74話 久々の登場
「リンドさん、こんにちは、いますか?」
「誰だ?ってメイの嬢ちゃんとカレン様か、大きくなったな。俺が鍛えた剣は大事に使ってるか?」
「はい、大切にしてますよ。」
「それで、今回は何の用だ?」
「実は短剣を見せてほしくて。」
「短剣?嬢ちゃんが使うのか?」
「いえ、世話になった人へのプレゼントですよ。」
「それでそっちの子を紹介してくれ。」
「サキさんです。今回はサキさんのお兄さんの短剣を買いにきました。」
「オーダーメイドか?」
「お金が無いので店売りの物でお願いします。」
「そうか、何か聞きたいことがあれば呼んでくれ。」
「あの人はどんな人なの?」
「私の剣を作った人です。」
「へー、ドワーフに打ってもらったんだ。」
「短剣の置いてあるところはここね。いろいろあるわね。」
「どれもいい剣ですね。」
「カイトに合いそうな剣はある?」
「うーん、どれも微妙ですね。あともう少しなんですけど。」
「少し加工してもらえばいいんじゃないかしら?」
「そうですね。そうしてもらいましょう。じゃあこれを加工してもらうことにしましょう。値段も手頃ですし。」
「え、高くない?カイトが使ってるのはこれの半分以下の値段だったよ。」
「これくらいが相場ですね。命を預けるものなんですから、お金はケチらない方がいいですよ。」
「そうなんだけどさ。」
「じゃあさ、三人でお金を出し合わない?三人のプレゼントだって言えばいいと思うの。」
「私は最初から全額出す気だったのでいいですけど。」
「まぁ、確かにそれなら今あるお金で買えるかも?」
「今私お金持って無いの、屋敷に帰ったら返すから立て替えてくれないかしら。」
「いいですよ。」
「何かを買うつもりは無かったからお金持ってきてないのよね。」
「じゃあこれを三人で買うということで。リンドさん。」
「決まったかい?」
「これが欲しいんですけど、加工ってできますか?」
「できるよ、どんなふうにしてほしいんだ?」
「この短剣と同じ重心にしてほしいんです。」
「この短剣は…すごいな、こんな粗悪品をここまで丁寧に使うとは。これの使用者はかなりの使い手とみた。いいだろう、明日取りにきてくれるか?」
「分かりました。明日のこの時間に取りにきます。」
「分かったぜ。それまでに仕上げておく。」
「ねぇ、少し聞いてもいいかしら?孤児院の子どもたちがサキはカイトのことが好きって言ってたのがずっと気になってて、そこのところどうなの?」
「え!?私がカイトのこと好きなわけないじゃない。半分とはいえ血の繋がった家族なんだから。というかあのチビどもそんなこと言ってたのね。今度会ったらとっちめてやるんだから。」
「血の繋がった家族との禁断の恋みたいな、私そういうの大好きなの!」
「あんなやつ好きになるわけないわよ。ちょっと強くて優しいくらいしか取り柄もないんだから。」
「そうよね、分かるわ。自分だけが知ってるいい所があるのよね。」
「だから違うわよ。メイさんもなんとか言ってよ。」
「そうなったカレンは止まらないですよ。正直に言うことがこの場合の最適解ですね。」
「メイさんまで!」
「分かってるじゃない。さぁ、本当のところはどうなの?話を聞かせて。」
その後根掘り葉掘り聞かれたサキは少しグッタリしていた。
メイの剣を作ったドワーフのリンドって覚えてる人いる?
作者も覚えてなかったんだけど。