305話 よもやま話
昨日は投稿できずすいませんでした。
身内に不幸が起こり、バタバタしていました。
少しの間、忙しくなるので小説を書く時間が取れず、予告無く投稿をしない事もあるかもしれませんが、ご了承ください。
メイは事件から数日目を覚ますことはなかった。
「ん…ここは…?」
「起きたか嬢ちゃん。ここは適当な宿場町にある宿屋だ。そのマスクが全然外れなくて、帰れなかったんだよ。」
「コレですか。私以外コレを外すことが出来ないようにしていましたからね。無理矢理やれば顔の皮膚がついてきますよ。」
「いや、エグ。あの事件からすでに3日経ってる。あの後、勇者と街を歩いたんだ。たくさんの人が死んでいた。兵士もチンピラも、身綺麗なヤツも浮浪者も、ガキも老人も、みんな区別なく死んでいたよ。勇者…いや、ユリエスはこの戦いを終わらせるために、魔王に会うって言っていたよ。勇者かどうかなんて関係ない。自分がそうしたいからするんだって。目的のためなら死すらも厭わないってヤツの顔だった。でも、そう悪いことにはならないだろう。俺の予感はよく当たるからな。」
「そうですか。彼の心が折れなくて助かりました。契約もそろそろ終わりを迎えそうですね。」
「契約?」
「いえ、こちらの話です。」
「次は、嬢ちゃんの事を色々聞かせてくれ、その力のこと。闇がどうして嬢ちゃんの身体の中にあるのか。」
「そうですね。大昔の事です。当時の私は力が欲しかった。私の願いを叶えるためには強大な力が。そんな時、道端に悪魔が落ちていました。」
「初っ端から意味わからん。」
「口を出さない。最後まで聞く。それを見つけた私はどうしてこんな所に落ちているのか尋ねました。そうしたら悪魔は戦いに飽き、流れに身を任せたのだと言いました。私はいらないのならその力をくれと言いました。すると悪魔は願いを聞いてくれるなら力をやると言いました。その願いとは、自分の存在を完全に消滅させること。悪魔は再生しますから、殺しても復活します。それすら出来ないように、完全に消滅させてくれと、頼まれました。」
「それで、どうしたんだ?」
「力を譲り受けた後、私は彼を消滅させました。」
「悪魔の力なんか身体に入れて大丈夫なのか?」
「大丈夫な訳ないでしょう。彼が消滅した瞬間、私の中で強大な闇の力が暴れ回っていました。彼が制御していた力が私に牙を剥いたのです。私は運が良かった…闇の力に対抗するために、光の力がさらに強くなり、均衡を保ち始めたのですから。」
「それで両方の力が使えるようになったってワケか。」
「ええ、なんとか出歩けるようになった私はまたも困りました。魔法を使うと、力が一切制御できなくなるのです。」
「単純に考えて2倍以上に増えてるもんな。」
「これでは、味方を巻き込んで自爆特攻するだけのマヌケです。どうにか出来ないかと、考えた末に編み出したのが、剣に魔力を移すことです。剣に力を込め、振るだけで今まで以上の威力が発揮できます。それに、剣を振るう方向なども決められるので、扱いやすいという利点もあります。」
「ふーん。それが今の白銀流に繋がってるのか?」
「ええ、私は剣術を学んでいた時期もあったので、この戦い方をマスターするのにそう時間はかかりませんでした。」
「なるほどな。それは前世の話か?」
「急に何を言い出すのかと思えば」
「俺が嬢ちゃんと出会った時、すでに完成されていた。あの時、10にも満たないガキがどうやってあそこまでの強さを手に入れる?何かあると思うのが普通だろ。」
「それで探った結果が前世ですか?荒唐無稽な話ですね。」
「嬢ちゃんが話をする時は以前とか数年前という時と大昔と言う時がある。それって前世と今世を区別してるからじゃないのか?」
「変な所で察しがいいですね。」
「前世で何があったんだ?」
「色々です。一夜だけでは語りきれない程の出来事がありました。悪魔の話もその中の1つです。」
「それじゃあ、いつか聞かせてくれ。昔話を」




