331話 告白
帰りの馬車の中、2人は向かい合って座っていた。
「メイさん、俺と結婚してください。」
「……は?なぜ急にそんな事を?」
「俺は強い女性がタイプなんです。それにメイさんはピッタリ合致するんです。」
「…そうですか。」
「特定の相手でもいましたか?」
「いませんけど、今はそんな事を考えている場合では無いので、お断りします。」
「え〜、俺こう見えても皇族ですよ?」
「命を狙われているような皇族と結婚って危険以外の何物でもないじゃないですか。」
「まあ、確かに。」
「私は諦めてください。私はその想いに応えられない。」
「俺は諦めが悪いと言ったらどうします?」
「勝手にすればいいんじゃないですか?」
「じゃあ、勝手にします。」
「物好きですね。」
「貴族の趣味はどこかズレているものです。」
「自覚はあるんですね。」
「俺はマシな方だと思ってますよ。」
「そこまで変わらないと思いますよ。」
「そうですかね?…無言で頷かないでくださいよ。」
そうこうしていると学園都市が見えてきた。
「やっと着きましたね。座りっぱなしは身体が痛くなります。」
「メイさんの高速移動よりはマシだと思うな。」
「それ以外の移動方法もあるんですけど。」
「嫌な予感がするので遠慮しときます。」
「そうですか。」
学園に着いたメイ達は学園長室まで行くことになった。
「待っておったぞ。」
「お久しぶりです。学園長」
「うむ、面と向かって話しをするのは久しぶりじゃな。それで、新しく編入する子とはその子かの?」
「はい。色々事情があるので突っ込まないでもらえるとありがたいです。」
「殿下から話が来た時点で詮索するつもりはない。名前を聞いてもいいかの?」
「俺はイガレスです。」
「ではイガレス。もうすぐ夏休みでな、夏休みの間に編入の手続きをする必要がある。書類を用意したから書けるところだけ書いて提出してくれ。」
「分かりました。」
「では、王立学園にようこそ。この学び舎で君が人間として成長出来ることを願っている。」




