466話 魔王復活
メイは2本の剣を使って怪物と切り結ぶ。
メイが切り傷を与える度にベヒーモンスは打撃を与える。
守りに入った瞬間押し込まれると理解っているからこそ、自身のダメージを無視して攻撃を続ける。
メイはベヒーモンスの攻撃に合わせて後方へと跳び、距離をあける。
「はあ、はあ、しぶといですね。まったく」
「グルルル」
「血を流しすぎましたね。そろそろ決めに行かなければいけないのですが…」
メイは勝つための作戦を練り上げていくが、敵の体力が後どれほど残っているのか分からない以上、迂闊に魔法を使う事も出来なかった。
その時、ベヒーモンスが急に爆発した。
「ハッハッハ、俺の事を忘れているんじゃないだろうな。」
「そう言えばいましたね。」
「忘れてんじゃねえよ!まあ、よく休めたからな。加勢させてもらう。」
「まあ、いいでしょう。せいぜい役に立ってから死んでくださいね。」
「酷い言われようだが、いいだろう。それで、作戦はあるか?」
「無いです。」
「そうか無いのか〜。って無いの!?」
「無いですよ。あなたがいた事も忘れてたんですから。」
「いやまぁそうかもしれないけどさ。«破核»だったか?それはどうなんだ。」
「それだけは必ず避けるんです。魔力的にも何発も撃てる訳では無いので作戦としては使いにくいです。」
「1人なら当てられないのかもしれないが、今は2人だ。俺が誘導するからぶち当てろ。」
「どうするつもりですか?」
「魂を破壊するのはお前だけの専売特許じゃないって事だ。破壊魔法«破壊»」
ゼブラスは自身の手に破壊魔法を収束させベヒーモンスの身体を貫こうとする。
当然破壊魔法で攻撃されればタダではすまない事を理解しているベヒーモンスは避ける。
苦し紛れに反撃をしようとするが、それも魔法が収束している右手をチラつかせるだけで警戒して下がっていく。
「準備は出来たか!」
「いつでもいけますよ。」
「よし、今だ!」
ベヒーモンスは勝てないと悟り逃げ出そうとしたが、既に状況は詰んでいた。
ゼブラスの攻撃により移動が制限され、それを挟み込むようにメイの剣が迫ってくる。
例え1本を避ける事が出来ても2本目で攻撃が当たってしまう。
障壁も無い小さな身体では何かをする前に身体が崩壊するだろう。
そうベヒーモンスが考えた頃にはメイの双剣がベヒーモンスを両断していたのだった。
「グギャアアアア!」
怪物は世界の全てを喰らい尽くすと謳われたが、結局何も喰らうこと無く消滅したのだった。
「いやぁ、終わったな。」
「最後の良い所だけ持っていきましたね。」
「何言ってんだよ。トドメを刺したのはお前なんだから俺は何も持っていってないって。」
「ふん。どうでしょうかね。」
「俺は魔王引退しようかな。疲れちまったよ。」
「好きにしたらいいんじゃないですか?私は干渉しないので。」
「薄情なこった。戦友じゃねえか。」
「何言ってるんですか。半分以上寝てたくせに。」
「俺どれくらい寝てたの?」
「知りませんよ。時間なんて気にしてられませんからね。おっと、こんな無駄話している暇はありません。早く帰らないと。」
メイはワープを使って去っていった。
「忙しないねえ。これから魔族も大変だぞ。もうひと頑張りだ。」