454話 剣姫祭の準備
久しぶりにニコラスの研究室を訪れたメイは扱き使われていた。
「新しい研究生を確保するために剣姫祭で発表と展示をするぞ!さあ、みんな頑張ろう!」
「張り切りすぎでしょう。」
「マスター、ご主人様に何を言っても無駄デス。」
「そこ!手が止まっているぞ!私は原稿の最終確認に忙しいんだ!展示の内容は任せたぞ!」
「どうして私がこんな事をしないといけないのか。」
「だってメイくんは暇だろ?」
「暇じゃないですけど?」
「剣姫祭のトーナメントには出ないと聞いたぞ。中等部最後の剣姫祭で何もしないというのは寂しいのではないかね?」
「高等部に入っても剣姫祭はあるじゃないですか。」
「ああ言えばこう言うな!手伝ってくれてもいいじゃないか!」
「開き直った。」
「ハァ、マスター、手伝ってくれますよネ?」
「えぇ…まあ、直近の予定は無いので良いですけど、もう少ししたら用事ができそうなんで、そうなったらそっちを優先しますからね。」
メイは話しながら展示用の資料を作り始めた。
「なんだいそれは?」
「予定の予定というやつです。」
「まあ、手伝ってくれるなら何でもいいよ。バイト代はお金と成績どっちがいい?」
「成績で」
「良いだろう。口利きしといてやる。」
「悪い人達デスね。」
「フッ、報酬とは価値がある物でなければならないのさ。それはそうとメイくんは進学するつもりなんだね。」
「そうですよ。」
「メイくんは自主退学すると思っていたよ。高等部の学習内容もメイくんにとってはつまらない内容だろう?」
「そうですね。すべて知っている内容でしたね。」
「ここに残るのは他に理由があるのかい?」
「図書館の本を借りれるのはここの関係者だけじゃないですか。私は図書館の本をすべて読むという目標があるんですよ。」
「君が本の虫だというイメージは無かったよ。」
「1人の時に読んでいますからね。」
「読破した本の量はどれくらいいるだい?」
「蔵書の半分くらいですかね。魔法に関する本は流し読みしたので1年で読み切ったんですよね。」
「それはすごい。」
「よし、こんな物でいいですかね。」
「どれどれ」
作り終わった資料をニコラスが確認する。
「いいね。専門用語も分かりやすくなっているし、入門編といった内容だから理解しやすい。採用だ。このままここで働く気は無いかい?」
「無いですね。」
「それは残念だ。あ、もう閉門の時間か。また来るといい。」
「はい、それでは。」
メイは挨拶をして帰って行った。
「彼女ほどの能力があれば色々な所からオファーが来るだろうね。」
「マスターは天才デスから。」
「羨ましい限りだ。」




