461話 無謀な戦い
ゼブラスは恐怖を振り切り、攻撃を仕掛ける。
相手が人間ならば、何度死んでいるか分からないほどの猛攻だった。
しかし、ベヒーモンスは傷を即座に再生させ何事もないかのようにゆっくり前進していた。
たまに飛んでくる反撃はゼブラスであっても当たれば一撃でも戦闘不能は避けられない威力であり、強力な一撃を放つために力を溜る事もままならなかった。
「これならどうだ!破壊魔法«破壊»」
ベヒーモンスは破壊魔法すらも避ける事はなかった。
魔法が直撃した部分とその周辺はヒビが入り、ボロボロと崩れたが、全体の大きさからすると致命傷とは言い難かった。
「これで死ぬとは思っていなかったが、破壊の力が残っているはずなのに、再生するとはな。」
凄まじい魔法耐性の前にはほとんどの攻撃が意味をなさなかった。
それからもゼブラスはベヒーモンスの進行を抑えるために何度も攻撃したが、その歩みを止めることは出来なかった。
「はあ、はあ、どんな傷もすぐに再生してしまう。ダメージが無い訳ではないはずだが、痛みを感じている様子も無い。どうすればコイツを倒せる?」
消耗し、限界が近くなったゼブラスは打つ手が無くなってしまった。
しかし、ベヒーモンスはそんな事に構う事なく、攻撃を放つ。
「しまった!」
避けられないほどの量と必殺の威力という質、その攻撃を避けられなければ、跡形もなく消滅するが、防ぐだけの力も無く、ここまでかと諦めて目をつぶった。
しかし、その瞬間は訪れなかった。
「まったく、大きなエネルギーを感知して来てみれば...厄介ですね。」
「お前は...コイツが出現したのは俺の責任だ。」
「責任など、今はどうでもいい。まずはあの怪物を倒す事です。」
「...そうだな。」
「あなたは消耗していますし、私のサポートでもしてください。」
「いいだろう。合わせてやる。」
ベヒーモンスの注意を分散し、攻撃の頻度を減らす事で、大きな一撃を叩き込む事にした。
「ヤツのコアを破壊しようとしても耐性が高すぎてほとんど効かん。破壊魔法すら効かなかったから空間魔法でも無理だろう。」
「ふむ、ではこれはどうです?魂魄魔法«破核»」
メイの渾身の一撃が炸裂し、ベヒーモンスの身体にヒビが入るが、全体の3割程度でヒビは止まり、再生した。
「コアに届く前に魔法が吸収されますね。」
「だから言っただろう。」
「1度でダメなら2度やるまでです。ゼブラス、破壊魔法を撃ち込んでください。私は同じ場所に魔法を放ちます。」
「今は少しでも確率が高い事をするしかないか。破壊魔法«破壊»」
「はあ!魂魄魔法«破核»」
身体が破壊され、その後に大量のヒビが入る。
その内の1つがコアへと到達し、ダメージを与えた。
致命傷にはほど遠かったが、ベヒーモンスに危機感を与えるには十分すぎたのだった。
今まで羽虫程度にしか考えていなかった存在は自身の生命を脅かす存在だと認識したベヒーモンスは自らが生き残るために行動を開始する。
さらなる脅威がメイ達を待ち受けるのだった。




