336話 とんだ無駄足
「はぁ、私が盗みに入ることになるなんて、バックアップ専門だって言ってるのにまったく。」
サキは兵士に見つからないように隠れながら屋敷の中を進んでいく。
ロボットを引き返させた場所を越え、奥に進んでいくと、壁に注意書きがあった。
「何々?『ここから先魔法を使わないようにしてください。警告を無視した場合安全は保証できません』!?嘘でしょ、探知も身を隠す魔法も使えないの?魔法を使った場合どうなるか分からないから使う訳にはいかないし、仕方ないわね。人がいたら殴って気絶させるしかないわね。手加減できるかしら?」
『おい、俺がいること忘れてないよな?』
「何よ。アンタは今回バックアップ担当でしょ。」
『お前不器用なんだから、今からでも代わるか?』
「うるさいわね。大丈夫よ。死にはしないわ。」
『大丈夫な根拠を示して欲しい…』
「とにかく、アンタは待機してなさい。いいわね。」
『分かったよ。』
「サキの事は私に任せておきなさい。」
『アナ、お前だけが頼りだ…!』
「ちょっと!どういう事よ!」
「早く行くわよ。時間は有限なんだから。」
「誰のせいだと思ってるワケ!?」
見張りをしている兵士がいると、殴って気絶させながら進んでいく。
その際、アナが出力を調整し、サキが急所を狙うという分業体制で進んで行った。
「私に任せて正解だったでしょ?」
「なんでアンタそんなに調整が上手いのよ…」
「元々2つの人格のせいで魔力操作が上手くいかなかったのよ。私が統制下に入った事でその原因が無くなったのよ。」
「じゃあ、私だけでよかったってことじゃない。」
「私もアンタも2つの事を同時に出来るほど器用じゃないでしょ。失敗するくらいなら私が出てきた方が良いでしょ?」
「そういう事は早く言いなさいよ。」
「今頃、カイトはアンタより私の方が魔力操作が上手いと思っているわね。」
「この性悪が〜!」
「私はアンタなんだからそれ自分に言ってるって事なのよ。」
「ああ言えばこう言うわね!」
「フフフ、バーカバーカ」
「ムキー!」
「さて、騒ぎすぎたみたいね。」
「まったく、アンタのせいなんだから!」
壁が動き、大きな穴が現れた。
その穴からは巨大なゴーレムが出現した。
「手加減する必要は無いわね。思いっきりやっちゃいなさい!」
「言われなくても。この苛立ちをどうにかしたいと思ってたのよ。必殺!八つ当たりパーンチ!」
サキの渾身の一撃によりゴーレムは壁に激突し、壁もろともバラバラになった。
「ネーミングセンス…そんな事はどうでもいいわ。多分コレが最後の門番だからやる事やって引き上げるわよ!」
突き当たりまで廊下を進むと、金庫があり、鍵開けの魔道具で鍵を開ける。
「魔道具は大丈夫なんだ。」
「ゴーレム使ってたし、しょうがないんじゃない?」
「それもそうね。やっと開いたわね。...ちょっと待って、ホントに家宝を守るためにこんな仕掛けを作ってたの!?」
「とんだ無駄足じゃない。」
『サキ、こっちが本命だったみたいだ。証拠を見つけたから引き上げていいぞ。』
「「もう!ここまでの苦労はなんなのよ!」」
珍しく2人の意見があった瞬間だった。




