81話 違和感
すいません遅れました。
メイたちがガーベリアに着く一日前
アマルダ視点
ガーベリアにいるお父様から遣いが送られてきた。
「何かあったんですの?」
「私は何も知らされていなくて、とにかく早く連れてくるようにと。」
「分かりましたわ。チャールズ、出発の準備は?」
「できております。」
「それでは出発しますわよ。」
大急ぎで街に着いたころには門が閉まってしまう直前だった。
街に何か違和感のようなものを感じたが、疲れているせいだと自分を納得させた。
屋敷に着き、
「お父様はどこにいらっしゃいるの?」
「ここだ。」
見知らぬ男が何か大きな物を投げた。
「あなたは?」
「俺は天理教団所属、デモンクローのグラッジ。『怨嗟』のグラッジとも呼ばれることもあるぜ。そのゴミ、よく見てみな。」
指さされた物体をよく見ると、
それは、人間の頭だった。
「な!?これは…お父様!?」
「お前のお父様は口が固くてな、思わず殺しちまったよ。」
「なぜこのようなことを!」
「なぜ…か。俺の望みを叶えるためさ。」
「望み?それだけのためにお父様を殺したのですか!」
「さっきも言っただろう?口が固かったんだよ。さっさと吐けば死ぬこともなかったっていうのに、馬鹿な野郎だ。」
「お母様は?お母様はどうしたのですか!?」
「お母様?確か地下にいるはずだ、死んでなければいいがな。」
「何が目的ですか。」
「大森林に隠されているものは何だ?」
「何ですって?」
「大森林に隠されているものだよ。二回も言わせるな。」
「何もありはしません。」
「調べが着いてんだよ。お前ら一族は何百年も前からあの森を管理していた。商人になったのはここ、数十年の話だ。何か重要なものを隠してるんじゃないのか?」
「そんなものはありません!あったとしても聞かされていません!」
「それならしょうがない、お母様に聞くしかねぇな。」
「待ちなさい!お母様は身体が弱いのです。無理をさせたら死んでしまいます!」
「それなら思い出せ、お前の母が生き残れるかどうかはお前にかかってるぜ。おい、地下に連れて行ってお母様と会わせてやれ。丁重に扱えよ。」
「ヘイ、おいこっちに来い!」
「痛いわ!引っ張らないでくださいまし。」
「あの女どうするんで?」
「知らねえって言うんなら思い出す時間をやらねえとな。俺はいらねえ殺しはしない主義だからな。とりあえず、明日までは待ってやるさ。そうだ、メシはちゃんとやれよ、餓死されちゃ困るからな。」
「あのチャールズとかいう護衛はどうします?」
「放っておけ、あんな死に損ないにかける時間は無い。」
翌日
「思い出したかい。お嬢様よ。」
「本当に知らないのです。お母様を解放してください!こんな地下にいたら体調を崩してしまいますわ!」
「だから、お前が吐けばお前もお前のお母様も解放してやるって言ってるだろう?」
「だから何度も言って…」
「皆まで言わなくていい。心優しいお嬢様は罪の無い人間が傷つけば悲しむだろう?」
「何を言ってるの…。」
「街を破壊しろ、抵抗する人間は殺せ。」
「やめなさい!街や他の人は関係ないでしょう!」
「だから、早く思い出せって言ってるだろう?」
「大変です!何者かが我々を襲撃しています。」
「数は?」
「分かりません。いつの間にか味方が殺られているのです。」
「チッ!俺が出るしかないか。」




