71話 宿題
修学生たちは5人で協力してカイトと戦えるようになった。
「うおおおおぉ!これでどうだ!」
「そこで気を抜くのはダメだと何度も言っただろ。」
「ふぎゃ!」
飛び上がって攻撃しようとしたクレソンを地面にたたき落とし、投げナイフを放った。
「クソ!一人で止めるのムリなんだけど!」
「なんであんなに正確に投げられるんだよ!」
その後少しづつ崩されていき、結局負けてしまった。
「まぁ、成長しましたね。最初は瞬殺でしからね。」
「クレソンが飛び出すからだよ。」
「俺がやられなくてもジリ貧だっただろ。」
「私たちが負けないのはミスが少ないからです。少しくらいミスしても取り返せますから。」
「勝てるじゃないのか?」
「必ずしも勝つ必要はありません。格上相手には負けないように立ち回り、隙を見つけるといった手法をとりますから。」
「俺たちは無理に勝とうとしたから負けたのか。」
「俺たちじゃないだろ、お前だけだ。」
「そうですね。勝ちを急ぎすぎるとミスを誘発し、負けてしまいます。後は勝てそうにないなら逃げるのも手です。」
「そんなのありかよ!卑怯じゃないか?」
「生きるか死ぬかの瀬戸際で卑怯とか言ってられませんよ。」
「じゃあさっきのも逃げればよかったのか?」
「ダメに決まっているでしょう、訓練なんですから。」
「じゃあ言うなよ。」
それから数週間が経ち、修学期間最終日となった。
「今日で修学期間も終わりか。なんだかあっという間って気がするぜ。」
「地獄がようやく終わるのね。」
「まぁそのおかげで今までとは比べ物にならないほど強くなったと思えばいい…のか?」
「最近やっとできるようになったと思ったら終わっちゃうのか、もうちょっとだけならやってもいいかも。」
「まだだ。まだ俺たちは何もできるようになってない。あの二人に認められたいならもっと強くならないと。」
「そうだな。というか師匠なら宿題とか言いそうじゃないか?」
「この魔物を倒せるようになっていてくださいね。みたいな。」
「あら、楽しそうですね。あなた達はかなり努力しているようだったので宿題を出す気は無かったのですが、出してほしそうなので出してあげますね。」
「し、師匠。宿題なんていらない!それを言ってたのはあの二人だけだろ!」
「連帯責任です。そうですね。…Cランクの魔物を学園に入学するまでに倒せるようになっていてくださいね。」
「学園に入学って俺一年も無いんだけど。」
「フラス、あなたは私が入学した時に見せてもらうことにします。ああ、今から楽しみですね。」
「マジかよ。お前らのせいじゃねぇか!」
「口は災いの元…か。」
その後、迎えの馬車が来て、帰っていった。
「なんだか屋敷が静かに感じるわね。」
「そうですね。なんだかんだ馴染んでましたからね。」
「あの子たちと会うのは学園になるのかしら?」
「パーティーなどで会う機会もありますよ。」
「そうね。その時が今から楽しみだわ。」
カレンと屋敷の前で話していると一台の馬車が来るのが見えた。イヤな予感しかしないんだけど。