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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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にじゅーろく



先生は昔の出来事を教えてくれた。

「まだヴァーチャルで配信するというのが少なかった頃に、実写で顔出し配信をしていた人達からうちの子達が絡まれたことがあったのよ」

「絡まれた、ですか?」

「ええ…」

自分達は顔も晒してやっているのに、なんだ?と…。

顔を出してるのは自己責任では?と思ったけど覚悟の違いとかなのかも。

その人のファンとかも配信している先輩のコメント欄に来て、暴言を吐いたりとものすごく荒れたらしい。


「結局、あまりにも酷い暴言を書き込まれてたから、相手の配信者と書き込みをした人も社長ちゃんが正式な手続きを踏んで開示請求をして、裁判になってね。当然こちらに非はなかったから勝ったけど。その頃はヴァーチャル配信とかがまだ一般的ではなかったし、そもそも配信をする人を守るシステムもない。判例さえなかったけど、社長ちゃんのおかげでしっかりと前例ができて、ニューホープという会社としても配信者を守るためのシステムができてるの。今は会社に顧問の弁護士もいるのよ」

「すごいですね、社長ちゃん…」

「ええ。あんな成りだから、わかりにくいかもだけど、すごい人よ」

こうやって話を聞くと、社長ちゃんへの感謝の気持ちや尊敬の想いが溢れてくる。そんな社長ちゃんと一緒に会社を盛り上げてきた先輩方にも…。


「アルジェちゃんなら大丈夫よ。こうやって悩んで怖くなるくらいだもの」

「そう…でしょうか…」

「ええ。何かやらかす子は悩みもしないし、話題になったと喜んで調子に乗って態度が大きくなるわ」

なのかな…。でも本当にちょっとした発言やミスで…なんて当たり前にありそうだし。おかしな切り取りとか…。

「失敗なんてして当たり前。誰だって初めてのことをノーミスでなんてできやしないわよ。できたとしてもそれは本人だけじゃなく、周りの力があるからよ。アルジェちゃんには会社もついてる。私や先輩もいる。何より最強の社長ちゃんがいるんだから。不安になって萎縮するくらいなら、開き直ってしまいなさい。失敗してから反省すればいいやってね」

「それでいいんですか?」

「いいの! もちろんわざわざ人の道を外れたようなことをする必要はないわよ? 今まで通り、楽しめばいいの。先輩たちもそうしてる。こうやって悩んでたのは何もアルジェちゃん一人じゃないんだし」

「他にもおられたんですね」

「そうね、ピノなんて初めは本当に辞めてしまいそうなくらい悩んでたし、逆に調子に乗って炎上したのはパルムかしら」

めちゃくちゃ身近な人の名前が出てきました! あのお二人が!?


「みんな悩んで、失敗して…周りに助けられて、それでやってきてるのよ。悩んだときはいつでも来てくれていいから。先輩に相談してもいいのよ。みんなちゃんと話を聞いてくれるわ」

「ありがとうございます。少し落ち着きました」

「良かったわ。せっかくだから少し休んでいく?」

「そう…ですね。後でまた少し配信したいので」

「いいわね、その意気よ」

医務室のベッドを借りて少し仮眠。


〜〜〜〜


目が覚めたら悩んでいたのも少し楽になって、震えもなくなった。

「顔色もいいわね。じゃあ楽しんでおいで」

「お世話になりました」

「いつでも顔を出してね。可愛い子は大歓迎よ」

そう言ってウインクする先生。話しやすい先生で良かった。


僕が仮眠している間も側にいてくれた紲さんには感謝してます。

「大丈夫ですか?」

「はい。紲さんにもご心配おかけしました…」

「アルジェさんのサポートが私の役目ですからお気になさらず。パルムさん達のところへ戻りますか?」

「はいっ! 配信の告知もしなくてはいけないので」

「わかりました! では行きましょう」

明るくそう言ってくれる紲さんのおかげで気持ちも軽くなる。



そっとグループ配信部屋に入ったのに、先輩は二人とも気がついてくれて…。

”おかえり“って当たり前に出迎えてくれて。それがすごく嬉しかった。


今の時刻は21時を少し過ぎたところ。

22時くらいから配信しようと想い、告知をしておく。

「おかえり。大丈夫? 顔色は良くなったね」

「ご心配おかけしました」

「…心配なんてかけていい…。どうしたの…?」

お二人はわざわざ配信を休憩してまで話を聞いてくれて。


僕の感じている不安なんてみんな当たり前に感じているし、何かあればみんながみんなを守るから大丈夫だって、そういってパルム先輩が抱きしめてくれた。

びっくりしたけど嬉しくて…。

「パルム…交代。私もアルジェちゃん抱きたい…」

「先輩、言い方に語弊ありますよ。ぎゅってしただけですから」

「アルジェちゃん…おいで…」

メルティ先輩まで…。温かい会社だよ本当に。こんな優しい人たちに迷惑掛けないよう、本当に気をつけなきゃ。


「アルジェちゃんが今何考えてるか当てようか?」

「え…」

「迷惑かけないようにしなきゃ…って、また思ってるでしょ」

「どうして…」

「わかるよ。私は実際に迷惑かけた人間だからね…。後悔も反省もものすごくした。辞めようとさえ思ったよ。それでもやってこれてるのはどうしてだと思う?」

「みなさんがいるから…」

「そう。メルティ先輩にも叱られたし、助けてももらったよ」

「昔のパルムは調子乗ってた…。だから叱りもしたけど、仲間だから…」

「ね? アルジェちゃんは大丈夫! なんせ反面教師みたいな私がいるし、あの頃より先輩になる人も多いんだから。つまり、助けてくれる人が多いんだよ」

「そう…。アルジェちゃんをイジメるやつがいたら徹底的に潰す…」

「メルティ先輩のそれはリアルにやりそうで怖いですケド…。まあ、味方がいっぱいいると思えばいいよ。当然叱られる事もあるかもしれないけど、それはアルジェちゃんのためだったりするから」

「はい。何か失敗してしまったときは叱ってください。お願いします」

「ん…。叱ったあとはちゃんと慰めるから大丈夫…」

「こんな感じにアフターフォローも万全だから」

「ありがとうございます…」

「もしまだ不安なら、同じような不安を抱えてたピノにも相談してみるといいよ。普段はあんなだけど、大切な話をするときはちゃんとしてるから」

「わかりました」

ピノ先輩が優しいのはよく知ってる。時々暴走はするけど…。








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