77話 旅は道連れ
カレン視点
「1週間で帰るって言ってのよね?」
「そうだよ。」
「何かトラブルでもあったのかしら?1ヶ月も帰ってこないのはおかしいわよね?」
「あの嬢ちゃんだぜ?トラブルに巻き込まれて死んだりするわけないだろ。心配せず待ってればいいんだよ。」
「それでも心配よ。」
「それなら探すのか?どこに行ったのかも分からないのに。」
「う…、でも…。」
「はぁ、大丈夫だ。サキは情報収集が得意でな、ちょっと前から探してもらってる。変な期待させたくなかったからいいたくなかったんだがな。言いたくなかったんだがな。」
「そうなんだ、ありがとう。何か分かったら教えてね。例え悪いことでも。」
「分かってる。嬢ちゃんのことで嘘はつかないよ。」
「本当に調べてるのかい?」
「無理に決まってるだろう。この屋敷の今の状況を見てみろ。四六時中暗殺者どもが大量に来やがるんだぞ?そんな状況で他のことに労力を裂けるかよ。なんだってこんなに狙われてるんだよ。」
「私の裏工作による実害が出始めたんだろう。」
「何やってるんだよ。嬢ちゃんがいてくれたら簡単に片付くのにな。」
メイ視点
みんなどうしているだろうか。
カレンは心配してるだろうか、カイトは心配してないだろうな。
ごめんなさい。すぐに帰るのは無理そうです。
まったくどうしてこうなったのか。
1ヶ月前
この街から北には大森林と呼ばれる大きな森があるらしい。そこなら人もいないだろうし丁度いい。
どうやって移動しようかな?
走って行く方が速いし走るか。
数時間走っていると、
立ち往生している幌馬車を見つけた。
「大丈夫ですか?」
「ん?なんでこんなところに子どもがいるんだ?嬢ちゃん親とはぐれたのか?」
「いえ、一人です。それで何かあったんですか?」
「親は何してるんだよ。まぁ、いい。車輪の軸が壊れちまってな、修理しないといけないんだが、一人じゃ出来なくてな、どうしようかと思ってたんだ。」
「土よ」
私は言霊を唱えて地面を隆起させ、馬車を持ち上げた。
「おお!嬢ちゃんすげぇな!これなら修理できるぜ。」
「ありがとよ。嬢ちゃんのおかげで修理できたぜ。どこまで行くんだ?行先が同じなら乗せていってやるぜ。」
「大森林まで行きたいです。」
「大森林か…。何をするのかは聞かねえが、俺はそのすぐ近くの街に帰るところだ。そこまでなら乗せていってやる。もちろんタダだ。」
「ありがとうございます。人助けはするものですね。」
そこまで急ぐ旅でもなかったので、厚意に甘えることにした。
「そういえば名前はなんて言うんだ?俺はバークスだ。」
「私はメイといいます。」
「よろしくな。」
「大森林ってここからどれくらいの場所なんですか?」
「ここから一日ってとこかな?大森林はな大量の魔物がいてな、開拓が出来なくて発展性が無いって言われてたんだ。でも、冒険者ギルドが進出してきてからは冒険者がたくさん来て街もにぎやかになったんだ。」
「へー、そうだったんですか。」
「冒険者ギルドと言えばだがな、大森林には冒険者ギルドか領主の許可証がいるんだ。嬢ちゃん持ってないよな?」
…え?そんなものいるの?持ってないけど…。