337話 謎の行動
「さて、サキに撤収するよう伝えたし、俺も証拠を持って引きあげるとするか。ん?この紙に書いてある事ってまさか」
「クヒヒ、そのまさかというヤツさ。」
「!…テメェ、俺の前に出てくるなんていい度胸してるじゃねえか。」
「証拠の隠滅をしないといけないからね。出ていかざるを得なかったんだよ。」
「どうせ、最初から切り捨てるつもりだったんだろ。」
「それはどうかな?」
「この書類に書いてある事は本当なのか。」
「クヒヒ、そうだって言いたい所だけど。君は僕がどう答えようと信用しないでしょ。だから、もう1つプレゼントを用意したよ。」
「もう1つ?」
「束の1番下の紙を見てみな。」
「…これは地図か?」
カイトが顔を上げるとランメルの姿はなく、声だけが聞こえてきた。
「その場所に行って嘘か本当か確かめるといいよ。クヒヒ」
「テメェ!逃げるんじゃねえ!」
カイトはとっさに大声を出してしまい、兵士に見つかってしまった。
「おい!ここで何をしている!」
「賊が出たぞ!」
「チッ!」
カイトは急いで逃げ、事なきを得たのだった。
「意外と簡単だったわね。」
「いや、俺達とは違う所で暗部が動いていたらしい。屋敷の人間が買収されていた。」
「そうなの?」
「指示には無かったが、計画と違う事なんてよくある事だ。」
「ていうかさ、囮ってアンタの役目だったわよね。なんで私が兵士引き付ける事になってたの?」
「あー、それはコッチでも色々あってだな。」
「呼び掛けても返事無いし。ちゃんとやってよ。」
「スマン」
「落ち込む必要は無いわよ。要するに心配したって言いたいだけなんだから。」
「ちょっと!変な事言わないでよ!」
「お前可愛い所あるじゃないか。」
「うるさいわよ!ニマニマするんじゃない!」
「それはともかくとして、これをどうするかだな。」
「これ盗んで来た証拠品よね。」
「ああ、その中に魔神の封印を解くための儀式をするって書いてあって、それの場所が書かれた地図もご丁寧に添えられてるんだ。」
「絶対罠じゃない。」
「そうだよな。俺もそう思う。でも、ランメルはこれをプレゼントだとわざわざ言いに来たんだ。アイツの行動が謎すぎるんだよ。」
「確かに、罠に嵌めたいなら置いておくだけでいいものね。」
「なんでわざわざ出てきたんだ?」
「どうするつもり?」
「もしこれが本当の事なら放ってはおけない。それに、対策すれば逆にヤツらを一網打尽にできる。乗らない手は無いと思う。」
「そうね。どちらにしろメリットはあるわ。でも今の私達は自由に動けないわ。」
「元々2人で行こうとは思っていない。ジョンに話をすれば暗部も動かざるを得ないだろう。」
「そうなる事を願っているわ。私はアイツらの事イマイチ信用出来ないけどね。」
「大丈夫だ。王太子が1番の協力者であるおっさんの助けがいらなくなる時まで裏切られる事は無い。それにまだおっさんは無くてはないらない存在だ。」
「損得勘定がお上手な事ね。」
「そうしないと生きていけない世界だからな。それじゃあ、おやすみ」
「ええ、おやすみ」




