51話 怪盗専任騎士
「ついに三日後が怪盗シグルの予告の日ね!待ちきれないわ!」
「何を盗むつもりなのでしょうか?」
「さぁ、大事な物をいただくとしか書いてなかったみたいで、よく分からないみたいよ。」
「なんだか騒がしいですね。どうしたのでしょう?」
「私は王国騎士のグルースと申します。
私は陛下から怪盗シグルを確保することを命じられあのコソ泥を追っております。私と部下どもを警備の一員に入れてはいただけないでしょうか。」
「今さらそんなことを言われてもね。予告の日は三日後だ、来るのが遅いのではないかね。」
「それに関しては申し訳ないと思っております。ですが、今回こそはヤツを捕まえるために秘策を用意してきました。どうか、我々を一員に入れてください。」
「はぁ、分かった。我々の邪魔をしないなら好きにしていい。」
「ありがとうございます。必ず確保することを誓います。」
「頑張りたまえ。」
ドスドスと鎧を着た大男が歩いていく。
私はそれを見送ってから、執務室に入った。
「大丈夫だったんですか?あんなこと言って。」
「問題は無いさ。ヤツらは毎回取り逃しているし、今回も逃がすだろうけど、この街には君がいる、危険なことにはならない。」
「私をあてにするのはやめてください。私がいないときに何か起こったらどうするんですか。」
「君がいるときは君をあてにするし、いないなら軍を頼ればいい。これで完璧。」
「何ドヤ顔してるんですか。デコピンしますよ。」
「やめてくれ、君にそんなことをされれば頭がもげる。」
「もげないようにしてあげますよ?」
「遠慮しときます。ちなみになんだけどさ、君はデコピンでどれくらいの威力出せるの?」
「首飛ばすくらいなら簡単ですよね。後は、岩を砕くことができるかどうかといったところです。」
「本当に怖いよ。シャレにならない。」
「大丈夫ですよ。骨が折れただけなら治してあげますから。」
「やめろ、その手をこっちに向けるんじゃない!」
「冗談ですよ。」
「冗談の顔じゃなかったよ。はぁ、怖かった。」
「メイ、さっき来てたのは誰だったの?」
「怪盗を捕まえにきた騎士みたいです。」
「おお!怪盗シグルのライバル、グルース小隊長ね!」
「く、詳しいですね。」
「当然よ!小隊長はね、いつもあと一歩というところで怪盗シグルを逃がしてしまうの!そこがね、すごくドキドキして面白いのよ!」
「…その話はどこから?」
「怪盗シグルの動きを追っているワースっていう記者がいるの。その人が出している怪盗新聞っていうのを読んでるの。ワース記者にも一度会って見たいなぁ。」
「そんな人がいるんですか。何者でしょうか?」
「王国一の商店であるバイシェル商会で働いてるんじゃないかって話よ。」
「それはどうしてですか?」
「怪盗新聞を出版してるのがバイシェル商会だからよ。」
「なるほど。」
「メイも一度読んでみてよ。面白いわよ?」
「時間があれば読んでみるのいいですね。」