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じゅーよん



ボイストレーニングの後は、サンプルボイスの仮収録。

ボイストレーナーの先生に見てもらいながら原稿を読むのだけど、これがまた難しい。

どう頑張っても棒読みになるから、会話の中にセリフを混ぜ込んで、必要な部分だけ切り出すっていう方法をとった。


即興なのに、僕が原稿のセリフを言うように会話を誘導するトレーナーの先生は凄すぎる。

お陰で無事収録も出来て、編集次第ドールズファクトリーさんに送って確認してもらうそう。

因みに社長ちゃんのパソコンにも確認のため送られて、早速ドールに入れたんだとか。



「アルジェさん、本日の予定は以上です。この後は自由時間になりますが、どうされますか?」

時計を見ると午後四時を回ったところ。

「時間もちょうどいいので部屋に行って少し休みたいです」

「了解いたしました」

今日はまだこちらに来ていない先輩方も多いし、キッチンエリアで料理しても仕方がないからね。

部屋で自炊して、お風呂に入って…ってしてたらきっと寝る時間になるだろうから、明日に備えて休んでおかないと。



紲さんとエレベーターに乗って部屋に戻り、二人分の食事を作っていたら来客が。紲さんが対応に出てくれているけど、誰だろう?

「アルジェさん、申し訳ありません…」

「えっと、何を謝ってるのですか?」

「説明は後です、すぐこちらに着替えてください!」

タンスから出された女性物の服を渡されて、洗面所に押し込まれた…。

渋々だけど、これから慣れていかなきゃいけないんだと自分に言い聞かせて、着替える。

初めて着たよ…スポーツブラ…。服の上からでも膨らみがほんのりわかるくらいにはパッドが入ってる。

なんか男として越えてはいけないナニかを越えてしまった気がしたけど、もう今更だと自分に言い聞かせて、洗面所からでた。


「やっほー! 遊びに来たよ!」

「すっごいVIP待遇だね。いいなぁ…」

パルム先輩とピノ先輩?どうしてここに…。

「打ち合わせもあると言われては断れず…すみません」

紲さんは申し訳なさそうに謝ってくれるけど、お仕事ならワガママは言えないからね。


「今食事の仕度をしていたのですが、お二人もいかがですか? 打ち合わせなら食べながらでもいいですよね?」

「いいの!? ありがとう!」

「こらピノ! でも正直助かるよ。いいかな?」

「はい。少しお待ちくださいね」

二人分も四人分も作ってしまえば同じだし。ハヤシライス作ってたんだよね…。

残ったら明日も食べれるとか思ってたから。なくなったらその時また考えよう。


せっかく先輩も来てくれたことだし、オムハヤシにしてサラダと一緒にテーブルに並べる。

「お茶は私が淹れますね」

「お願いします」

紲さんは唯一この部屋を熟知してるから任せたほうが安心。


「うわっ、すご…。お店で出てきそうなクオリティー!」

「うちで一番若いのに、女子力なら最強だよね、アルジェちゃんって」

「ここで変な影響受けておっさん化しないよう気をつけておかないと…。貴重だよアルジェちゃんみたいな子は」

「ありがとうございます…?」

お礼を言っていいのか正直判断に困るけど…。


先ずは食べてもらい、落ち着いたら打ち合わせ。

みんなお代りしてくれたから鍋も空っぽになった。ま、いいよね。明日は会社のキッチンエリアで作ろう。


「お二人の打ち合わせとは何だったのですか?」

「あ、そうだよ! その話しないとね」

「しゃひょうひゃんにたのんれ、いつひょに…」

「ピノ、飲み込んでから喋りなさい。 えっとね、明日からのイベントについてなんだけど、私達三人でチームになったから、その報告と作戦会議しようと思ってね!」

「待ってください、マネージャーの私にはそのような連絡来ていませんが…」

「ほら、アルジェちゃんはブロクラ初心者だから、私達がサポートするって社長ちゃんに直談判したの」

「なるほど…。では正式発表ではないと」

「うん。 でもそろそろ全員に連絡行く頃だと思う」

パルム先輩の予告どおり、会社支給の端末に一斉に連絡通知が。


チームの振り分けが完了したから、確認するように…と。

「えーっと…僕は……あれ?パルム先輩は一緒ですけど、ピノ先輩はいませんね」

「うそ!?」

「ホントだわ。 ピノはマローネとソフィリナチームよ」

「ほんとだ…。社長ちゃん酷い」

ピノ先輩はマローネさんの教育係だからでは?と思ったけど黙っておいた。

エセルさんもヴィオラさんと同じチームだから間違いないと思う。


因みに僕のチームのもう一人は、入社してすぐパルム先輩が連れて行ってくれた食堂で会ったメルティ先輩。武器をもたせたらヤバいので有名な…。

大丈夫かな。僕もコラボはしてもらったけど、その時は雑談だったからゲームはしてないんだよね。

「げっ…。もう一人ってメルティ先輩か! うわぁ…これどうしよう」

「ご愁傷さま! せいぜい手綱握っておく事だね!」

「武器を持たせない…は無理だし、もう好きに暴れてもらったほうがいいかもなぁ」

パルム先輩まで諦めないでください! でもメルティ先輩ってゲーム自体が上手いから頼りになると思う。



「仕方ない、私は自分のチームと打ち合わせしてくるね」

「ほーい。ちゃんと後輩見てやんなよ」

「言われなくても」

ピノ先輩はご飯のお礼を言ってくれて部屋を出ていった。


入れ替わるように来客。勿論相手はメルティ先輩。

「お邪魔するね。 パルム早い。珍し…」

「ええ、まぁ…」

パルム先輩ってメルティ先輩の前だとものすごく大人しいんだよね。

大先輩だから気持ちはわかるけど、非武装ならすごく優しい先輩なのに。







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