90話 エンドレス
大森林から帰還した私はバークス一家の家に帰って来ていた。
「ただいま戻りました。」
「メイちゃん!ずっと帰ってこなかったから心配してたのよ!」
「すいません。大森林が思ったよりも大きくて。」
「そうね。大森林は感覚が狂うからよく迷う人もいるのよ。気をつけてね。」
「はい。」
「また森に戻るの?」
「そうですね。食糧が尽きたので、食糧の用意が出来たらもう一度行きます。」
「忙しいわね。街を直すためにたくさんの人が来てるの。危ない人とかがいるかもしれないから知らない人について行っちゃダメよ。」
「分かってますよ。大丈夫です。」
バークス邸を出て市場に向かうと、ヘイミュート辺境伯家の兵士がたくさんいた。
「ここってヘイミュート辺境伯領なんですか?」
見知らぬ通行人に尋ねた。
「ん?そうだよ。だからあんなに兵隊さんがいるだろう?」
「ありがとうございます。」
ここってヘイミュート辺境伯領だったんだ、知らなかったなー。
そういえば、何年か前にもらった辺境伯直筆のサインがある身分証があったな。あれ使えるのかな?
まぁいいや。欲しいもの買って早く森に入ろう。
「お嬢ちゃん、こんなに買って何するつもりなの?」
「大森林に入ります。」
「許可証が無いと入れないんだよ?持ってないでしょう。」
「持ってますよ。ほら。」
「こ、これは!領主様直筆のサインがある身分証だと!そ、そうだったんだ、そういうのあるなら大丈夫だね。それじゃあまた来てね。」
なんだか最後はあまり関わりたくないという意志を感じたが、目的のものは入手したし、また戻るか。
大森林に戻ってきて、一度目は感じなかった違和感を感じるような気がする。
でも、その正体は分からない。
正体不明の違和感に若干戸惑いつつも前回と同じようにズンズンと進んでいく。
「少し魔物が少ない気がしますね。誰かが先に通ったんですかね?」
独り言を呟きながら歩いていると、戦闘音が聞こえてきた。
木の後ろからそっと覗くと、数人の冒険者がグレートグリズリーと戦っていた。
「グレートグリズリーですか、かなり久しぶりに見ましたね。」
冒険者たちは危なげなく立ち回っているようだった。
武器や防具の傷などを見るにベテランの冒険者ではないだろうか?
その証拠に全員が息を合わせて各々の仕事をまっとうしているのだ。
まぁ、助けに入る必要はないな。先を急ごうか。
大森林にはたくさんの魔物がいる。
狼や熊、鹿、猿などの動物に近い魔物や木の魔物、蜘蛛や鉢のような虫までいる。
まぁ、何が言いたいかと言うと、敵多すぎん?
さっきから休み無くずっと襲って来るんだけど。
単体ではまったく気にもとめないような雑魚ばかりなのに、さっきから十体単位で襲って来るから、対処するために止まらなければならず、時間だけが過ぎていく。
森ごと燃やしていい?
良いって言われても燃やさないけどさ。
それくらいうんざりしてるんだよ。
あー、めんどくさいー。