気づき
地下室
アマナ、本を探す
<第四話> 気づき
7月2日秘密基地
アマナ:あったよ。これ。
ゼロ:随分分厚いな。ちょっと見せて。
ヤマト:重そうだな。。
四人覗き込む
フヨ:オープン!オープン!あれ?スイッチとかないの?
アマナ:探したけど、紙に文字がプリントされてるだけみたい。
ゼロ:2ページだけスキャンして見たけど、これ、カタカナの名残があるよ。これだけのページ数あればほぼ解析できそう。スキャンしてホログラムに映しだそう。ちょっと待ってね。
スキャン終わり、ホログラム映す。
「昔々あるところに、二つの【命】が存在しました。一つは明るくギラギラと眩しい陽(日)のような存在、一つは深く包み込みこむような優しく穏やかな存在。すると、その二つの命は互いに惹かれあい二つの間には、小さな【命】が作られました。
そして、3つの命は【家族】となり2つの命は小さな命に愛情というエネルギー
を注ぎました。
時がたち、エネルギーを注がれた小さな命は大きくなりました。
しかし、エネルギーが尽きた二つの命には【死】が訪れ、終わりを迎えます。
大きくなった命は1つになってしまいました。
大きくなった命は
今まで2つの命が注いでくれていたエネルギーが少しずつ減っていくのを感じました。
大きくなった命は焦り、二つの命が注いだエネルギーを残したいと強く思いました。
しかし、大きくなった命はエネルギーをどうしたらいいか分かりません。
するとそこへ、別の命がやってきました。
大きくなった命のそばに寄ってきて自分の持っているエネルギーを注いだのです。
大きくなった命は注がれた分、その命へ注ぎ返しました。二つは互いに惹かれ、また新たな命が生まれました。新たな命に持っているエネルギーを分け与えていき、育つことへ【喜び】を感じ、同時に死んだ二つの命に【感謝】を抱きました。
始まりの二つのエネルギーは時を超え紡がれていきました。」
ホログラム終了
アマナ:これは物語だよ。
フヨ:すごく古い物語ってことだよね
フヨ:[シ]ってなに?
アマナ:当たり前じゃないものなんだろうね。この物語には、当たり前じゃないことがたくさん描かれてる。シヌ、ウマレル、オヤ、カゾク、よくわからないんだ・・・
ゼロ:この物語には分からないことが沢山含まれている。
ヤマト:俺たちの世界への疑問・・・
アマナ:・・・何もかもが完璧すぎるんだ。 平和すぎる。
ゼロ:いや、当たり前だろ。
アマナ:その当たり前以外疑問に思う所がない。
ヤマト:未来人によると、この世界はシミュレーションされてるんだろ?
ゼロ:すべてをコントロールってことは、俺らを含むこの世界全て。
アマナ:なるほど。ってことは、まず…記憶からコントールするよな。。。この世界の人達はみんな歴史を知らない。
ヤマト:俺らの世界が出来た話だろ?そんなの偶然出来たこの世界に偶然俺たちが存在しているだけだろ?
アマナ:その当たり前が問題なのかもしれない。その偶然と当たり前に疑問を持つべきなんだ。
ヤマト:どういうことだよ。。
ゼロ:偶然という概念があることで疑問という概念は無くなってしまう。そこに当たり前と思うことで考えることがなくなるってことか。
アマナ:そうだ、要はその時点で思考をコントロールされている。思考をコントロールすることで記憶もコントロールできる。
フヨ:じゃあ、ボクたちの記憶をコントロールしている誰かがいるってこと?
ゼロ:それと、思考と記憶はナノインプラントマシンを使って操作する事も可能かもしれない
アマナ:そこだよ。身の回りのモノや、ルール、AZILEを作ったのって?
ゼロ:サポーターか。
フヨ:え。じゃあ、もしかしてコミュニティも?
ヤマト:そういうことになるよな。。
フヨ:何それ。何も信じられないよ。怖い。
アマナ:俺たちをコントロールしてるのはサポーターなのかも。
この社会をコントロールしてるのもサポーターってことなのか…?じゃあ、この国家全体を管理している者達を疑うべきってことかも。フヨ、お前には申し訳ないけど、お前のところのキンジロウさんって国の人間だよな。何か気づいたことがあったら教えてくれ。
フヨ:いや、大げさだよ〜。
アマナ:お前、知りたくないのか?サポーター全員が俺たちのことをコントロールしてるのかもしれないんだぞ。
ヤマト:サポーターには都合の悪い歴史が存在するのかもな。
アマナ:おそらく。
ヤマト:もしそうだとしても、僕たちに何ができるんだよ。時間の制限もあるし、町中にカメラもありふれてるし、メッセージも記録が残る。ボクらの行動はすべて大人に監視されてるようなものだろ。すべてが管理されてるのに戦略なんてあるのかよ。
アマナ:そう。戦略だよ。俺たちには知恵がある。この秘密基地の中は監視区域外だ。
ゼロ:だから秘密基地なんだけどね。
アマナ:つまり、作戦は全てここでしか練られない。とにかく時間があるときはここに集合しよう。
チャイム
アマナ:もう時間だ、みんなサポーターには悟られないように、いつも通り振る舞ってくれよ。