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前世で魔法使いだった俺、異世界で美少女になる  作者: マーベ
10章 中等部3年生前編
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321話 トラウマ

「これで準備はすみましたから帰りましょうか。」

「え、これで終わりなのか。」

「犯人が分からないのでどうする事もできません。なので分かるまで動けないし、動きません。」

「じゃあ、街に行くわよ。途中で美味しそうなお店を見つけたの。」

「ちょっと待て。聞きたいことがある。」

「先に行っててください。すぐに行きます。」

「早く来てねー」


「それで、俺を連れ回した理由はなんだ?何も考えてないって訳じゃないだろ?」

「そう警戒しないでください。別に暗殺やスパイをさせる訳ではないですから。先生には黙っていて欲しいんです。彼らは学園に入り込むでしょう。それが勢力を拡げる上で簡単な方法ですからね。」

「俺にそれを見過ごせって言うのか。」

「彼らもそこまで無茶な事はしないでしょう。そんな事をすればどうなるか、彼らのボスは分かっていますからね。」

「だからってそんな事…」

「清濁併せ呑む事は人生を生きる上で必要な事ですよ。あなたも経験があるでしょう?」

「お前、何を言っている!」

「忘れているなら私が思い出させてあげましょう。あなたは冒険者だった時、仲間を…」

「やめろ!やめてくれ…アレは!俺は悪くない…ああああああああぁぁぁ!」

「ええ、あなたは何も悪くない。悪いのは魔物。仕方がないですよね。」

「ああ…悪いのは俺じゃない」

「そうです。仲間なんかよりも自分の方が大事ですよね。自分のために見て見ぬふりをするのも仕方がないこと。」

「そうだ…見て見ぬふりをするのも仕方がない…」

「フフ、お願いしますね。」



「何を話してたの?」

「人には知られて欲しくないトラウマがある物です。それを少し刺激してあげれば…なんて」

「うわぁ、悪い笑顔ね。もしかしてメイって悪役?」

「それはどうでしょう。世界征服のような無駄な事はしないですけどね。」

「そうかしら?メイは契約を守るでしょ?その契約に縛られてってありそうじゃない?」

「さすがにそんな契約結びませんよ。」

「そっか。あ、あのお店よ。」

「クレープのお店ですか。ゆっくりお茶ができそうなお店ですね。」

「楽しみね。」


学園都市の事件と似ているという事は天理教団が関わっている可能性があるという事だ。

そして、教団関係者は目的のためならどんな事でもするという事を、メイは忘れていた。

それがどんな事態を引き起こすのかはまだ誰も知らない。

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