308話 入学試験
入学試験の日になった。
メイは魔法の試験会場にきていた。
「なぜあなた達がいるんですか。」
「どうなるか気になっちゃって」
「何人が心折られるのか気になるじゃん。」
「何だか楽しそうだったから。」
「ただの野次馬じゃないですか。」
「魔法のところも人が多いな。」
「剣術の試験会場も見てきたけど、こっちは結界があったりして大掛かりだね。」
「剣術の方は誰がいるんでしょうか。」
「フラスがいたわよ。」
「アイツ優等生だから断れなかったんだろうな。」
「おーい。ここにいたのか。そろそろ試験が始まるから準備してくれ。」
「はい。」
「というか、関係ないヤツは今日学園に来るのダメなんだが。」
「硬いこと言うなよ。師匠が心配で来たんだからよ。」
「はあ、受験生とは接触しないようにな。不正だと思われるかもしれないからな。」
「「「はーい」」」
試験が始まり、順番に受験生を捌いていく。
「5点ですね。」
採点基準に沿って10点満点で点数付けていく。
半ば作業とかした試験を行っていると、パルスの番が来た。
「なんで師匠がいるんだよ。」
「今年は試験官が生徒になったと説明があったじゃないですか。」
「そういうことじゃないんだよ。」
「それに、パルスにサプライズをしようと思いまして。」
「クラッカー鳴らすくらいのヤツで良かったんだけどな。」
「それだけでは楽しくないでしょう?」
パルスは自身に強化魔法をかけ、弱化魔法をメイにかけた。
あえてそれを受けたメイは魔法戦を展開した。
「なんで弱化してるのに、僕が押されているんだ!?」
「ほら、もっと気合い弾幕を厚くしないと突破してしまいますよ。」
必死の抵抗も虚しく、パルスはメイに敗北した。
「んー、8点で。」
最高得点が出てざわめく会場を無視し、作業…ではなく試験を再開するメイ。
自信ありげな受験生達が瞬殺され、肩を落として帰っていく様子が至るところで見られたという。
「終わるの早くないか?」
「そんなこと言われても、試験でどのような魔法を使っているのか、その魔法の射出までの速度や威力など1度見ればその人の特性が分かります。わざわざ時間を掛けることもないので、早く切り上げただけですよ。」
「そんなモンか?5点が多いな。1人だけ2点のヤツがいる。コイツ侯爵家の令息じゃないか。お前厳しいな。」
「俺は貴族だぞ!ってうるさかったのでつい。」
「あ、そう。」
「私は知り合いに会いに行くのでこれで失礼しますね。」
「ああ、ありがとな。」




