458話 同情を禁じ得ない
アンは舞台に上がり、ゴダイと相対する。
「さっさと終わらせよう。」
「ええ、そうね。」
試合が始まるとメイのアドバイス通りに動く。
「うわ!」
小さな太陽が出現したのかというほどの光の魔法にゴダイは目が眩む。
光の向きを限定する事でより強い光を生み出す事が可能となったため、手で防いでも目を開ける事が難しいく、壁を作って光を遮っても目がチカチカしてマトモに戦う事は出来そうに無かった。
「クソ!卑怯だぞ!」
「卑怯?これくらい私の師匠なら鼻で笑いながら突破してきますよ。」
目が見えないゴダイに魔法で攻撃し、呆気なく勝負はついた。
「やりましたよ!見ていましたか!」
「ええ、良くやりましたね。」
「すごいわ!」
「あの魔法すごいね。」
「氷の結晶を作り出すだけの簡単な魔法なので修得も簡単なんです。」
「太陽光を増幅する魔法って事は夜だったり、曇っていたりすると使えないのね。」
「はい。そういう事です。今日が快晴で助かりましたね。」
「シンプルだからこそ対策が難しい戦い方ね。」
「次は私の番だね。」
「それじゃあこの戦い方で行きましょう。…ゴニョゴニョ」
「フムフム、当たったら痛そうだね。」
「ミナなら出来ると思います。」
「任せてよ。」
ミナの相手は同世代の男子と比べても一回り大きい筋肉を持つ少年だった。
「手加減はしないが文句言うなよ。」
「それはこっちのセリフだよ。」
試合が始まるとミナは魔法を放ちその場に足止めする。
「この程度の魔法、効かん!」
「それならこれはどうかな?」
相手の足の間から石の柱が突き出し、股間を強打する。
「おごっ!」
予想外の大ダメージに転げ回る少年。
試合を見ていた男性陣は全員、自身の股間を押さえ、メイも少しだけヒヤッとした感覚を味わった。
「やっぱりそこは鍛えられないよね。降参する事をオススメするよ?」
「ひ、卑怯だと思わないのか!」
「だってルールに反則って書いてないしー」
「この野郎、捻り潰してやる!」
何とか立ち上がり駆け寄って来るが明らかに精彩を欠いた動きであり、少し股間を狙うような仕草をすれば動きが止まるため一方的な試合となったのだった。
「うーん、恐ろしいわね。」
「あんな作戦を教えるなんて、師匠、容赦無いですね。」
「相手の選手には同情を禁じ得ません。」
「メイだけは言ってはいけない言葉だと思うわ。」
「ミナもちょっと楽しそうにしてるの可哀想すぎるわ。」
「妹の本性を垣間見る事になるとは思いもしませんでした。」
「どうして2人ともこちらを見るんです?私のせいではありませんよ?」
「「それは無い」」




