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じゅーはち



仮拠点で夜を明かす間に、薬に必要な素材について詳しく教えてもらった。

「宝石はどれでもいいんだけど、あと必要になるのは地上で取れる薬草で、見た目は黄色い花を咲かせてるの」

「それも畑で増やせるんですか?」

「無理だね。自生してる分しかない」

「でも、一つ方法はある…。これを土に撒くといい」

メルティ先輩はそう言って一つのアイテムを投げてくれたから受け取る。

「肥料…ですか?」

「うん…。いくつか作る方法はあるけど、今回はゾンビが落としたゾンビ肉から作った」

「なんか、お腹壊しそうな肉ですね」

「実際に食べるとダメージ受けるから気をつけてね?いくらお腹が空いても食べないように」

「気分的に食べられませんって」

「今回は特に食べないようにね…。食べたらゾンビ化確定…」

「わかりました、絶対に食べません!」

フラグじゃないから!


「今、メルティ先輩に貰った肥料は、土に撒くと一定の確率で草や花が咲くの。運がよければ黄色い花も取れる…かもしれない」

「命を預けるには心もとないですね」

「うん。だから群生地でも見つける迄はゾンビにならないようにね」

「気をつけます」

先輩に迷惑かけられないし、本当に気をつけよう。



日が昇る頃に武器を構えて人の変わったようなメルティ先輩が外へでて、安全確認。

「よしっ、いいぞ! まずはこの周辺の探索だ。必要なものは覚えているな?」

「はい! 黄色い花と、ベッド作成に必要な動物の毛か綿花です」

「よしっ、各自周囲にだけは気をつけていけ。散れ!」


このエリアは草原エリアと呼ばれる比較的安全な場所で、動物も多い。

少し走ればすぐに羊やうさぎ、アルパカ、馬までいた。

とても心は痛むけど…

「ごめんね…」

今必要なのは毛だから羊かアルパカを狩らなくてはいけない。

殴ると悲痛な声を上げるからそのたびに胸が痛い…。

「ごめんね、ごめんね…」

コメント欄も、”初めは抵抗あったよなぁ“と…。だよね。

でもこのコメントは…

「ひどいなぁ。”謝りながら斬ってるのヤンデレっぽい“とか…。結構心痛いよ?これ!」

“男の娘に謝られながら殴られたい”っていうコメントは見なかったことにしたい…。それが例え会社の大先輩にあたるピノ先輩のコメントでも…。


あの先輩なにしてるの?ご自身も配信してるはずなのに。

突然コメント欄に現れた先輩にみんなもびっくりしてる。

しかも幾つか同時視聴してる人のコメントによると、しっかりご自身の配信もしながら、僕のを見てるらしい…。なんて器用な事を…。


ベッド一つに毛とかが三つ必要だから、予備も含めて十個の毛玉を回収。その過程でお肉も手に入ったから、食料も集まってる。

後は黄色い花か…。草原なら咲いてても不思議じゃないって話だけど…。


コメントで、”肥料使ってみたら?“と言われて、確かにせっかく貰ったのだから使ってみなきゃね。

「じゃあメルティ先輩に頂いた肥料撒きます! みんな祈っててね!」

数があまりないから、かなり運頼みだけど…。


一回目は草がモサッと生えただけ。

二回目は花が咲いたけど、赤色。一応摘んでおく。

「これが最後! お願いしますっ!」

土に向かって撒いた肥料は、ただの草に変わってしまい、がっかり…。

「残念…。そう上手くはいかないね」

ベッドを作る材料が集まっただけ良しとしよう。


帰り道で木を何本か切って、仮拠点に帰還。

ミニマップに拠点の位置がわかるの便利だよなぁ。

「このマップと拠点の目印がなかったら、絶対に迷子になってるよ…。 うん、そう…方向音痴なんだよ」

コメントで指摘されたとおり、かなり方向音痴なんだよね。だからひろみ姉さんの会社へもこよみがついてきたんだし。

流石にニューホープの面接の時はこよみの同行は断って一人で来たけど、地図を片手に迷いながらだった。今はもうなれたけどね。


拠点に先輩方はまだ戻ってなかったから、さっき切ってきた木を使い、ベッドの作成。

「これ、先輩方のも作っちゃって平気なのかな」

コメントを見ると、平気みたいだから、お礼をいって更に2つ作成して、収納ボックスに入れておく。

どこに置くかは各自で決めるだろうし。


外に出て、畑の確認をしてたら、遠くにパルム先輩が見えた。

「ただいまー!」

「おかえりなさい! ベッドは作れましたけど、花は見つけられませんでした…」

「ベッド助かる! こっちは食用の動物しかいなくてね。でも花はいっぱい見つけたよ!」

「流石です!」

パルム先輩が見せてくれたのは、小さな黄色い花。

「可愛いですね」

「えっ…!?いきなりどうしたのアルジェちゃん! いやー嬉しいけど、照れるから。アルジェちゃんのが絶対にかわいいからね!」

「あ、ありがとうございます…」

まさか花のことだとは今更言えず。コメント欄は爆笑の渦…。

一人キレてるのはピノ先輩。”勘違いしてんじゃねー!“と…。

僕の配信見てて、ご自身のチームは大丈夫なのでしょうか。

でもピノ先輩なら平気でこなしてそうではある。


「…なんかコメント欄にピノが来て喧嘩売られたんだけど!」

「そちらにもですか!?」

「アルジェちゃんのところにも?」

「はい…」

「何してんの、あいつ…」

パルム先輩は、“ピノに遭遇したら一発どついてやる!” って息巻いてる。


拠点内で、ベッドの配置場所を相談していたらメルティ先輩も帰還。武器が壊れたのか、おっとりにもどってるね。

「ただいま…。おーベッドありがたい…」

「メルティ先輩、それ私のです!」

「いいからいいから…アルジェちゃんはそっちね…」

「は、はい」

寝転がれってことかな?

ベッドに触ると勝手にキャラが寝転がり、”リスポーン地点が変更されました"とアナウンスが。

「これでアルジェちゃんは私の隣に復活する…」

「なんか、ここが僕たちの家になった! って感じがしますね」

「そう…だね。ちゃんとここを守らないとね」

「はい!」

「いい雰囲気のところ悪いんだけど、私のベッドも置かせてもらえる?」

「パルムはあっちとかどう…?」

「なんで一人だけそんなに遠いところなんですか!」

メルティ先輩は反対側の壁をキャラで指差してる。これ、エモートっていうんだっけ。

えーっと…あ、できた!


「アルジェちゃんまで!?」

「ち、違うんです! エモートの練習をしただけで…」

「いいよ…もう。一人で寂しくあっちで寝るから」

「パルム先輩! ごめんなさい…本当にそんなつもりじゃ…」

「うそうそ! そんな泣きそうな声出さないで。こっちの罪悪感がすごいから!」

「パルムさえ意のままにするとか…アルジェちゃんすご…」

僕はメルティ先輩に何を褒められているのですか!?


結局ベッドは仲良く三つ並べて配置、僕が真ん中なのは決められてしまった…。

「というか、昼間から三人でベッドで寝てる場合じゃないですよ」

「それもそう…」

「でも一応予定のものは集まりましたけど、他には何を探しますか?」

「うーん…。ここ、意外に立地も悪くないし、本格的に拠点として拡張してくのもありだと思うんですけど、メルティ先輩はどう思います?」

「悪くない…。食料もあるし、敵も見つけやすいから不意打ちの心配もない…。ただ、弓の材料と薬の調合台を作るためには遠出が必要…」

「確かにそれはありますね」

弓は木材と、敵とかが落とす弓の弦が必要…。

「あ…、馬なら見かけましたよ! 弓の弦って馬の尻尾でも平気でしたよね?」

「よく覚えてたね。ただ、馬は攻撃できないからハサミが必須。これは一度地下に潜るしかないですね」

「うん…。金属の鉱石と、調合台のために魔法使いを探す…」

魔法使いって地下で稀に出てくる敵で、毒を投げつけてくる厄介なやつ。

でも、倒すとガラスの瓶を落とすから、それが必要。


「じゃあ、今できる範囲での装備を整えて行きますか!」

「ん。 二人は守る…」

「頑張ります!」

石製の装備類に、メルティ先輩が持ち帰った動物の革を使い、全員革装備で固めて地下へ!








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