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前世で魔法使いだった俺、異世界で美少女になる  作者: マーベ
3章 新たな仲間と敵
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56話 怪盗シグルの仕事ぶり 前編

怪盗シグル視点


「それで今回の目標を確認するぞ。」

「うん。」

「目標はズイール商会だ。だが、ズイール商会の不正自体はそこまでものすごいことをやってる訳じゃない。俺たちの目的はズイール商会の背後にいるヤツらだ。そいつらは人や保護魔獣の売買、果てにはキメラのような魔物すら作り出そうとしている。俺たちはそいつらに関する情報を盗む。暇があればお金も盗むけどな。」

「最近、お金が無くてご飯も食べられないんだから、お願いよ。」

「分かってる。サキの成長のためにも。」

「どこ見ながら言ってるのよ!」

バコッバコッ

「ごめんって。痛い!やめて!」

「まったく、ケガはしないように、ちゃんと帰ってきなさいよ。」

「当然だ。俺の帰る場所はここしかないんだから。」


さて、ここがズイール商会か。

予告の時間が迫っているので、侵入していく。

周りは兵士が守っていて、あれはオッサンじゃないか。ここにも来たのかよ。めんどくせぇな。

『シグル、中は冒険者たちがたくさんいるみたいよ。気をつけて。』

「それくらいなら大丈夫だ。人間てのは結構視野が狭いんだぜ。」

俺は店の屋根に移動し、魔道具を使って窓を開けて中に入った。

「店の中に入ったぜ。どうやら物置みたいだ。」

『商会長の部屋はその部屋の3部屋隣よ。』

「分かった。でも、この中に何も無いかどうか確認するよ。誰か来たら教えてくれ。」

『了解よ。』

「これは!金の延棒じゃないか!こんなにたくさん!何本かもらってもバレないよな。」

『そんなのいいから早く証拠を見つけなさいよ!』

「う!耳元で叫ぶなよ。この部屋には他に目星ものは無いようだ。外の様子はどうだ?」

『今は誰もいないわ。』

「警備ガバ過ぎないか?」

『確かにおかしいわね。他のところも見ておくわ。』

「ああ、頼む。」


「ここが商会長の部屋か。中に人はいるか?」

『いないわ。』

「警備がガバい理由分かったか?」

『1階を重点的に警備してるみたい。あのおじさんから怪盗シグルは上から侵入するって聞いてないのかしら?』

「どうだろうな。重要なものは1階にあるからかもしれないぞ。」

『そっか、大事なものなんて言ったから、1階に集めたのね。』

「いや、そうでも無いようだ。」

『え?』

「天理教団。それが黒幕の正体か。」

『それがそこにあったの?ダミーの可能性は?』

「低いと思う。魔法で鍵がかけられていて、さらに二重底の下にあったからな。他にも探ってみるよ。」

『了解。あ!人が来たわ。気をつけて。』

「分かった。」

とりあえず、中に入って来るかは分からなかったが、窓の外に出て、隠れることにした。

ガチャ

「そろそろ予告の時間ですね。」

「ああ、あの無能どもはもしかしたら既に盗みに来ているかもと言っていたが、この警備の中でどうやって物を盗むというのか。」

危ねぇ。念のため隠れといて良かった。

てか、鍵壊れてるのに気づかないんだ。

『そろそろ時間だよ。』

「分かった。ショータイムだ。」

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