330話 年下に見られがち
メイはヘイミュート辺境伯の下を訪れ、事の顛末を報告した。
「帰ってくるのが早いと思ったら、第二皇子を保護しているとは、仕事早いね。」
「偶然ぶつかった人物が皇子だったんですよ。驚きましたよ。」
「うん、私も驚いてるよ。」
「皇子を殿下の下に送ればいいのでしょうか?」
「そうだね。そこら辺は私も指示を受けている訳ではないからね。とりあえず、王都の屋敷と馬車を用意しよう。少し待っていてくれ。」
「あの人、信用できるのか?」
「辺境伯様とは契約を結んでいます。その契約が破られる事はありません。」
「それはどうして?」
「辺境伯領の戦力では私を抑える事が出来ないからです。あの方はそんな無駄な事はしません。」
「国境守備隊を持っていも勝てないんだ。」
馬車に乗って王都に着いたメイ達は王都邸にイガレスを待機させ、王太子に会いに行くことにした。
「帰ってくるのが早かったね。」
「はい。2つの任務の内その内の1つを達成しました。」
「それは本当かい?」
「はい、第二皇子の保護を完了しました。」
「今はどこにいるんだい?」
「王都邸に滞在しています。」
「では、私が向かうとしよう。」
王都邸に訪れた王太子はイガレスと話をした。2人だけの密会をしたいらしく、全員が部屋の外に追い出された。
数時間後、部屋の扉が開き、2人が出てきた。
「メイ嬢、彼を学園都市まで送ってくれないか。」
「殿下の好意で王立学園に在籍させてもらえる事になったんだ。」
「コラコラ、先輩には敬語を使わないといけないよ。」
「え?メイ…さんは何歳なんだ…ですか?」
「私は今年15になりますよ。」
「え!年下だと思ってた。俺の1歳上だったのか。それじゃあ、よろしくお願いしますね先輩。」
「接点は少ないと思いますが、よろしくお願いします。」
「というと?」
「私、よく授業を休むので学園にいない時が多いんですよ。」
「それは学生としてどうなんだ、ですか。」
「私もどうかと思うんですが、そこの殿下が今回みたいな任務を頼んできたり、色々あって行けないんですよ。」
「まあ、仲良くするように」
「先生じゃないんですから。というか1番仲良くする気が無い人にそんな事言われても説得力皆無なんですが。」
「そんな事は無いさ。私はとても仲良くしたいと思っているよ。博愛主義者だからね。」
「絶対嘘じゃないですか。はぁ、こんな話をしていても時間の無駄ですね。それでは帰ることにします。」
「さっき馬車を用意したからそれを使って帰るといい。それではまた会おうじゃないか。」
「…結構フランクな人だな…ですね。」
「無理して敬語使わなくていいですよ。話が進まないので。」
「敬語慣れてなくて…」
「あの方がフランクなのは利用価値があると考えているからです。あれを鵜呑みにすると痛い目を見ますよ。」
「めっちゃ怖いじゃん…」
「私達も帰りましょうか。」
メイ達は屋敷の前に止まっていた馬車に揺られ、帰っていくのだった。




