314話 高飛車
新学期になり、新入生も学園に慣れた頃、馬車で1日ほど掛かる森へと向かっていた。
「2泊3日の3年生と1年生の合同合宿って、そんなのありましたっけ?」
「あの時はメイちゃん休んでたよ。」
「おい、やる事分かってるのか?」
「一応ダニエル先生から教えてはもらっていますが、どうでしょう?」
「向こうに着いてから」
「3年生になると退学している人も一定数いるから1年生2人と組まないといけない人もいるよね。」
「そうだな。俺は1人がいいな。2人になるとしても素直なヤツがいいな。」
「そんな事を言っていると偉そうなのに当たるんですよね。」
「おいやめろ。ホントにそうなったらどうするんだ。」
ガタガタと揺れる馬車に揺られること数時間、ようやく目的地の森に到着した。
「うー、お尻が痛いよ。」
「座りっぱなしってのはしんどいな。」
「揺れるせいで仮眠すら取れませんでしたね。」
「お貴族様は俺らよりも良い馬車使ってるしな。カレン様の馬車に同乗させてもらえば良かったぜ。」
「男1人で乗るつもりですか。」
「俺が普段なんて言われてると思ってるんだよ。ハーレム男だぞ?」
「なんでハーレム?」
「師匠達と一緒にいたらいつの間にか名付けられてた。」
「女の子3人といるからってこと?それは、安直じゃないかな?」
「俺に言うなよ。」
「プッ…よ、良かったじゃないですか…ププッ」
「おい、笑い声が漏れてるぞ。」
「だって、ハーレムって…w」
「やめんかい!」
色々ありつつもペアが発表会された。
「クジで決めてるらしいから完全ランダムらしいんだよね。」
「頼む!1人であってくれ!…2人じゃねえかよ!」
「なんと言うか、クレソンくんって損な役回りだよね。」
「なんでだよ!」
「私は、同じDクラスの子だ。女の子かな?」
「私はAクラスの子ですね。アリュール、交換しません?」
「絶対にイヤ。」
「そもそも交換できねえよ。」
2人と別れペアの1年生と合流する。
「あなたが私のペアね。私はリアディーナ。Eクラスの無能と組まされるなんてね。せいぜい私の足を引っ張らないでよね。」
「そうですか。あなたは魔法士ですか?」
「は?アンタに関係ないでしょ。気安く私に話しかけないで。」
「はぁ…」
そんな事でこの先大丈夫だろうかと思うが、この合宿が終わると会うことも無いだろうと黙っておく事にしたメイだった。




