68話 応用編
「どうしましょうか?」
「どうかしたのか?」
「カイトですか。私が修学生の訓練をやってることは知ってますよね?」
「ああ、あの悲鳴が響き渡るあれか。」
「そろそろ前衛組と後衛組の訓練を分けたいんですけどそれだと私の目が行き届かないのでどうしようかと。」
「大変だな。」
「カイト、あなたが前衛組を見てくださいよ。」
「俺がか?無理だよ。俺には向いてない。」
「大丈夫ですよ。私のおかげであの子たちは少しくらい厳しくやっても耐えられますから。」
「そうしないと生き残れなかったのか。かわいそうに。」
「なので少しくらい手加減を間違えても大丈夫ですよ。」
「それは本当に大丈夫なのか。」
「お願いしますよ、これでは体力つけさせただけになってしまいます。」
「はぁ、分かったよ。」
次の日が訓練の日だったので早速カイトを紹介した。
「その人が俺たちの担当になるのか?」
「担当とは少し違いますがそんなものです。私が魔法組をみてるときにあなたたちをみてもらうだけです。」
「そいつ強いのか?」
「私が任せてもいいと思えるくらいの強さですよ。」
「マジか。」
「さて、じゃあカイト。私が指示した通りにお願いしますね。」
「了解だ。」
「私は魔法組の方に行くので。」
メイが去った後
「えー、嬢ちゃんに言われたのは。魔法を覚えさせろって言われたんだ。」
「魔法?」
「俺たちが?」
「そうだ。筋力強化と速度強化の魔法を使いこなすようになれって。」
「魔法は苦手なんだけど。」
「それができないと役立たずのままなんだと。」
「あの野郎。いつかギャフンと言わせてやる。」
「どうやってやるんだ?」
「この魔法陣を使ってだな…」
「では私たちも訓練を始めるとしましょう。あなたたちには無詠唱魔法を使えるようになってもらいます。」
「そんなことできるの?すごい難しいって聞いたけど。」
「当然難しいです。ですが、コツが分かればそこまで苦労することはありません。」
「そのコツが分からないから難しいんじゃないの?」
「私がいますから。大丈夫ですよ。」
「そういえば無詠唱ポンポン使ってるわ。」
「あなた達が得意な属性の最も初歩の魔法を無詠唱で放てるようにしてください。それができるようになれば難易度を少しづつ上げていきます。それで無詠唱は使えますよ。」
「簡単に言うけどさ、言うとやるじゃ大違いだよ。」
「ツベコベ言わずにやる。」
「チェ。」
「心の中で念じ魔法の発動をイメージしてください。」
「ムムム…ダメだ〜。」
「そんなにすぐ結果は出ません。根気強くやってください。」
その日は誰も無詠唱魔法を使うことは出来なかった。
まだ修学期間は3ヶ月ある。それだけあれば結果を残すこともできるだろう。
「カイト、そちらはどうでしたか?」
「苦戦してる。やる気はあるみたいだが、魔法を使ってないやつらだからな難しいぜ。しかも瞬時に切り替えられるようにしろって無理じゃないか?」
「私は手を抜きたくないんですよ。それに彼らならできると、その才能があると思います。」
「厳しくやってるのは手を抜いてないからか。」