467話 復讐?いいえ、ただの八つ当たりです
「ふう、やっと倒せましたね。私はもう行きます。それでは」
「忙しないな。もう行くのか。俺はもう少し休んでるよ。あ〜くたびれた。」
「おじさんですね。」
「うるせぇ、用があるならさっさと行け。」
「言われなくてもそうします。」
「もう今までのようには戦えないか。」
「陛下!ご無事でしたか!」
「これが無事に見えるなら医者を紹介してやる。」
「そんな冗談が言えるなら大丈夫ですな。帰りましょう。」
「ああ、そうだな。」
「それで?今何が起こってるんです?」
『メイくん。何度も連絡したんだよ?戦だと言うのに連絡がつかないなんて。』
「すいません。こちらも色々あったので。そちらに行けばいいですか?」
『いや、こっちはもう小康状態だ。カイトくん達の所に行ってくれ。詳しい事も彼に聞いてくれ。』
「そうですか。」
メイはカイト達の下にワープした。
「お、来たな。どこ行ってたんだ?」
「魔族領にトカゲ狩りです。」
「なんだそりゃ?まあいいか。」
「戦況はどうなんです?」
「今は王国軍が優勢だ。当初は王国軍が劣勢だったんだが、カレン様が敵の隊列を吹き飛ばしたり、ユリエス率いる勇者小隊が快進撃を続けたらしい。」
「勇者小隊?」
「なんでもユリエスを援護するために小隊を与えたんだと。それで勇者と聖女の能力が悪魔には効果てきめんだったて事らしい。」
「なるほど。私の教えを活かしてくれていると嬉しいですね。で、なぜグウィントが帝国の街で暴れているのです?」
「復讐?」
「何に対して?」
「やりたくも無いことやらせやがって!みたいな?」
「そうですか。私いらなくないですか?」
「変に暴走し始めたら止めないといけないから、いなくなられると困る。」
「という事は、小康状態になっているのは操っている術者があそこにいるからですかね。」
「お、よく分かったな。まあ、グウィントが言うにはそうらしい。」
「終わったみたいですね。」
「戻ったぞ。お前は、以前戦った子どもではないか。」
「これでも成人してるんですけどね。」
「それはすまなかったな。知っているかもしれないが、改めて自己紹介しよう。俺はグウィント。今は復讐…いや、ただの八つ当たり中だ。」
「私はメイです。ただの学生ですよ。」
「以前からお前とは戦いたいと思っていた。一段落すれば手合わせしてみないか?」
「いいですよ。強い人と戦うのは好きですからね。」
「武人たる者、例え死しても強者と死合う事は誉れである。」
「手合わせですから。死にませんよ。」
「それほどの心意気という事よ。ハッハッハ」
「それで?次はどうするんだ?」
「無論、帝都に乗り込む。元凶に八つ当たりしてやらなくてはな。」
「こんなに恐ろしい八つ当たりがあるか?」
「これは相手が可哀想ですね。」




