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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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にじゅー



ゾンビに噛まれて、もう少しで二十分になる…。

「他の材料はもうバッチリです! メルティ先輩、そっちは?」

「ごめん…まだ…魔法使いがいない…」

「あれ、結構レアですもんね…」

 


二十五分経過…。後五分で僕はゾンビに。

「メルティ先輩! まだですか!?このままじゃアルジェちゃんが!」

「ごめん…見つかんない…」

「メルティ先輩、無理しないでくださいね」

僕は簡易の拠点内に穴を掘り、中にこもって蓋をする。

ゾンビになるとキャラの制御が難しくなるって聞いてるし…。どうなるのかは具体的に知らされてないんだけど、間違って先輩方を攻撃してしまったら目も当てられない。

もしゾンビ化したら、倒してもらってもゾンビとしてしか復活できないから意味がない…。


「アルジェちゃん…。絶対に助けるからね! 私もやっぱりビンを探しに…」

「ふはははっ! 待たせたか!?」

「マリー?どうしたの!」

「なーに、みんなの所にアルジェがピンチだって情報がまわってきてな! たまたまビンを持ってたから駆けつけたまでの事!」

「持ってるの!?」

「うむ。ほれ」

ドラゴン娘のマリーさん。わざわざ僕のために…。

「ところでアルジェはどこだ?」

「ゾンビになると危ないからって…潜ってるよ」

「我が来たからな! もう大丈夫だ!」

マリー先輩は僕が籠もっている所に穴を掘ると、すぐ側に。

ボイチャに切り替えて…

「マリー先輩、ありがとうございます、でももう時間なくて…。危ないので僕から離れてください!」

「断る!」

えぇ…。

「何、心配するな! 我は誇り高きドラゴン! アルジェがゾンビになろうが止めてみせる!」

「ガブッ…」

「なっ!?」

「あっちゃー時間切れか!! 薬出来たのに…。とりあえずアルジェちゃんを治しちゃうね」

僕は後回しでいいですから! と言いたいのにゾンビ化してるせいでアプリの通話もボイチャも使えない!


時間切れになってゾンビになった瞬間、一番近くにいたマリー先輩にキャラが勝手に噛み付いたのは意味がわからなかった。

僕の配信の方では、ゾンビ化からの即噛みつきっていう一連の流れと、パニックになってた僕の慌てっぷりが中継されてたと思う…。

コメント欄も大騒ぎだったから。マリーさんのリスナーさんに怒られないといいな…。


パルム先輩は出来上がった薬を僕に投げつけて、パリンっとビンが割れて薬の効果でゾンビ化も解除。

「マリー先輩! ごめんなさい! 大丈夫ですか!?」

「う、うむ! 我はドラゴンぞ? ゾンビになどなるはずがなかろう! ふははは!」

「よかったぁ…」

確率だもんね、何%くらいなのかはわからないけど、確実じゃないなら平気な場合もあるよね。

「助かったよマリー。いいとこあるじゃない!」

「我のような強き者は弱きものを守るものだからな! ではさらばだ!」

「ありがとうございました!」

マリー先輩は高笑いしながら走り去った。


「それにしても、アルジェちゃんのピンチがみんなに伝わったってどういう事だろう」

「わかりません…皆さんにご迷惑おかけしてしまって…」

「元はといえばピノのせいだから、アルジェちゃんは気にしないの! 助かったんだからいいじゃない」

「はい…」 

マリー先輩には改めてお礼しなきゃ。



「アルジェちゃん…よかったぁ…」

「おかえりなさいメルティ先輩、ご心配おかけしました」

「ううん…。もし治せなかったらピノを始末してたよ…」

恐ろしい事を…。


「あ、あのー…ごめんなさい! 見つけられなくて…」

「ピノ先輩もおかえりなさい。ビンを探してくださってありがとうございました」

「ううん…元は私をかばってくれたからだし。 うちのメンバーも合流するから同盟結びましょう、メルティ先輩!」

「……断る」

「ええっ!?」

「と…いいたいところだけど、よろしくね」

「よかったぁ…」

しばらくして僕の同期のマローネさんと、もう一人は3期生でマミーのソフィリナ先輩。

ボイチャであいさつしたら、リーダーのピノ先輩が独断で行き先決めて突っ走ったとかで大変だったらしい。


「うちのリーダー滅茶苦茶なのだ! マローネなんてもう二回も死んだのだ!」

「本当ですよ! いくらボクが初心者じゃないとはいえ、もう少し仲間を大切にしてほしいです!」

「ピノ、アンタなにしてんの…」

「いやー…あはは…」

「マローネさん二回も!?」

「そう! 一回は落下して、二回目はソフィリナ先輩に斬られた…」

「あれは事故なのだ! わざとじゃないのだ…」

ここまですごく大変だったのは伝わりました…。


「みんな、人が多くなるとボイチャで会話が混乱しそうだから、気をつけてね…」

「禁止ではないんですか?メルティ先輩」

「うん。まぁ六人くらいなら平気…」

とはいいつつ、みんなボイチャで好きに話してるから会話がごちゃごちゃしてはいるね…。

ピノ先輩はメルティ先輩に殴られてるし、マローネさんは落下死のせいで荷物の回収ができなくて殆ど手持ちに素材がないとか…。


「はいはい! みんなストープ! 同盟結ぶなら一度リーダー同士手続きしなきゃだし、拠点に戻りましょう!」

「それもそう…パルムいいこと言った…」

「もう拠点あるのだ!? すげーのだ!」

「ボク達は走り続けさせられたからだよ…」

「ごめんて…」

ピノ先輩チームのチームワーク大丈夫です!?


「同盟組むのもう一度考え直していい…?」

「メルティ先輩!?」

「せめてウチとマローネだけはそっちに入れてほしいのだ…。ピノ先輩はどっか行ってもいいのだ」

「ボクも賛成です…」

「ひどいっ!?」

「うむ…ソフィリナとマローネは歓迎する…」

「ちょ…嘘ですよね!?メルティ先輩!」

すがるピノ先輩を無視するようにみんな地上を目指して移動。


なんかちょっと見てられない…。

「ピノ先輩、ありがとうございました」

「えっ、どうしたのアルジェちゃん?」

「多分ですけど、僕を助けるために救援をあちこちに頼んでくださったのピノ先輩ですよね?」

「なんでそれを!? あっ…そ、そんなことは…」

「だって、配信しながらもあちこちにコメントしてるピノ先輩ならそれくらいできちゃうんじゃないかなって…」

「うあーん…アルジェちゃん。いい子だー」

やっぱり…。普段結構言動が危ないピノ先輩だけど、すごく優しい人なのは知ってるから。


「ピノ…お手柄。仕方ないから同盟いれてあげる…」

「メルティ先輩…! ありがとうございます!」

「はぁ…。まったく。まぁアルジェちゃんが傍にいれば暴走しないだろうし、ソフィリナもマローネも許してやってね。ホントうちの同期がごめんねー」

「別に怒ってはないのだ! ここまでそれなりに楽しかったし?なのだ」

「おかげで頼れる先輩方とも、同期のアルジェちゃんにも会えたので、オッケーです!」

「ソフィリナ、マローネ…。こんなリーダーでごめんね!」

「あ、リーダーはもうメルティ先輩なのだ」

「ボクもそれには同意します!」

「そんなぁ…」

うなだれるピノ先輩。


「ま、ピノにはリーダーの素質も人望もなかったという事で!」

「パルム酷っ!」

ワイワイと話しながら、無事に拠点に戻ったのはゲーム内時間で朝方だった。








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