59話 凄腕の新人
57話で魔神教団というのを出しましたが、天理教団という名前に変えます。
「助かりました。あなたのおかげでキマイラを倒せました。」
「俺がいなくても君なら倒せたと思うけど、助けになったのなら良かった。」
「今気づいたのですが、あなたあんなに強いのに役職に就いてないのですか?」
「そうだよ。何分新人なもので。」
「辺境伯様に優秀な人がいると伝えておきましょうか?」
「いや、いいよ。街を守るのは俺たち兵士の仕事だ。それに出世できるならしたいと思ってるけど、今は仕事を覚えるのに精一杯なんだ。」
「そうですか。そういえば、あなたの名前を聞いていませんでしたね。」
「俺の名前はオルトだ。なあ、その男、怪盗シグルだよな、どうするんだ?」
「少し取引をしてみようかと。」
「取引?」
「はい。この男が取引に応じても応じなくても損することはありませんから。」
「見た目と違って恐ろしいな。噂は本当だったか。」
「噂?」
「いや、なんでもない。こっちの話だ。」
「まぁ、いいです。助けられた恩は必ず返します。それでは。」
「返さなくていいって言ってるだろ!ああ、行っちまった。」
ようやく屋敷に帰ってくることができた。
何だか何日も帰ってなかったような気がする。
門の前に誰かいるな。
「メイ!遅いわよ!心配したじゃない。」
「すいません。思ったよりも敵の数が多くて。」
「その腕の傷どうしたのよ。」
「これですか?少し失敗しただけですよ。」
「この傷、ひどい怪我なんじゃないの?」
「そんなことありませんよ。大した傷ではありません。」
「嘘。もし大したことないなら、メイならすぐに治すはず。なのに治してないのはメイでも治せないような怪我ということでしょう?私を心配させないようにしているのかもしれないけど、嘘はやめて。」
「…お見通しのようですね。この傷も含めて辺境伯様に報告したいので一緒に行きましょう。」
「ご苦労だったね。君のおかげで子どもたちは無事だよ。」
「そうですか。それは良かったです。」
「その後ろに引きずっている男は誰かな?」
「怪盗シグルです。」
「え!この人が!すごい!こんなところで会えるなんて!」
「どうして連れてきたのかな?」
「キマイラが出てきたことは聞いていますか?」
「ああ、聞いている。」
「彼は私が他のキマイラを倒しているときにボスである個体と戦っていました。その個体は特Aランクレベルの強さがあると推測しています。」
「特Aランクのキマイラか。それと戦える強さを持っていると。」
「はい。倒すことは出来ませんでしたが、一人で足止めができる人を味方に引き入れるのも有りかと思いまして。」
「断れば?」
「殺して報奨金でももらえばいいじゃないですか。」
「殺しちゃうの?」
「私たちの要求を拒否すればですよ。ただ、拒否することはないと思いますが。」
「そうだな…こちらが損をすることはないか。よし、いいだろう。それを実行してくれ。」
「了解しました。彼が起きる前に拘束して、牢に入れて起きましょう。」
「なら、この屋敷にある地下牢を使いなさい。」
「やはりあるんですね。」
「当然だろう。」