464話 人探し
カイトとサキも決戦のために招集され、2人は完全武装で参戦していた。
「まさか俺達まで呼ばれるなんてな。」
「グウィントって冒険者の足止めって事だけど、知ってるの?」
「ピーターに聞いたくらいだが、一応人相書きはあるから探せない事も無いか。」
「どんなヤツなの?」
「Sランク冒険者の中でも頭1つ2つ分抜けてるらしい。というか、嬢ちゃん案件だったのに連絡つかないから俺達に回ってきたんだとよ。」
「Sランクがどうこうよりメイさん案件だったの方が分かりやすいわね。」
「ま、足止めだけならやりようはある。グウィントは魔法を使えないらしいし、嬢ちゃん相手にするよりも楽さ。」
「完全に貧乏くじね。でも、仕事ならやらないとね。」
「そういう事だ。」
「よく来てくれたね。」
「戦況はどうだ?」
「どうにか持ち堪えているよ。カレンちゃんが大活躍さ。」
「まあ、威力だけなら嬢ちゃんに合格貰えるくらいには強力だからなぁ。」
「それで、グウィントは?」
「今のところ情報は上がっていないよ。隠れているのか、この場にいないのかも分からない。」
「それは厄介だな。隠れんぼは得意じゃないんだ。」
「ハハ、とにかく頼むよ。どこにいるかの情報だけでもかなり助かるからね。」
「了解だ。」
天幕から離れたカイトはサキに尋ねた。
「で、どうやって見つけるんだ?」
「私に聞かないでよ。1度でも会った事があるなら探知で探せるけど、会った事も無いのに探すなんて無理よ。」
「とりあえず、敵軍の陣地の中にいるのは考えにくい。カレン様のおかげで持ち堪えてはいるが、後もう一押しがあれば王国軍は敗走する事になる。」
「その状況で指を加えて見てるって事はありえないというわけね。」
「そういう事だ。つまり、離れた場所で様子を伺っている可能性が高いと思う。どうだ?」
「まあ、筋は通ってると思うわ。」
「よし、それじゃあ行くか。」
カイトはサキを脇に抱えて移動し始める。
「いや待ちなさいよ。ちょっと…いやぁぁぁ…!」
叫びが一瞬で聞こえなくなるほどの速度で移動しているせいで、サキの抗議がカイトに届く事は無かった。
「よし、結構移動して来たな。どうだ?って、なんでグッタリしてるんだ?」
「うえ、吐きそう…アンタが意味不明な変態機動するからでしょうが!うぷっ!オロロロ」
「あー、なんかごめん」
口元を拭いながら、サキは探知魔法を使う。
「あの山の頂上に魔力を持たない人間がいるわね。」
「戦場と随分離れてるが、なんだってそんな場所にいるんだ?」
「私に聞かないでよ。」
「それもそうだ。じゃあ、行くか。」
「待った。アンタが先に行きなさい。私は自分で向かうから。」
「…確かに、サキの事を考えるならその方が良さそうだな。」
「その暖かい目は何?ぶっ飛ばすわよ?」
「睨むなって。それじゃあ、俺は先に行ってるから、サキも急いでくれよ。」
森の中を飛び跳ねながら遠くなっていく背中を見て、走り出すサキだった。




