70話 理不尽
あれから1ヶ月が経った。
魔法組も前衛組も順調だ。
「無詠唱も使えるようになりましたね。」
「本当にできるなんて。無詠唱魔法なんて超一流しかできないって言われてたのに。」
「やり方さえ分かれば誰でもできるということですよ。では、応用編にいきましょう。」
「応用?何するの?」
「今まであなた達は魔法陣を一つだけしか発動していませんでしたね。それを増やしていきましょう。」
「あれって増やせるもんなの?」
「当然ですよ。私がやってるじゃないですか。」
「あぁ、アレがそうなんだ。簡単にやってるから分かんなかったわ。」
「最終的には違う種類の魔法を同時に使えるようになってもらいます。」
「本当にできるの?後、2ヶ月しかないけど。」
「できるかどうかはあなた達次第ですね。」
「私たちは何を目指しているの?」
「何者にも負けない力ですよ。」
「学園の試験のためだと思ってたんだけど。」
「学園に入った後にも試験はあるでしょう。それの予習みたいなものですよ。」
「そう考えると納得…できなくね?」
「何か文句でも?」
「いえ、何もありません!」
「そうですか。それはよかったです。」
メイはニッコリと笑うが、それを見た3人は震えが収まらなかった。
「〜〜〜〜無属性魔法«筋力強化»」
「まだ発動が遅いな。なんというか…魔法は専門じゃないしな、どう教えればいいかな?」
「知り合いにいないのかよ。」
「心当たりはあるが、了承してくれるかは分からん。」
「カイトさんの指導は魔法が混じると要領をえなくなるからな。」
「魔法は使えるけど理論的に教えるとなるとな。俺感覚派だから。」
「これが天才か。」
「ちゃんとやってますか?」
「うげ。師匠。」
「嬢ちゃんか。行き詰まってるところだ。」
「どこで行き詰まってるんでしょうか?」
「俺が魔法に関してまったく教えられないってところだな。俺感覚派だから。」
「師匠呆れて空仰いでるよ。あ、ため息ついた。」
「あなたにもちゃんと教育しなければいけなかったようですね。」
「え?嬢ちゃん?うぎゃぁぁぁぁああああ!!!」
「うわぁー。カイトさんでもああなるんだ。」
「力関係丸見えだな。」
「俺なんで殴られたんだ?」
「感覚派なら殴れば分かるかと思いまして。」
「理不尽!」
「社会とはそういうものです。」
「それを嬢ちゃんから言われると納得いかない。」
「後はあのヘラヘラした顔がムカついたので。」
「だから理不尽すぎ!」
「まぁ、魔法に関しては私が教えることにしましょう。」
「それで頼むぜ。その間はどうすればいい?」
「好きにしてもらっていいですよ。私の指導を聞くもよし。魔法組を見てるのもよし。休憩はやめてください。彼らのやる気をそぐ可能性があるので。」
「分かった。最悪サキを連れてくることも考えてたんだが、嬢ちゃんの方がいいと思うわ。」
「サキさんは彼らに耐えられませんよ。」
「そこだよな。本人も努力して少しなら話せるようになったみいだが、アイツらのテンションについていけないよな。」
「一度会わせてみるのもありかもしれませんが、今ではないと思いますね。」
魔法の詠唱は人間の耳には何を言っているか分からないので〜〜〜〜で表しています。




