチームはトンネルを掘り進めているし、僕も装備や食料などを沢山用意した。


真正面からぶつかるのはメルティ先輩を中心に、勇者様達。

僕やパルム先輩、ピノ先輩もこちら側。

地下チームはサシャ先輩がリーダーになって3期生の先輩達や、ヴィオラさんもそちらに参加してる。


14時少し前、フレンドリーファイアが突然飛び立っていき、それを合図の様に僕達も地上へ降りた。

アルザードには空からの援護と、もしもの時はフレンドリーファイアを手助けしてもらうように頼んである。

細かく指示できるのすごいよね。今日でお別れになるのが寂しいよ…。


「動いた…!」

拠点を囲む塀、その上に建てられた見張り台の上にいるメルティ先輩の声に全員が武器を手に戦闘態勢へ…。








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