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第5、6章の登場人物・世界観設定など

今回は登場人物や、世界観設定などの簡単な紹介です。

本編ではないので、興味のない方は読み飛ばして問題ありません。

・登場人物


風の魔神(イフリート)

 第5章から登場。魔法のランプに閉じ込められた腹いせに、出してくれた人間を殺そうと目論んでいた。

 もちろん企みはマルフィサの腕力によって失敗し、結局彼はハール皇子と「3つの願い」を叶えた時点で解放される契約を結び、彼に仕える事となる。

 なおこの一連のエピソードは「千夜一夜物語」のひとつ「商人と魔神の物語」にも存在する。


ヒュパティア

 アレクサンデラを根城にする女性学者。専門は考古学だが、多角的な視点で学ぶ事をモットーとしており様々な学問に精通し、またより理解を深めるため得た知識を学生に披露する教職の役目にも力を入れ、ゆくゆくはアラク世界でも学問再興を成し遂げようと邁進している。きわめて沈着冷静な性格だが、婚約者であるトート相手に限り、感情的な側面を見せる事もある。

 余談になるがヒュパティアというのは本名ではなく、俗称である。彼女の本当の名はメーティス(叡智の女神の意)で、立派すぎる名前に内心では辟易していたりする。

 史実のヒュパティアは4~5世紀の人物であり、生涯独身で悲劇的な最期を迎える事で有名。


トート

 ヒュパティアの婚約者。アレクサンデラ総督の息子で、黙っていれば相当の美男子。仕事一辺倒のヒュパティアを気にかけて学園(アカデメイア)に所属したり、彼女と話し合おうとあの手この手を使いアプローチをかけてくる。その強引かつ的外れな手法にヒュパティアも難儀していたが、のちにハール皇子の仲裁によりどうにか和解の道を進む事になる。


イギエ

 西エチオピアはカッファの地の部族の若き勇者。一族の先輩戦士たちは皆カトブレパスに殺され、一族を守る重責を一手に担う事になってしまった。

 戦いの経験は浅く臆病な面もあるが、腕力は強く部族の前では気丈に振る舞っている。カトブレパスとの再戦ではマルフィサのサポート役に徹した。




・用語など


アレクサンデラ大図書館

 かつてアレクサンデラに存在した世界最大の図書館。伝承によれば約10万冊の蔵書を抱えていたという。またの名をムセイオンともいい、これは現代における博物館(ミュージアム)の語源である。

 交易で栄え「世界の結び目」と呼ばれるほど蓄えた財力を利用し、世界各国を巡り本と見れば見境なく収集した。なお持ち込まれた書物は写本され、持ち主には写本の方が返却された。まあ代金を支払っているだけマシかもしれない。西方異教(ヴェルダン)の蛮行により希少な蔵書がことごとく消失した、と伝わる。


ヴァロス大灯台

 アレクサンデラ湾岸にあるヴァロス島に建てられた、全長134メートルにも及ぶ大灯台。建設されておよそ一千年もの歴史を誇り、その光は約56キロメートル先からも視認できたという。

 本作では大灯台は健在だが、史実におけるファロス大灯台は10年後の地震で半壊し、その後14世紀初頭に起きた二度の地震で完全に崩壊してしまった。


学園(アカデメイア)

 古代グリジア社会で創設された教育機関の呼称。現代におけるアカデミー(学会、学術団体など)の語源である。

 ヒュパティアが自らの学芸活動を喧伝するとき好んで自称しているが、現在の活動は非公式であり規模も私塾程度といったところである。


赤いネペンテス(カッファ)

 古代グリジアの叙事詩「オデュッセイア」に登場する赤い木の実。食せば親の死に目のような不幸に遭っても、何事もなかったかのように笑顔になれるという。

 記述された効果はケシの実に近いイメージがあるが、実際のモデルは西エチオピアはカッファで採集できるコーヒーノキの実である。高い覚醒効果を持ち、アンジェリカのような魔術師にとって飛躍的な集中力を得られる。アラク世界でも12世紀に入ると、瞑想や夜間の修行に用いられるようになった。


大翼鳥(ロック)

 世界各地に伝承が残る超巨大な鳥。アラク世界に伝わる物語では「シンドバッドの冒険」に登場するロック鳥が有名。

 本作では風の魔神(イフリート)が変化する真の姿とされている。彼は250年前にも預言者スクルージを乗せ、聖地マッカから聖地イェルザレムまでの約1500キロメートルもの距離を、わずか一夜で往復したという。


夜の旅

 スクル教の経典(クルアーン)に記されし、預言者スクルージの宗教神秘体験のこと。

 スクルージが最愛にして最初の妻に先立たれた夜のこと。突如大天使に導かれ、マッカからイェルザレムまでの距離を夜の間に移動し、さらに天空世界へ飛翔して数多の預言者たち、そして神にも拝謁したとされる。


カトブレパス

 古代グリジアの学者プリニウスが著した「博物誌」にて、その名が確認できる伝説の幻獣。

 「ナイル川源流に住み、水牛のような巨体に細長い首、重い頭を持ち動きは鈍い。だがその恐るべき視線は見た者の命を瞬く間に奪う」と記述されている。

 本作におけるカトブレパスの視線には、石化の魔力が宿っていると解釈している。



・都市、地形


スエズ

 アイギュプトの地にある小さな港湾都市。この時代のスエズは紅海の袋小路にあり、交易拠点としては小規模であった。

 実際に運河が建設され、世界の大動脈たる重要な役割を担うようになるには、19世紀を待たなければならない。


カイロ

 アイギュプトの地にある都市。この時代のカイロはアレクサンデラと比べればまだまだ地味で小規模であり、南部に駐屯する兵士の食糧源として補給基地が存在するのみである。


アレクサンデラ

 「第2章の登場人物・世界観設定など」を参照。


カッファ

 西エチオピア南端の地名。特産品はコーヒーノキ。その名の通り、のちに一般的な嗜好飲料となるコーヒー生産地として有名になる。

 なお「カッファ」という名が「カフェ」「コーヒー」の語源である事は言うまでもない。

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