34話 作戦会議
無事城に帰った私は王太子に証拠を見せた。
「何と。こんな計画を立てていたとは。それに加担している貴族がこんなにも。」
計画の概要はこうだ。
まず、王太子を殺し、その罪を第二王子に被せ処刑する。そのゴタゴタに紛れて王を病死に見せかけて殺し、まだ幼い第三王子を即位させ、傀儡とするという計画だ。
随分とお粗末だが、魔族が国を弱めようとしているなら十分な効果があるだろう。
「これは陛下に知らせなければならない事だ。着いてきてくれ。」
「え、私疲れて…。」
「着いてきてくれるよね。」
「…はい。」
王の寝室へと行き、事の顛末を話した。
「そんな計画が立てられていたことに気づかないとは、為政者として失格だな。」
「このメイ嬢がこの証拠を発見しました。説明を頼む。」
「はい。この計画には魔族が関わっています。」
「何だと？」
「その計画は国の簒奪という点ではお粗末という他ありませんが、魔族がこの国を襲う下準備だとすればそれで十分なのでしょう。」
「魔族が関わっているという根拠はあるのかね。」
「はい。侵入した屋敷には暗黒術が使われていました。魔族は恐らく、公爵様かと。」
「なんという事だ。公爵ともあろうものが魔族と通じるなど。」
「人間が魔族になるなんて有り得るのか？」
「可能性で言うなら有り得ます。ですが、限りなく低い可能性です。」
「なら、なんだと言うのだ。」
「魔族が成り代わったか、魔族と同化したか。そのどちらかの方が可能性としては高いかと。」
「どうするべきだと思う。」
「私の意見としましては。魔族が暴れる前に、一気に決着をつけるべきだと思います。」
「障害となるべき物は？」
「まずは魔族、次に手練の暗殺者です。ゴロツキの中に数人の暗殺者が紛れ込んでいます。油断すると痛い目を見るでしょう。」
「この案の反対意見はあるか？無いならばこの案でいく。」
「ありません。メイ嬢、魔族はどう片付ける？」
「魔族の相手は私がします。他のゴロツキや暗殺者はそちらに任せます。」
「魔族の相手ができるのか？」
「できます。正直、騎士団では魔族の相手は出来ないでしょう。」
「我らを侮辱する気か！」
「最も強いと言われた第一騎士団があのザマでした。私にはあなた方が魔族に勝てるとは思えない。」
「クッ。逃がしたりしたらタダじゃ置かないぞ。」
「逃がすつもりはありません。聞きたいこともありますし。」
「それでは明日の朝、公爵邸に乗り込むぞ。」
「殿下はついてこないでくださいね。」
「え〜、私も行きたかった。」
「子供ですか。駄々をこねない。」
「チェ、ケチだな〜。」
こんなのが王太子って、この国大丈夫か？
頭痛くなってきた。
