318話 事情聴取
「合同合宿が中止になるなんて何があったんだろう?」
「何か分かれば教えてもらえるのではないですか。」
「メイちゃん知ってるでしょう。」
「さあ、なんの事やら。」
「絶対知ってるよね。」
「何でもかんでも私が関わっていると思わないでください。」
「でもメイちゃんってそういう運命みたいな所あるよね。」
「そんな運命はいらないです。」
「師匠はトラブルメーカーだろ?」
「私は襲われているのであって自分からトラブルを作った事は無いんですけど。」
「「嘘だぁ」」
「ハモらなくていいんですよ。ブッ飛ばしますよ。」
森が安全であると言えなくなってしまったので、近くの街に移動することになった。
「2泊3日の予定なのに1日目でこんな事になったけどどうするつもりなんだろうね。」
「街に出ても良いらしいので行きましょうか。カレンも回収しないと文句言われそうですね。」
メイが外に出ようとすると、ダニエルと鉢合わせした。
「お前どこに行くつもりなんだ。」
「買い物ですけど。」
「お前は今回の関係者なんだからそんな自由がある訳無いだろ。」
「メイちゃん…やっぱり関わってたね。」
「…」
冒険者ギルドに連れてこられたメイはその時の状況を根掘り葉掘り聞かれる事になった。
「変異した魔物と遭遇したと聞いたが、触手が生えていた以外に何か違いはあったのか?」
「身体の内部にキノコが生えていましたね。」
「それで動くことができたのならアンデッドではないのか?」
「いえ、アレは聖術を使っても浄化する事はありませんでした。つまり死霊術でも呪いでもありません。」
「そんなものが存在するというのか。」
「誰かが菌が寄生した魔物を操っていたのでしょう。それが魔物なのか人間なのかは分かりませんが。」
「いくつかサンプルを採取したと聞いているが。」
「これの事ですか?1つ差し上げますよ。調査に使ってください。蓋を開ける時はくれぐれも注意してくださいね。」
「これが変異した魔物に付いていたのか?」
「変異したのは魔物ではなく、菌の方でしょう。菌が魔物の免疫を突破できるほどの能力を獲得したという事です。」
「それは、人間にも寄生できるという事か?」
「はい。現にその場に居た私達はそれらの出す胞子を吸い込み危険な状態になっていました。対処法は吸魔結界で胞子の魔力を吸収する事です。何かあればこの方法を試してください。」
「他に何か気になる事はないか?」
「一つだけ、私の気のせいかもしれませんが、以前学園都市を襲ったキラーマンティス。あの事件と今回の件は少し似ている気がします。」
「それは、この街も魔物に襲われる可能性があるかもしれないと言うことか。」
「どちらも何者かの手が加えられている事は間違いありません。どちらもそこには居ないはずの生物を運んで来ていますからね。」
「分かった。協力感謝する。この事は他言無用で頼む。」
「ええ、分かっています。無用な混乱を望んではいませんから。」
ダニエルと冒険者ギルドを出たメイ。
「キラーマンティスか。あの時は酷かったな。」
「あの時、私は察知するのが遅れていました。そのせいでロクな準備も出来ずにたくさんの人が命を落とす結果になりました。」
「アレは色んな偶然が重なって起きた不幸な事故だ。気にする必要は無い。俺だって生徒や住人が死んでいく所を見ているしか出来なかった。でも、もし。この街で同じことが起きようとしてるなら、止めるしか無いよな。」
「当然です。殺人鬼どもに好き勝手させる気はありません。」




