92話 拍子抜け
というわけで罠を仕掛けてみました。
何がというわけなのか分からないけど、別にいいよね。
何が効くのか分からなかったので、罠は数種類分散して設置した。
罠は酒や肉という食糧だったり、トカゲのフェロモンのような性欲に働きかけるようなものだったり、とにかく思いつく限りの罠を設置した。
どれかに引っかかってくれれば御の字なんだけど、期待しないでいよう。
罠は上からしか侵入できないようになっているので、地上の魔物が罠にかかる心配はない。
もちろん待っている間も龍探しは継続して行う。
え!罠に反応があったぞ。
これは、トカゲのフェロモンだな。
龍って性欲あるんだ。
すぐに罠の仕掛けた場所に行くと、そこにいたのは、
「ワイバーンだと…。」
期待して損したな。ワイバーンは知能が低いからこんな罠に引っかかるんだな。
とりあえず、盛っているワイバーンは処理して、ワイバーンの素材はそこそこのものだったと思い出したので解体していると、ほかの罠にも反応があった。
この位置はお酒の罠だな。入れ食いだな。またワイバーンか。でも、ワイバーンってお酒飲むのか?
「拍子抜けですよ。」
『この仕掛けを解け!酒が飲めぬではないか!』
「今までの苦労はいったい…。」
『うむ、人間の作った酒は上手いなぁ。』
「飲んだくれが。まぁいいです。私の話を聞いてください。」
『良いだろう。話すが良い。』
「この森に古代の兵器があると聞きました。それを出してください。」
『それで何をするつもりだ。』
「兵器を破壊します。」
『何故だ?』
「先日、古代の兵器せいで街が襲われ、守り人の一族が滅びかけました。心配事は無くしておくに限るでしょう?」
『貴様にできると本当に思っておるのか。』
「やってみなければ分かりませんよ。」
『無理だな。この我の全力でも破壊することは叶わなかった。人間に破壊できるわけがない。』
「さっきも言ったでしょう。やってみなければ分からないと。どこに隠したんですか?」
『無理だと思うがな。古代の遺物は封印してある。それの鍵は四つあり、三つはこの森に隠してあるが、最後の一つが貴様の持っている魔宝石だ。』
「その鍵はどこに?」
『大森林の南、北、中央にある巨大遺跡の中に隠されている。番人を倒さなければならないが、貴様なら苦労することはないだろう。本当に厄介なのは罠が敷き詰められた通路を通らなければならないということだ。それらを取ってきてくれ。』
「あなたがやればいいじゃないですか。」
『よく考えてみろ。我では遺跡の中に入れんだろう。』
「どうやって隠したんですか…。」
『行ってこい。鍵を集め終わったらその魔宝石を通じて呼ぶが良い。』
「通信にも使えるんですか?」
『そうだ。魔力を流してみろ。我とパスが繋がるだろう。』
「おお、本当ですね。最初から知ってたらなぁ…。」
『一応言っておくが、封印を壊そうとするなよ。封印は魔物をこの大森林に閉じ込めておく術と併用しておる。だから破壊すると魔物が外に出る。それこそ守り人の一族どころか街の人間は全滅するぞ。』
「仕方ありませんね。手っ取り早い方法だと思ったのに。」
『…言ってて良かった。』