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前世で魔法使いだった俺、異世界で美少女になる  作者: マーベ
9.5章 勇者の選択
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296話 とっておきをプレゼント

「そこにいるのは誰だ!」

「おいおい、生き残りがいないか見に来たら人間がいるじゃないか。外には興味無いなんて言ってた癖に人間と繋がってたのかよ。潰しといて正解だったぜ。」

「お前らがこんなことをやったのか。どうしてだ!」

「あ?俺たちに協力しないとか言うからよ。ムカついて潰したんだよ。弱っちい癖に逆らうからこうなるんだよ。」

ギリッと歯を噛みしめる。

「なんだ、怒ってるのか。ハッハッハ!テメェとは関係ないだろうが。」

「コイツらはただココに住んでいたんだろうが、わざわざ襲う必要なんて無かっただろうが!」

「弱いから死んだ。ただそれだけだろう。ま、お前にも死んでもらうがな。」

「なんでこうなるんだ。」

「何被害者ぶってるんだ。先に手を出したのは人間だろう。」

「何だと?」

「わざわざ俺たちの領域に入ってきて殺し回ったのは人間だ。」

「だからって無関係なヤツらを襲うのは違うだろ!」

「議論するツモリはない。死ね。」


魔族の移動速度はカイトの反応速度よりも速く、カイトは当たる寸前に身体を反らすことしか出来なかった。

「ウグッ!」

「弱い、弱いねぇ。いや、人間からしたら強いのか?」

「クソ、やるじゃねえか。」

「せいぜい俺を楽しませてくれ。」



魔族はカイトよりも強く、体術だけでカイトは圧倒されてしまっていた。

「おいおい、もうちょっとなんとかならないのかよ。弱すぎてアクビが出るぜ。」

「今までのは準備運動だ。とっておきをプレゼントしてやる。炎剣«炎の吐息(バーニングブレス)»」

「おっと」

「油断大敵だよな!」

「な!炎の中を突っ切っただと!チッ!」

「やっと一撃入れられたぜ。」

「ふざけるな!ただのカスリ傷だ。調子に乗るんじゃねえ!」

「怒るなよ。怒るから、お前は負けることになる。」

「何だと!ふざけた事を!」

「風剣«風撃(ウィンドシュート)»」

「風の魔法だと?2本も魔剣を持っているとはな。」

「どんどんいくぜ。混合魔剣術«火炎旋風(バーニングトルネード)»」

「これは、さすがにマズイか。暗黒術«死爪(デスクロー)»」

「結構大技撃ったツモリなんだが、打ち消されるとはな。」

「貴様ごとき、本気を出すまでもないのだ!」

「いや、そろそろ終わりだ。」

「何を言っている…何だこれは…身体が痺れ…」

「周りを見てみろ。俺は風を使って煙をお前の周りに集めていたんだ。」

「そんなことで…!」

「たかが煙だと思うだろ。でも、火事で1番危険なのは火ではなく、煙なんだ。魔族も生物だ。呼吸をしなければ、死んじまう。だが、呼吸する時に煙を吸い込めば、自滅するって寸法だ。」

「俺は死ぬのか…こんな所で」

「そうだ。お前は俺に殺される。報いを受けることだ。」

「そう…か。」

魔族は呼吸困難で息を引き取った。

かなり苦しかったはずだが、死に顔は満足気に見えたのだった。

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