303話 嫌がらせ
剣を投げ捨てたメイを見て、
「クヒヒ。あ、みんなもう起きていいよ。」
ランメルがそう言うと、魔族達がムクリと起き上がった。
「…身代わりの魔道具ですか。」
「正解!3つも持っていかれるなんて、大赤字だよ。クヒヒ」
「まさか、あんな一瞬で殺られるとは思っていなかったが、用心はしとくべきだな。」
「魔法を使おうなて考えるなよ。さすがにこの距離だ、俺たちの方が速い。」
「…」
「それじゃあ、やっちゃって!」
「な!おい!卑怯だぞ!無抵抗の人に手を出すな!」
「ゴメンね?アイツは私たちにの手に負えないバケモノだからさ。殺しとかないといけないんだ。クヒヒ」
魔族達は黒いオーラを放つ短剣を取り出し、メイに突き刺した。
黒いオーラはメイの中に流れ込んでいくと、ドンドンメイの顔色が悪くなっていく。
「グ!うぅ…ハァ…ハァ」
フラフラとしながらも、まだ意識を手放すことはないメイ。
「うーん。まだ耐えるねぇ。もう一本いこうか。クヒヒ」
「そらよ。」
グサリとメイの背中に短剣が突き立てられた瞬間、メイは絶叫した。
「あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「彼女に何をしたんだ!」
「闇を注入したんだよ。アレはもう君の知っている使徒様じゃない。闇の力を使って暴れる怪物さ。エネルギーが切れたら勝手に止まるから、心配しなくていいよ。2本刺したから2週間くらい暴れるけどね。」
「なんてことを!クソ!離せ!」
「いいよ。私たちもここにいれば危険だから、余計な荷物は持っていけないからね。君はここでアレに殺されるのさ。勇者がどれだけ特別でもアレには勝てない。それじゃあ、さようなら。みんな行くよ。クヒヒ」
「おい!待て!クソ、どうすれば」
ユリエスが悩んでると、カイトがガレキから出てきた。
「う…頭がクラクラするぜ。」
「お兄さん!?ちょうどいいところに!」
「どうしたんだ?」
「使徒様をなんとかしたいんです!闇の力を注入されたせいで、暴走しているらしくて…」
「なるほどな。黒幕のヤツらは?」
「空を飛んで逃げちゃいました。ほら、アソコに黒い点が見えるでしょう。」
「ホントだ。ん?アレはランメルじゃないか!また逃げられたのかよ!!今は追いかけられないが嫌がらせはしてやる。俺が唯一覚えた魔法を喰らいやがれ!狙撃」
カイトの放った魔法は飛距離が長いため減衰しつつも、ランメルにヒットし、撃ち落とした。
「よし!コレでスッキリ。後は…嬢ちゃんの方か。本気でやり合うことは無かったな。今回は俺が助けてやるよ。」
メイは自分で捨てた剣を拾い、臨戦態勢に移っていた。
「なんて殺気だ…!」
「呑まれるんじゃない。そんなモノは気のせいだ。相手を見極めれば、惑わされることは無い。俺の師匠の言葉だ。」
「は、はい!」




