91話 三度目の正直
もう一度森に入って件の龍を探したが、今度はその気配すら感じることが出来なかった。
一週間いるのになんで見つからないんだよ!
はぁ、食糧が尽きたし、また帰るか。
「ただいま戻りました。」
「あら、おかえりなさい。調査?はできてるの?」
「いえ、まったく進んでないです。」
「ふーん、大森林は昔学術調査がされたくらい変なところだから、仕方ないわね。」
「どういうことですか?」
「なんかね。昔偉い学者の先生が大森林の調査をしたらしいの。それで、調査の結果この森の空間は歪んでいる!って言ってたらしいわ。私はよく分からないんだけど。」
「なるほど、空間が歪んでいたんですか。」
それなら気配が突然消えた理由も説明ができる。
その可能性に気づけなかったとは反省だな。
「ありがとうございます。これでようやく進展しそうです。」
「そうなの?役に立ったならよかったわ。」
「フフフ、これでようやく…。」
「そ、それよりも、バークスとピーターはこの時間外に出てるのよ。メイちゃんが帰ってきてたって言ったら会いたかったって寂しがってたわよ。」
「そうですか。用事が済んだらまた来ると伝えておいてください。」
「分かったわ、伝えておく。何度も言ってるけど、くれぐれも気をつけるように。」
「はい。肝に銘じておきます。」
「うん。いってらっしゃい」
「いってきます。」
三度目の正直だ。必ず見つける。
待ってろよ。
空間が狂ってるって分かって見てると空間が歪んだり、捻れたりしてるな、なんでこんなことになってたんだよ。
あれ?おかしいな、全然魔物がいない。
前は休む暇をなんて無いくらいひっきりなしに襲って来てたのに、まったく出会わない。
なんだか嫌な予感がするな。
気を引き締めて行こう。
魔物っていたらめんどくさいけど、いないとなんだか不安になるな。適度に出てこいよ。
この気配は…見つけたぞ。首を洗って待ってろよ。
空間が歪んでるせいで空間が跳んでる場所があるんだよね。まったく違う場所と繋がってるから気配が消えたように感じたんだな。
迷路みたいになってるんだよ。
いた!ようやく目視できたぞ。
「ちょっと待ってください!」
悠々と飛びやがって、
「降りてこい!」
無属性魔法«蜘蛛網»
避けるんじゃない!
ムキーッ!これは空飛んだ方がいいな。
空に向かってジャンプし、空中に浮かぶ。
すると糸が飛んできた。
これは、蜘蛛の糸かよ!邪魔するな!
炎魔法«獄炎»
あ、ヤバ。木に引火してる。
後始末しないと、
水魔法«雨雲»
はぁ、逃げられた。なんで逃げるんだよ。
もう、うんざりだよ。
次は撃ち落とすか。それとも罠でも仕掛けてみるか?
無属性魔法«スパイダーネット»・・・強靭で蜘蛛の糸のようにネバつく魔法の糸。
炎魔法«インフェルノ»・・・高熱の炎で焼き尽くすための魔法。密集していた敵を倒すために使用した。
水魔法«イレイザーレイン»・・・触れたものを消去する魔法。炎を消去するために使用した。