48話 怪盗
「派手にやっているようだね。兵士達も恐ろしいと言っているよ。」
「まぁ、根性叩き直さないといけないので。」
「再起不能にならなければ何をしてもいいけどね。」
「あなたが一番酷いですね。」
「そんなことないさ。調査は進んでるかい?」
「いえ、だれが漏らしたのかはまだ。」
「そうか、こちらも難航しているよ。」
「無理矢理やっていいなら今すぐにでもわかるんですけどね。」
「それは却下で。」
「ですよね。どうしましょう。手詰まり感があります。」
「確かにそれは私も感じているよ。」
カッカッ
足音が近づいてくる。
「旦那様!大変ですぞ!」
「どうした?セバス。」
「実はズイール商会に怪盗シグルから予告状が届いたそうです。」
「怪盗シグル?」
「今この国で話題の義賊というやつだよ。メイくんは本当に自分の興味のあることしか知らないよね。」
「まあそれほどでも。」
「褒めてない。セバスそれでズイール商会はなんと言っている?」
「冒険者などの護衛も雇うが軍にも守って欲しいと。」
「そうか、守って欲しいと言ったのか。」
「何かあるのですか?」
「闇商人の件だよ。ズイール商会は容疑者のうちの一つだったんだ。あの商会は守らなくていいと言いそうだと思ったのだが。」
「この機会に調べるべきですな。」
「そうだね。すぐに商会に人をやるように。」
「承知致しました。」
「メイくん、そっちも頼んだよ。」
「はい。了解しました。」
怪盗シグルかややこしくなりそうだ。
屋敷の中を歩いていると、
「あ、お前なんでこんなところに!」
「なんでと言われても。自室に戻るところですが?」
「そ、そうか。」
「明日は頑張りましょうね。」
「調子に乗るな!」
かなり嫌われてしまったようだ。
「メイ!どこに行ってたの?」
「辺境伯様のところですよ。」
「ずっといたの?」
「ずっとではないですが、カレンが休憩しているときは辺境伯様のところにいましたね。」
「またいなくなったとかと思っちゃたわ。」
「別にいなくなることはないですよ。」
「メイって何時間か急にいなくなるときあるじゃない?心配なのよ?」
「それは申し訳ないとは思いますが、何も言わずにいなくなることはありませんよ。」
「それならいいんだけど。」
「それよりも彼らはどうですか?」
「あまり勉強やってなかった子もいるみたいで、授業の進みが遅いわね。」
「そうなんですか。彼らは何してたんですかね?戦闘も勉強も出来ないなんて。」
「戦闘に関してはメイと比べたらかわいそうよ。」
「そうですか?」
「それよりも!怪盗シグルからの予告状が来たんですって!」
「そうなんですか。」
「ええ!かっこいいわよね。義賊として悪いお金持ちからしか盗まないの!」
「そうですか。」
「今まで義賊はたくさんいたけど、ずっと捕まってないのは怪盗シグルだけなの。この街にも来るなんて!絶対見に行かないと!」
カレンはミーハーなようだ。