35話 突入
翌朝、今日は作戦の日だ。
近衛騎士団長からの激がとぶ。
「王位の簒奪を企む者を捕らえよ!絶対に失敗は許されない!警戒を怠るなよ!行くぞ!」
「「おう!」」
気合い入ってるね。
「メイ嬢、頑張って来てくれたまえ。」
「はぁ、頑張ってきますよ。」
「なんでそんなに呆れているのだ。」
「緊張感が無さすぎなんですよ。失敗したら国が滅ぶかもしれないのに。」
「失敗しないのだろう?」
「わざとするつもりはありませんが。」
「なら、大丈夫だ。炎龍を倒し、二度も私を救った君が言うのだから。」
「全く…、期待して待っていてください。」
「ああ、必ず帰って来なさい。それと気になっていたのだが、なぜメイド服なんだ?」
「仕事着だからですが何か?」
「いや、気になっただけだ。」
王太子の激励を受け、着いた公爵邸は物々しい雰囲気に包まれていた。
「罠があるかもしれません。私が先行します。」
案の定、玄関に行くまでの間にたくさんの罠があった。
「この調子では屋敷全体にどれだけの罠があるか分かりません。作戦変更、騎士団は周りを包囲、出てきた者だけ対処してください。」
「仕方がない。つまらない死に方はするなよ。」
「当然です。」
「各隊、屋敷を包囲しろ!」
さすが近衛騎士団動きが早いな。
屋敷に突入すると、たくさんのゴロツキの歓迎にあった。
「女の子の扱いくらい知っておくべきだと思いますよ。」
もちろん10秒あれば制圧は簡単だ。
だが、その隙を狙って暗殺者が攻撃を仕掛けてきた。
「隙を狙うのは良いのですが、この程度の攻撃では私には傷一つ着きませんよ。」
「何!素手で弾いただと!」
雷魔法«感電»
「アバババ!」
「そこにいるのも分かっていますよ。」
無属性魔法«魔力弾»
「グアア!」
次は二人がかりか、凄まじい連携技だが、まだまだ遅い。
「その程度では私に掠らせることすらできませんよ。」
素早く近づき昏倒させ、拘束した。
「ほら、先を急いでるのです。早く出てきてください。」
「この俺を見つけるとはな。」
「御託はいいです。さっさとかかってこい。」
「何?」
「手加減してやると言ってるんだ。早くしろ。」
「大した自信だな。」
「自信ではない。事実だ。お前では本気を出す価値も無い。」
「殺す!」
こいつは王太子を暗殺しに来た男を弓で殺したあの時の暗殺者だ。
この中では、最も腕が立つ暗殺者だ。
短剣を持って突っ込んでくる。
だが、それはフェイントですれ違いざまに短弓で狙ってくる。
私はそれを避けながら、足払いをして転倒させ、腹に
魔技『ショット』を撃ち込んで気絶させた。
「グハァ!」
少し昂って口調が乱れてしまった。次は気をつけなければ。
さて、公爵はどこだ?




