88話 古代の兵器
翌朝、チャールズのいる病室に行くと、既にアマルダがいた。
「気になって早く来てしまいましたわ。」
「そうですね。では、行きましょうか。」
「チャールズ、いるかしら?」
「お嬢様?それにメイさんまで、こんな朝早くにどうしたのですか?」
「チャールズ、知っていることは全部話してほしいの。」
「何をですか?」
「大森林のことよ。大森林には何があるの?」
「メイさんに聞いたのですね。」
「そうよ。」
「今対処しなければ、いづれ同じことが起こる可能性があります。すべて話してください。」
「大森林にあるものは古代の兵器だと、メイさんには言いましたよね。」
「はい。」
「その兵器は凄まじい火力と防御力を誇りました。並の魔物では傷一つつけられないほどでこの地を開拓するときに大活躍したそうです。しかし、この地を開拓し終わった後、その兵器は無用の長物になってしまった。破壊しようとしても傷一つつかず、動力は何もしていないにも関わらず止まることの無い無限機関、こんなものは必要ないと考えたお嬢様のご先祖はそれを森の中に隠したのです。その後、どういった経緯かは分かりませんが、龍と契約し、現在の大森林ができたと聞いています。」
「その兵器は今どこに?」
「分かりません。龍が誰も分からないところに隠したと聞かされました。」
「まずは龍と対話しないといけないということですか。」
「はい。そしてそのためにはお嬢様の持っている魔宝石を持っていなければいけません。」
「これが必要なのね。」
「ただ、問題があります。」
「問題?」
「魔宝石は一つだけしかないのに探すべき大森林があまりにも広すぎるのです。しかも魔物も大量にいます。これでは龍を探している場合ではないのです。」
「確かにそれは問題ね。」
「代わりの人ではダメなのですか?」
「代理だと証明できればいいみたいです。」
「どうやって証明するのよ…。」
「私が行きますよ。」
「証明はどうするのです?」
「街まで連れてこればいいのでは?」
「そんな無茶な。」
「では、どうするのですか?アマルダさんに大森林はキツいと思うのですが。」
「確かにそうですが。」
「分かりました。メイさんにこの魔宝石を託しますわ。
」
「魔宝石を託す必要はないのですが、撃ち落としますから。」
「あの、一応守護龍なので丁寧に扱っていただけると。」
「分かりましたよ。手荒なマネはしません。」
「お願いします。その兵器を壊してきてください。でも、無茶は禁物ですわよ。」
「分かっています。」
アマルダと別れた私は大森林に入る準備をするため、帰路に着いたのだった。