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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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28/42

にじゅーなな



告知通り、22時から配信を始めた。

まだ怖さとか悩みはあるけど、温かい先輩の存在が背中を押してくれている気がして。


それもあってか、紲さんから”そろそろお時間が遅いので…“と止められるまで配信してた。

配信を終わり、見た時計の時刻は24時を回ってる。

時間を忘れるくらい集中してたんだな。先輩方と遊ぶのも、配信しているのも楽しかったから無理もないね…。


先輩達はまだ頑張るそうで、僕だけ自室に戻ってシャワーを浴びてベッドに。

すぐに睡魔が…。



目が覚めたのは、何やら柔らかくて温かい感触でだった。

「…なに?」

隣を見たら紲さんがベッドに…え?いや…ドユコト?

慌てて揺すって起こしたのだけど、寝返りをうつだけで起きてくれない。

ちゃんとパジャマ姿だから何もなかったんだろうけど…。それですましていいのかな!?


こよみ以外で初めて女の人と一緒に寝たよ…。それも小さな時の話だし。大きくなってからは僕が拒否したからね。

ふてくされてたけど、兄妹でいつまでも一緒に寝るのはどうかと思う。


仕方なくベッドから出て、着替えてたら来客。

紲さんが寝てるから、自分で対応に出たらピノ先輩が。

「おはよー! 起きてた?」

「今さっき起きたところで…」

「良かった。パルムから少し話を聞いてね。力になれるんじゃないかと思って」

「ありがとうございます。朝食作りますから一緒にいかがですか?」

「ほんと!? 嬉しいよ。昨日のサンドイッチもすごく美味しかったから」

フレンチトーストとサラダを作って、ピノ先輩にコーヒーを淹れていたら寝ぼけた紲さんがフラフラと起きてきた。


「あー。まだなおってなかったか」

「ピノ先輩は知ってたんですか?」

「私…というか会社のみんな知ってるよ。この姿でフラフラしてるのをだいたい一度は見てるし」

そうなんだ…。女性しかいない会社で本当に良かったというべきか。今は僕がいるんだし、サポートしないと。いつも助けてもらってるのだから。


紲さんにもコーヒーを渡したら、受け取って一口。 

少ししたらしっかりと目が覚めたのか、前みたいに慌てて着替えに行った。

「というか同じ部屋で寝てるの!?」

「部屋は違いますよ。ちゃんと僕の部屋もありますから」

「いやいや。同じ部屋じゃん!」

「それを言ってしまったら、会社にいるみんなが同じ部屋みたいになってしまいませんか?」

会社というビルの同じ屋根の下にいるわけだし…。


「鍵のかかった密室でしょ! 何もされてない?」

「されてません!」

…いや。ベッドに入られてたな。多分寝ぼけてたんだろうけど。

「あやしい…」

ピノ先輩は紲さんの部屋に行くと、何やら騒いでる。

と、とりあえず僕は紲さんの朝ごはんも作っておこう。

女性の部屋に入るわけにいかないもの。



少ししてリビングに戻ってきたお二人。

「アルジェちゃん、正直に言ってね」

「なんでしょう…?」

「同じベッドで寝てたでしょ…」

なんでそれを!?いやいや、動揺したらだめだ。

「ごまかしても駄目だよ? 紲ちゃんが出てきたのは自分の部屋からじゃなかったんだから」

なんでそんなところをちゃんと見てるんですか!

はぁ…。


「多分寝ぼけておられたのかと…。僕の部屋の床に寝ておられて、起こしたのですがお疲れなのか目を覚まされなくて」

「本当に?同じベッドで寝てない?」

「ないです!」

「紲ちゃんイエローカードだよ!?」

「すみません…。記憶になくて…」

「今夜、大丈夫かなー。これは私もここに泊まったほうがいい気がしてきた」

「絶対にだめです! 社長ちゃんからも”ピノだけは絶対に近づけるな“と言われています!」

「酷くない!? こんなに愛してるのに…」

「あの…朝食にしませんか?せっかく作りましたし…」

「そ、そうですよ。せっかく作ってくださったんですから」

「わかった…。それに本題もまだ話してないもんね」

ようやく落ち着いたお二人はテーブルについてくれて、一緒に朝食。


食べながらもピノ先輩は話を聞いてくれて…。

「気持ちはすっごくよくわかる…。寝れなくなるくらいに悩んだからね。同期のパルムが炎上したから余計に怖くなったってのもあってさ。本人のがケロッとしてて…あの時は本気で喧嘩したなぁ」

「お二人がケンカですか?」

「うん。やらかして炎上してるのに、本人は反省してるのかもわかんない態度でね。私が不安になってるのもお前のせいだ! ってあたっちゃって…。実際は表に出さないようにしてただけでパルムも悩んでたって後から知ったし、私の悩みも結局のところは私自身の問題だからね。そうやって喧嘩したからこそ、今は何でも言い合えるくらいの関係なんだ」

「大変な事があったのに、こういう言い方をしては失礼かもしれませんが…素敵な関係ですね」

「うんっ! 今はなにか悩みがあれば、まずパルムに相談するし、愚痴を言うのもパルムにだね。向こうもそうだと思うよ」

雨降って地固まるじゃないけど、今のお二人があるのは一緒に乗り越えたものがあったからこそなんだな。


「アルジェちゃんも不安になったら私でもパルムでも、誰でもいいから相談してね。一人で抱えこむのだけはお勧めしないから。私みたいに負のスパイラルにハマるよ」

「はい。ありがとうございます。ご心配おかけしました…。朝から来てくださって」

「いいって。仲間でしょ? それに美味しいもの食べさせてもらえたし!」

お礼にはささやかすぎるけど、喜んでもらえてよかった。


ピノ先輩は今まで配信していたらしく、これから大浴場に行ったあと、少し仮眠してまた配信するって張り切ってた。

先輩達はみんなそんな感じらしい。身体壊さないか心配になるなぁ。

せめて食事だけはちゃんと用意しておこう。


お風呂に行くピノ先輩に連れて行かれそうになったのを紲さんに助けてもらい、ピノ先輩はびっくりするくらい落ち込みながら部屋を出ていった。

ふぅ…。助かった。

助けてもらってばかりで申し訳ないけど、もう一つお願いしなきゃ。

「紲さん、また食材の買い出しをお願いしてもいいですか?」

「もちろんです! アルジェさんはこちらにいてくださいね」

「はい…」

本当なら僕も荷物持ちのために行きたいけど、一緒に行くとかえって目立ちそうだから…。社長ちゃんからもあまり会社を出入りしないようにと言われてる。

稀に会社の外にファンの人が来てる時もあるそうで、今回みたいなメンバーのほとんどが泊まり込みになるようなイベントの時は特に注意が必要だと言われたから。

どうやって隠しててもどこかから漏れるものだと社長ちゃんがいってた。

公開されているニューホープ本社の事務所は別の場所だし、ここの住所は公開されてないのに…。



買い出しに行ってくれる紲さんを見送り、いつから配信しようかと悩んでたらまた来客。

予想通りパルム先輩とメルティ先輩。

「おはよ、ちゃんと休めた?」

「おはようございます。はい。少し前に起きたところです。朝食まだでしたらいかがですか?」

「いいの!?」

「もちろんです。大したものじゃないですけど…」

「お腹空いてたから助かる…」

先にコーヒーを出して待っててもらっている間にフレンチトーストを焼く。


「それ…家で作れるものなんだ…」

「うちは母が時々作ってくれてましたから」

メルティ先輩は気になったのかキッチンに来て調理を見てる。

「手伝う…?」

「焼けたら完成なので…」

「じゃあお皿出す…」

「ありがとうございます」

メルティ先輩が食器棚からお皿を出してくれたから、それに載せて手渡す。

「いい香り…」

「チョコソースもありますけど使いますか?」

「もらう…!」

昨日、お好きだって知ったし。


「メルティ先輩、何してたんです?」

「手伝い…。後輩に作らせてばかりじゃ情けないから…」

「うっ…すみません。 アルジェちゃんもごめんね」

「いえいえ! お誘いしたのはこちらですから」

「本当にいい子だわ…。どうしたらこんな子になるの!?」

それは…多分家族のおかげかな。引きこもったりしていたのに、責めたりもしないで家事を色々と教えてくれたのはお母さんだし。

なるべく外に出るようにと事あるごとに僕を誘ってくれたのはこよみで…。

お父さんも僕の作る料理を美味しいって褒めてくれたから、上手くなろうとがんばれた。

何より、こよみが後押しをしてくれなかったら…今の僕はいない。


そして今は、こうやって朝から心配して顔を出しくれる先輩方がいる。

「朝からきてくださってありがとうございます。先輩方の顔を見たらホッとしました」

「それは何より。ピノも来たんでしょ?」

「はい。少し前に…。今は大浴場に行かれているかと」

「私達も後で行くけどアルジェちゃんも来る?」

「いえ…僕は…」

「パルム、ピノがいるのに連れて行くのは危なすぎる…」

「そうでした…。 いつか一緒に入ろうね」

「は、はい…」

絶対に無理だけど! 楽しそうに言われてしまうとはっきり断れないのは仕方ないと思う。









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