347話 疑問
メイは神域に来ていた。
「聖神いますか?」
「どうかしたのかの?ソナタが訪ねてくるなんて珍しいのう。ふむ、弟の事かな?」
「知っているのですね。姉弟が両方転生者なんてありえるんでしょうか。」
「ありえるのかと言われてものう。身近におるではないか。カイトとサキだったか?」
「あの2人は父親が違いますよ。」
「実際の事を言うと血縁はそこまで関係ないのじゃ。死産などで魂が無くなり抜け殻になった身体に転生者の魂が乗り移っておるだけじゃからな。」
「つまり偶然なんですか?」
「そうなるの。ソナタの両親は元々子どもを産めなかったのじゃ。それをワシがソナタをこの世界に呼ぶために死産だった赤ん坊にソナタの魂を移したのじゃ。死産を経験した母体は死産を繰り返す可能性が高まってしまう。ソナタの弟も同じような事になったのかもしれぬ。今はそれ以外は何も言えん。」
「死産になってしまって悲しむ姿を見るよりはマシですかね。」
「そうかもしれぬな。少なくとも身体を乗っ取って産まれてきた訳ではない事は確かじゃ。」
「そうですか。私も転生の事になると知識がありませんからね。」
「転生なぞ本当にあるのかも分からない事じゃからな。分からんでも仕方あるまい。」
「疑問は解けました。ありがとうございます。」
「いやいや、これくらいの質問ならいつでも答えてやるぞ。...そろそろ時間じゃな。また会おうではないか。」
聖神は手を振り去っていった。
メイは布団から起き上がると窓の外を見る。
「少し早く起きてしまいましたね。」
2度寝する気にもならなかったので着替えて庭に出る。
しばらく素振りをして身体を目覚めさせていると、声をかけられた。
『綺麗な太刀筋だな。誰かに習ったのか?』
「急に念話で話しかけないでくださいよ。驚くじゃないですか。」
『壁を感じるな。まあ、いいか。スマンな、声をかける前に一泣きしてから呼ぶ事にするよ。』
「嫌がらせじゃないですか。」
『結構集中してたようだけど、何か考え事か?』
「いいえ、何でもありませんよ。」
『それはそうと、ママンが言ってたんだが、15歳なんだって?結構歳離れてたんだな。俺はてっきり10歳くらいかと...』
「それ以上言うなら赤ん坊だからと容赦しませんよ。」
『首を掴むのはダメだってホントに死んじゃうから!持ち上げようとしないで!首が座ったばっかりなんだよ!...あー怖かった。』
「口は災いの元ですよ。」
『口には出してないのに。』
「さっきの脅しでは足りなかったですかね。」
『それ以上はシャレにならないから!』
「まったく、軽口もほどほどにしないとモテませんよ。」
『うるせぇ、男にもセクハラは成立するんだぞ。』
「残念ですがこの世界にセクハラなんて言葉はありません。後赤ん坊の言葉を理解できる人もいません。この村に念話を受け取れる人もいませんしね。」
『だからって暴力反対!』
「知っていますか?誰も知らなければそれは無かったことと同じなんですよ。」
『嘘だよな?こんな可愛い赤ん坊に酷い事しないよな?』
「さあ?どうでしょう。」
『なんでそこではぐらかすんだよ!』
メイは他の家族が起きてくるまで脅かし続けたが、傍から見ると弟の相手をする姉という微笑ましい光景にしかならなかったらしい。




