白い春
苺のスイーツって色々と巡りたくなりませんか?
色々絞らないと難しい…。
食べに行くのは時間を使うし…。
一人では利用できない時も…。
特にアフタヌーンティーは利用できても虚しいと言われてしまう。
私だって楽しい時間は好きな人と共有もしたい…。
私は入口で店員さんを見つけると、会釈をして、人差し指を顔に寄せた。
「いらっしゃいませ、お一人ですか?」
「はい、一人です、アフタヌーンティーは未だしておりますか?」
そう私は、来ることはないであろう彼を人数には含めずに伝えた。
「はい、アフターヌーンティーはしております、ただ、今は大変混んでおりまして、窓側のお席の御案内は難しく、また、お待ちさせてしまいますが、よろしいでしょうか?」
「はい、全然、大丈夫ですよ、待ちますし、窓際ではなくて大丈夫です」
「ありがとうございます、では、お席の確認をさせていただくので、お待ちいただいても構いませか?」
「はい、構いません」
「では、確認して参りますので、ロビーでお待ちくださいませ」
「はい」
今は16時過ぎ。
15時のお茶の方々が出るかな?と言う時間なのと、アフタヌーンティーなら未だ居る時間。
私は其れを覚悟の上で来ていた。
勿論、彼が来る確約は無いので予約はしていない。
もう、随分と、期待を膨らまして、絶景にお御馳走と想いを馳せることをしていなかった。
「あら、窓際の景色が良い感じだわ…お好きな方が居らっしゃりそう」
窓際まで行くとスマホを翳す。
皇居と古い建物に其の間にお堀と道路。
そう、本日はずっと行きたかった帝国ホテルの苺のアフタヌーンティーに来ていた。
苺の様に甘酸っぱい気持ちを胸に勇気を出して。
今度こそは来てくださるわ…。
ロビーの椅子に戻ると直ぐに店員さんがお呼びになる。
「お客様、ご用意ができました」
「はい」
アクアラウンジの入口に入って直ぐの通路。
一際輝く薔薇の飴細工。
気になった瞬間、店員さんがご案内してくださる。
「こちらの飴細工は私共ホテルの女性パテシエが作った飴細工でしてーーー」
簡単なご紹介をして頂き、再び、お好きな方が居そう…と過ぎる。
「撮影をしても構いませんか?」
と伺うも、両手に荷物。
そう、彼との時間が合うようにと連絡を待っている間に買い物をしてしまっていた。
クロークに預けようと思っていたけれど、閉まっていて預けられず…。
焦った瞬間、直ぐ様
「お荷物をお持ちいたします」
と店員さんが仰ってくださって
「重いですよ」
と私は言いながら、先に軽い方を渡してしまい、思いの外に軽くて安心していた所に本当に重い荷物が次にやって来て、一瞬、驚く店員さん。
荷物をお持ちいただいてるので、素早くササッとスマホで撮影して終わらせる。
本当はユックリ見て、色んな角度から、タブレットからも撮りたかったけれど…。
「有難う御座います」
そう伝えて、荷物を受け取ろうとすると
「お席まで運びます」
と、仰るのでお任せした。
談笑しながら席へ向かい、案内されたのはBARカウンターの前。
しかも、ピアノ席が後方と近かった。
直ぐに苺のアフターヌーンティーのメニューが運ばれる。
そう、既に目的をお伝えしていたので早かったのです。
「お飲みものは何になさいますか?」
私はシャンパーニュは止めようと思っていたけれど、ミガキイチゴ100%スパークリングに目が止まってしまう…。
思わず
「苺のスパークリングワインがあるんですね」
と漏らしていた。
店員さんがミガキイイチゴが珍しいと仰るのも相まって、頼んでしまう…。
そう
「別料金ですが、構いませんか?」
の、お声も響かない。
はたと、お茶が来るのが遅いのと、店員さんを捕まえるのが大変で余りお茶が飲めなかったとネットでコメントを拝見していたので、直ぐに
「カモミールティーもお願いします」
と美白と気持ちを落ち着かせるお茶を頼んでいた。
飲み物が運ばれる。
先ずはミガキイチゴのスパークリングワイン。
少し味わっていると、カモミールティー。
お御馳走と一緒に呑みたいので、ミカギイチゴのスパークリングワインは一旦置いて、カモミールティーをと落ち着いていたら、お御馳走が来る。
「此れが噂の外すとクリームが流れるのですね!」
「はい」
別皿のフィルムを外すとクリームが流れる一品は動画でも拝見していた。
そして、三段皿が来て説明をしていただいて、フィルムを外していただく前に
「撮影されますか?」
と仰っていただき、私は動画ではなく、静止画をスマホとタブレットで撮影した。
店員さんが去ると、三段皿などを撮影。
お好きな方々はお好きですから、お話になる様にと出来るだけ此処でも撮影は欠かさない私。
そうして、先ずは1番下の段の一品から食べ始めた。
アフターヌーンティーの為にと朝に軽く食べてからは口にしていなかった。
ですから、お恥ずかしながら勢い良く下の段をたいらげてしまう。
其のお陰で、一品取り忘れていることに気付き軽く落ち込んでしまうことに。
可愛い一品だったのに…と。
そうこうしていると、お供の一つのミカギイチゴのスパークリングワインは呑み過ぎないようにと一杯だけと決めていたので大切に呑んでいた為に、下の段を食べ終える頃には既にポットのお茶は空っぽだった。
次は今回用に調合されたと思うフレーバーのお茶をお願いする。
新しいお茶が来るまで、残りのカップのお茶を飲みながら一休と称して、知人に画像を送り、Instagramに画像を添付し、お茶を飲み終えると、ピアノの音が聴こえだす。
あ!17時!
そう、Instagramの知人の方が教えて下さっていたのをスッカリ忘れていたのである。
ジャズが此の時間にアフターヌーンティーと一緒に味わえるのは、凄い有意義…。
他の時間も演奏が在ればと毎回、思う。
昼ならクラッシックが良いなぁ…。
お茶が届き、真ん中の段に突入。
目の前のスコーンは甘食なので後にし、後ろの二品を先にと手を付ける。
空腹感が無くなりペースが落ち着き、真ん中の段の一品目をユックリ味わって食べ終え、ふと、目線を上げると、目の前のバーカウンターにカクテルグラスが置かれていた。
グラスと中にオリーブが在ることからマティーニかな?と思う。
その側にはMARTINIの文字の緑のボトル。
シャカシャカ。
「ふふふ」
スーッと彼との思い出が過ぎる。
初めてのBARで憧れのマティーニを味わった時に出逢ったんだなと…。
幸せに浸りながら、もう、一品を食べた。
真ん中の段の二品でお腹が少し一杯と感じてしまう。
如何しましょう?
と一旦休憩をして、スコーンは別皿の甘食のソースを付けて食べたいなとジャムとクリームチーズと蜂蜜は諦めて…と考えていた。
なので、苺ジャムはティーカップへと咲かせた。
其れから、お茶の量といつ注文するかなどメニューを見ながら、一息入れ、バーカウンターを愛しいそうに眺めた。
落ち着いた所で、苺の形のピンクのスイーツにソースが掛かる一品をユックリと食べ、二杯目のお茶には蜂蜜を咲かせ、残りのピンクのソースとクリームチーズで二つに割ったスコーンを食べた。
彼からの連絡は未だに無い。
真ん中の段と別皿を食べ終えて、ポットのお茶も少ないですし頼みましょうと頼む。
上の段の目の前の一品は真珠の様に輝くお菓子が乗るショートケーキ。
初めから此れは、ミガキイイチゴのスパークリングワインと共にと思っていた。
さてとと一息入れてから食べようと、一息入れていると、バーカウンターにもう一度、先程と同じセットが並ぶ。
ただ、先程と違うのはMARTINIの隣に透き通る水色の瓶のBombay Sapphireが並べられていること。
シャカシャカ。
「もう嫌だわ」
私は失笑しながら、カップを口元に運んでは思い出す。
そう、彼から教えて貰って初めて覚えたドライジンの素敵な瓶のボンベイサファイア…。
ショートケーキを食べ終えて、お茶が来たので休憩をしていた。
少しして、他の一品に手を伸ばす。
ゆっくり、ユックリ、ゆっくりと食べた。
そして、最後の一品、三種の苺だけになる。
一休みとお茶を飲んでから私はとうとう仕事を始めてしまう。
彼からは未だ未だ連絡は無い。
仕事の合間に、お茶を飲むことを繰り返していた。
何度かお茶のお代わりを尋ねられ、一度お願いしていたのでお茶はあるし温かい。
それは、何度もお代わりするのも失礼かなと一度だけお願いしたものだった。
一息ついていると、再びピアノが響き出す。
18時。
歌とピアノの音色を聴きながら、お茶を啜る。
白い小さな器に白い苺が1番上に乗っていた。
私は視界がボヤけるのを感じながら見つめる。
少しして、後一口であろうミカギイチゴのスパークリングワインに白い苺をソッと落とす。
ポトン。
シュワッー。
其れを見つめながら想いを馳せる。
私は夢みがちなのかしら…。
再び視界が曇りそうになるも、仕事を再開する。
はたと気付くと何時の間にかピアノは終わっていた…。
彼からは未だ未だ未だ連絡はない。
お飲み物が最後になります。
そう言われて、最後のお茶を頼むことにした。
其れでも彼が来ると願ってしまう私。
お茶が運ばれると、仕事を止めて、ゆっくり味わう。
貴方に会いたい。
ミハキイチゴのスパークリングワインの白い苺が少しでも赤く染まれば良いのに…。
コクリ。
最後の一杯のお茶を飲み終え、一息ついて、時間を見遣る。
もう、18時40分過ぎ。
悲しげにミガキイチゴのスパークリングワインの白い苺を見つめ、一気に口に運ぶと白いままの苺を頬張った。
白いのに程良く甘い苺。
炭酸も色も短時間では付かない。
何時から私達は味気なくなったのかしら…。
そう、思いながらカップルが肩を並べる中、お会計をすませる。
店員さんには満面の笑顔でピアノが素敵だったことを仕切りに嬉しがって…。
お読み下さり有難う御座います。
伺って、浮かんだ内容で、奮発して伺ったので継続的に通えたらと思う日々です。
次回も伺えたら続編が書けそうだなと思うところも。
部屋に籠もっていると微妙ですね!