37話 パーティー
「はあ!」
影がこちらに向かってくる。
「またですか。」
避けようとすると、
「そう逃げると思っていたぞ!」
軌道が変わり、前方を塞ぐように動いた。
後ろへと跳び、回避した。
「どうだ?迂闊に近寄れまい。」
「驚きましたが、そう動くと分かっているならそれを計算しながら動けばいいだけです。」
「減らず口を!」
またも影が向かって来たため、空中で体を捻り、前方を塞ごうとした影を回避した。
「何!」
「雷足」
「今までと比べ物にならないスピードだと!」
「終わりです。」
その瞬間、私の隙を狙うように魔法が放たれた。
私は攻撃を止め、その魔法を避けた。
ようやく、罠にかかってくれたようだ。
「よくあれを避けたな。」
「お前は確か…なんだっけ?」
「グレイヒルだ!覚えおけよ!」
「名前を覚えるのは苦手なので。」
「グレイヒル、なぜここにいる?」
「共闘するぞ。あのガキは強すぎる。」
「我だけで十分だ。引っ込んでいろ!」
「俺はあのガキと戦って命からがら逃げおおせた。お前も同じようになる。」
「お前は我が失敗すると?」
「そうだ。」
「そこまで言うのなら共闘してやる。」
「話は終わりましたか?」
「ああ、待ってもらって悪いな。」
「いえいえ、私もしたい事の準備が整ったので、お互い様ですよ。」
「やりたい事だと?」
「ええ、空間魔法«亜空間結界»、結界術«対魔法地帯»、結界術聖結界」
「魔法が使えないだと?何をした。」
「魔法だけじゃない、暗黒術もだ。」
「暗黒術や魔法のような不粋なものを使わず私と楽しみましょう?」
「魔法を使えない魔法使いが我らと戦えると思っているのか?」
「私は魔法使いではありません。私は魔法剣士です。お間違いの無きよう。」
「ジューン、存分に血を吸わせてあげますからね。」
「これは、我らよりも趣味が悪いな。」
「フフフ、言ったでしょう?一緒にするなと。さぁパーティーの始まりです。」
ドンッ!
私が踏み込んだ音だ。
「魔法も使えないのに速すぎだ!」
「遅いですね。ほら。」
「クッ!攻撃が当たらない!」
「はああああ!」
「見え見えです。」
獣人のグレイヒルは頑張っているが、もう一人の魔族が足を引っ張っている。
「グウウ!」
足を浅く切り付けた。
「クソッ!バーミル、お前は下がっていろ!」
バーミルっていうんだ名前聞き忘れてたから分からなかったんだよね。
バーミルを狙おうとすると邪魔をしてきた。
「お前の相手は俺だ。」
グレイヒルを浅く切り付けても毛に阻まれて切る事が出来ない。
仕方ないので、顔面を殴ると、血を流しながら吹っ飛んでいった。
少し力を入れすぎたようだ。調整が難しいな。
「ク、クソ。バケモノめ。」
「こんな可憐な少女をバケモノとは、おかしいんじゃないんですか?」
「可憐はないな。」
「どういうことですか。後そこ、後ろで頷くな。
さて、そろそろ終わりにしましょう。安心してください。すぐには殺しません。あなた方には聞きたいことがありますので。」
「全然安心出来ねぇ。」
魔技『ショット』
「ガハァ!」
「グレイヒル!クソッ。」
「観念しなさい。」
「こんなとこで死ぬ訳にはいかない!」
「往生際が悪いですね。」
魔技『ショット』
「グウウ!」
二人を気絶させた私は魔法を使えないようにして拘束した。
結界術・・・魔法とは体系の違う特殊な術。
結界術«アンチマジックエリア»・・・結界を張り、その中を魔法が使えないようにする術。
結界術«ホーリーフィールド»・・・中にいる魔族や暗黒術の威力を弱体化させる術。メイは魔族の弱体化はせず、暗黒術だけをは使えなくした。