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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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番外編 クリスマス配信

本筋と時系列が違いますがご了承ください。



12月24日。

世間で言うところのクリスマスイヴ。

去年までなら、お母さんとご馳走を作り、家族とケーキを食べて過ごしていたのだけど。

今年は違う。会社に行かなくちゃ…。


「お兄ちゃん、いつもみたいに一緒に過ごそうよ! ね?」

「無理だって…。そもそもアルジェのキャラ設定を決めた”ママ“でもあるこよみが何を言ってるの?」

「あーーもう! あの時の自分を殴りたい! 銀色の髪…銀といえば雪…雪といえばクリスマス! とか連想してアルジェちゃんの誕生日を12月25日にしたせいで!」

あーそういう理由だったのか。確かに雪景色とか”一面の銀世界“って例えるもんね。


「やぁだぁーそれなら私も行くー!」

「別にいいけど…」

「いいの!?」

「お母さん達にはちゃんと許可貰ってね」

「わかった!!」

こよみだって正式に契約してる社員の一人ではあるんだから、会社に入ってはいけないなんてことは無いんだし。

元々こうなるかな?って思って社長ちゃんには許可をもらってる。出された条件は“保護者の同意を得ること“ってだけだったもの。


「おっけーだって!」

即スマホでお母さんに連絡したのか。いい笑顔だこと。

「じゃあ行こうか。先にひろみ姉さんの所に寄るから」

「そうなの?わかった!」

ひろみ姉さんの事だから、クリスマスだーとかいって部屋でお酒飲む気だろうし。

食べ物を用意しておかないとお酒とおつまみだけで過ごしそうだもん。それに、プレゼントも置いてきたい。

初めて自分で稼いだお金で渡せるんだから。

当然、両親へのプレゼントは家に置いてきてる。


電車で一時間。駅からは歩き。最近は通いなれた道をこよみに腕を組まれて歩く。

嫌がると不機嫌になるから諦めた…。通りすがったお婆ちゃんに”仲良し姉妹ねー“とか言われたのはもうね…。



ひろみ姉さんのマンションは僕の所属している会社のビルから徒歩数分。

「最近は毎週のようにお兄ちゃんが寄ってるんだっけ」

「うん。お世話になったってのもあるし、ほっとくとろくな物食べてないから」

「だろうねー。女子力皆無だもんね、ひろ姉ってば」

仕事はできる人なんだろうけどね。それで忙しくて手が回らない〜とかなら仕方ない気もする。


預かったままのキーカードでマンションに入り、家で用意してきた料理を冷蔵庫に。

「キレイにしてるね。まあお兄ちゃんのお陰なんだろうけど」

「あはは…」

一度、僕が忙しくて毎週来てたのが一週間飛ばした時に大変なことになってたのは黙っておこう。

部屋もひろみ姉さん本人も見るに耐えない状態だったから。


洗濯物をしている間に掃除をして、テーブルにプレゼントを置いて…。

「ひろ姉には何を買ったの?」

「…秘密」

「えー! いいじゃん、教えてよー」

絡むこよみをあしらい、洗濯物を乾燥させてマンションを出る。

ひろみ姉さん本人がまだ中身を知らないのに教えたらつまらないじゃない。


文句を言いながらも腕を組むのをやめないこよみ。

「すぐ会社だから」

「うん。わかってるよ?」

離す気はないんだね。遊びに行くわけじゃないんだけどなぁ…。


会社に入り、受付のお姉さんに挨拶。いつもなら顔パスでも大丈夫なんだけど今回は社員証を見せる。

こよみを見て案の定びっくりしてるし。当たり前だよね。

「こよみも社員証見せて」

「あ、そうだね!」

「確認しました。アルジェさんのママさんでしたか。お話は社長ちゃんから伺っています。アルジェさん、お部屋はいつもの場所をお使いください」

「ありがとうございます」


上階へ向かう為にエレベーターホールへ。会社に宿泊になる時は毎回同じ部屋を使わせてもらってるから慣れたもの。

下から上がってくるエレベーター。なんか嫌な予感がするなぁ…。

「こよみ、そろそろ本当に離れて」

「やだっ」

明確な拒否ですか。はぁ…。懐かれて悪い気はしないんだけど、15歳と16歳の兄妹でどうなの。


チーンとエレベーターの到着音。開く扉。

降りる人がいるかもと離れてたけど、誰も降りては来なかった。

中にも誰もいない。ホッとして乗り込み、目的の階のボタンを押す。


「広い部屋なんだよね! 楽しみ」

「本当に同じ部屋でいいの?マネージャーの紲さんもいるから、寝室足りないんだけど」

「お兄ちゃんと同じベッドでいいよ。久しぶりだよね、一緒に寝るの!」

なんで嬉しそうなのかなぁ。


部屋に入ると紲さんが待っててくれたから挨拶。

紲さんはこよみと面識があるから特に問題はなく…。

「本日の予定を確認させていただきますね」

「お願いします」

今夜がクリスマスイヴな上に、明日がアルジェの誕生日なのもあり、夜から日付を跨いでの配信を予定してて、使う部屋はグループ配信部屋。

これには理由があって…。

「司会進行はパルムさんがしてくださいます。他の方々も各々イヴ配信の後、順番に部屋へ来てくださる予定になっています」

先輩方も殆どの方が今日は会社に来ておられて、お祝いを云うために顔を出してくださる予定だから…。会社にいない方も通話で参加してくださるって聞いてる。


「……何かご質問はありますか?」

「大丈夫です。ありがとうございます」

「では、予定の時間まではのんびりしてくださいね」

紲さんは他にも予定があるからと急ぎ足で部屋を出ていった。いくつか案件も来てるって話だし、仕方ないね。


こよみと二人、夕食の仕度をして…。

普段なら先輩が来てくれそうなものなのに、誰も来ない。珍しいなぁ。

あ、みなさんイヴ配信してるからか!


食後にこよみはパッド端末で何か作業してて…。

「何してるの?」

「ほら、今日アルジェちゃんの新衣装のお披露目もあるでしょ?その最終確認」

そうだった。でも僕はまだ見せてもらえてないんだよね。



配信開始の少し前に紲さんが迎えに来てくれた。

紲さんにも手伝ってもらい、大きな紙袋を抱えてグループ配信部屋へ。

こよみは部屋でお留守番。ここから見ててくれるそう。


「アルジェさんこちらを…」

移動しながら紲さんに見せてもらったスマホ。パルム先輩の配信画面…?

「既にグループ配信部屋で配信を開始しておられます。主役のアルジェさんは時間になりましたら参加してください」

「わかりました」

パルム先輩はご自身のイヴ配信をされた後、そのまま僕の誕生日配信へと繋いでくれる事になってるからね。


予定の少し前にそっと部屋に入ると、気がついたパルム先輩が配信しながらも手を振ってくれた。

機材の用意をして準備万端。パルム先輩に頷く。

「みんなお待ちかね今日の主役の登場だよ! アルジェちゃんでーす!」

「こんばんわー。お待たせしました!」

僕の方でも同時に配信を開始したのだけど、あっという間に視聴者数が増えていく。


「クリスマスイヴだけど、アルジェちゃんはなにか思い出とかある?」

「そうですね…。家族でごちそうの用意をして一緒にケーキを食べた〜とかくらいでしょうか」

「アルジェちゃんは料理得意だもんね! あっ今ライン超えたコメントが見えたぞ! ”できない人ばっかりだもんなー“とかちゃんと見えてるからね! その通りなんだけど!」 

「あははっ。パルム先輩は思い出とかありますか?」

「そうねー。やっぱりこうやって配信してリスナーのみんなと過ごした事かな。毎年だもんね」


こんな感じに雑談をしながら時間が過ぎ…。

「アルジェちゃんのお誕生日まで…5、4、3、2、1… お誕生日おめでとう!」

「ありがとうございます。 みんなもお祝いありがとう。コメントがすごい速さで流れていきます!」

「あははっ。 と言うかコメント欄真っ赤だね!」

「はい…。みんな無理しないでね。気持ちだけで嬉しいので…」

赤色のコメント…これは高額のおひねりを意味する。それで埋め尽くされるとか、本当にみんな無理しないで…。


「私からはこれを」

「ありがとうございます! パルム先輩」

「お誕生日だからね!」

「僕からも…メリークリスマス、パルム先輩!」

持ってきた紙袋から、パルム先輩へのプレゼントを出して手渡す。

「えっ…うそ…」

「クリスマスですから」

「ありがとう…嬉しい…」

泣かれるとは思わなくてびっくりした…。

「こんなサプライズ、ズルいよ…。アルジェちゃんのお誕生日なのに…」

「クリスマスも年に一度のイベントですからね」

喜んでもらえたなら頑張って選んだかいもある。中身も気に入ってもらえるといいけど…。




「ごめんね、嬉しくて。 時間も押してるからそろそろ新衣装のお披露目にいこうか」

「はい! 実は僕もまだ見ていないので着るのが楽しみなんです」

一旦キャラを引っ込めて…

用意はされているし、切り替えもワンタッチなんだけどね。

「公開されてたのもシルエットだけだったからね。 ちょっと!? ”アルジェちゃんの生着替え見れるの羨ましい“とか言ってたの誰!? は?ピノ!? あいつなにしてんの…」

ピノ先輩は相変わらず発言がギリギリだなぁ。


「着替え終わりました!」

「じゃあおいでー」

キャラを画面の横からそーっと登場させる。

「おお〜。可愛い! 普段が大きめなパーカーとハーフパンツだから新鮮だね!」

確かに。デフォ衣装は男の娘設定の通り、体型のわからないような中性的な服装だから。

リアルとあまり変わらないのはこよみの仕業。


「アルジェちゃんのママからの解説も届いてるから読むねー」

「そうなんですか!?」

聞いてないよこよみ…。


「今回は、男の娘の”娘“の方を強調するためにスカートに。ロリータが一番似合うのはアルジェちゃん! ここは譲れないし異論も認めない! だって。ママからの愛が凄いね〜」

「そんなに似合ってますか…?」

「それはもう。コメント欄もそうでしょ?」

「ですね…」

可愛いって声で埋め尽くされてるなあ。わかってはいたけど、こよみのセンス凄い。


このタイミングで部屋に入ってきた人が…。はじめのゲストになる先輩だね。


「おっと…最初のゲストが待ちきれない様なので先にすすめるねー!」

「待たせたな…?」

「メルティ先輩。来てくださってありがとうございます」

「来るのは当然…。おめでとうアルジェちゃん。プレゼント持ってきた…受け取って」

「わぁ〜。ありがとうございます!」

「絶対にアルジェちゃんに似合う…」

「では僕からはこちらを…。メリークリスマス、メルティ先輩!」

「えっ…」

「あはは。私とおんなじリアクションだね」

「だって…アルジェちゃんのお誕生日なのに、こっちかプレゼントもらえるなんて…」

「ですよね! みんなは中身が気になる? どうしようかなぁ〜。私がアルジェちゃんに貰ったものだしー」

「私は教えない…。これは私だけの…」

「ですよね! というわけで中身は秘密。ごめんね〜」

あまり期待されてしまうと不安になるけど…。ちゃんと一人ひとり違うものを選んだんだけどね。


その後も入れ代わり立ち代わり先輩方がお祝いに来て下さり、プレゼントも交換。

みんな喜んでくれたから嬉しい。

ピノ先輩は暴走気味で、何度もパルム先輩に止められて…最終的にどつかれてた。

もういつも通りすぎて安心感さえある。



最後に同期のお二人と、マネージャーさんでもある紲さんもお祝いしてくれて…。

「ここでスペシャルゲストの登場です! まずはー」

「通話でごめんね。アルジェちゃんお誕生日おめでとう」

「社長ちゃん!?」

「うむ。せっかくのお祝いだからね。プレゼントはパルムに預けてあるから受け取って」

「ありがとうございます」

「こちらこそだよ。クリスマスに私へプレゼントしてくれたのなんてアルジェちゃんが初めてだよ」

社長ちゃんは忙しいだろうと思って、紲さんに預けたんだけどもう届けてくれたんだ。


「ほら、私達は社長ちゃんに渡すとかおこがましいかなーって」

「普段敬意も何もないくせに!」

「うっ…」

「もしかしてお渡ししたらだめだったのですか…?」

「ううん! 嬉しかったよ! パルムたちがケチなだけだよ!」

「すみません…。 もうね、アルジェちゃんが気がききすぎるんだって。私達でさえもらえるなんて思ってなかったもの」

「サプライズになりました?」

「うんっ! こちらがサプライズのつもりだったのに」

「ね、してやられたよー」

その後も少し社長ちゃんともお話をして…。


忙しいだろうからとパルム先輩がある程度のところで話を切り上げ…

「アルジェちゃんのこれからの活躍を応援してるよ! メリークリスマス!」

「メリークリスマスです社長ちゃん。ありがとうございました!」

まさかだった。お忙しいだろうに…本当にありがとうございました。


「次のゲストは…あっ、きたきた!」

「えっ…」

部屋に入ってきた人を見て言葉を失った。まさかだよ!

「初めましてー夜未です! アルジェのママといえばみんなに伝わるかな?」

「おお…コメント欄がすっごい盛り上がってるね」

「ママとしてはお祝いしないと。 ね?アルジェちゃん!」

「ありがとうございます…」

今日一番の驚きだよ! 緊張とかしないんだね、うちの妹は…。


こよみ、こと夜未ママはアルジェのキャラデザインについてや、今回の衣装についても熱く語って、最後にプレゼントを置いて部屋を出ていった。

僕からはこよみにもうプレゼント渡してあるし…。


「アルジェちゃんへの愛が伝わる解説だったね!」

「はい。本当にびっくりしました…」

「元々はサプライズで通話だけって話だったんだけど、予定が空いたからって来てくれたんだよ」

「夜未ママありがとうございます」

一緒に会社へ来たもんね!?家を出るときのワガママもこのための布石だったとか恐ろしい妹だよ。



配信を終わり…ほっと一息。

僕がプレゼントを入れて待ちこんだ紙袋は、今度は頂いたプレゼントでいっぱいに。

直接会えなかった先輩からのもパルム先輩が預かってくれてて…。

僕からのもパルム先輩に預けておいた。


「アルジェちゃん、プレゼント本当にありがとう…」

「こちらこそです。司会進行もしていただいて」

「ううん。そんなの…。 このプレゼントってもしかしてみんなバラバラのもの?」

「はいっ!」

「大変だったでしょ…うちって人が多いし」

「そんなこともなかったですよ。お世話になった先輩方や会社の方達に渡すものなので、選ぶのも楽しかったです」

「ほんといい子すぎるよ…」

パルム先輩と話しながらグループ配信部屋を出ると待ち構えてた人が。


「イチャイチャ禁止…」

「話をしてただけですって。メルティ先輩はどうしてこんな所に?」

「改めてお礼を言いたかったから…。ありがとうアルジェちゃん」

「そんな! 僕こそありがとうございました。遅い時間なのに来てくださって…」

「気にしなくていい…。 クリスマスパーティするから、アルジェちゃんも少しだけでも参加して…?眠くなるまでだけでもいいから」

「はいっ!」

会社の大きな会議室でクリスマスパーティの用意がしてあるらしく、皆さん集まってると。



クリスマスに会社でパーティをしてるのは毎年の事だそうで、朝まで盛り上がってるのも毎年恒例行事だと教えてもらった。

こよみも既にそちらに行ってるらしい。


到着した会議室は飾り付けがされて、たくさんの料理や飲み物が並ぶ。

二十歳を越えている先輩はお酒も飲んでたりとかなり盛り上がってて、普段僕はあまり見かけないスタッフの方たちも集まってるからかなりの人数。

「パルム、ピノが酔ってるから気をつけて…」

「うぇぇっ!?飲ませちゃったんですか!」

「嬉しかったらしくて…流石に止められなかった…」

「ああ…それは仕方ないかもですね」

「うん。ちゃんと守るよ…」

「了解です。 アルジェちゃん、私達の傍から離れないようにね」

「えっ、は、はい…」


その日は人生で一番賑やかなクリスマスパーティになった。

酔ったピノ先輩が突然泣きだしたり、社長ちゃんは脱ぎ出して副社長ちゃんに撤去されたりと別の騒ぎもあったけど、すごく楽しくて…。




いつの間にかソファーで寝てたみたいで、カクンッとなって目が覚めた。

「うわっ…何これ…」

周りはもう死屍累々…。先輩達はみんな床とかで倒れてるし、起きてる方はまだ飲んでる。

こよみは床に座って僕の膝に頭を載せて寝てるし、左右にはパルム先輩とメルティ先輩がそれぞれ僕にもたれて寝てて。

「これ動けないやつ…」

どうしようか悩んだ末、僕ももう一度寝ることにした。動けないし、まだ眠いから…。

それに、周りの大惨事に目を背けたい。

起きたら部屋の片付けしよう………。



(寝顔かわいい…隣は譲らない…。ピノから守ると言えば合法的に近くにいれる…)

(びっくりしたー。急に起きたからこっちも目が覚めたけど、私ももたれて寝ちゃってたなんて…。でもピノから守るにはいっか…)

(お兄ちゃんは私が守らなきゃ…。ここ、危険な人が多すぎる! お兄ちゃんからのプレゼントが嬉しすぎて泣いてた人より、今隣にいる二人が多分一番危険!)












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