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前世で魔法使いだった俺、異世界で美少女になる  作者: マーベ
9.5章 勇者の選択
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293話 スキンシップ

王国の北部は人口が極端に少ない。

冬の寒さが厳しく、山脈が横たわっているからだ。

土地は肥沃で作物を大量に生産できるため、王国は北部の開発を推し進めているが、ヘイミュート辺境伯領の大森林の数倍以上の森林地帯が広がっており、人間を阻んでいる。

そのため、逃亡犯などが入り込むと探索は難しく、生死を確かめることすら不可能になってしまう。


勇者視点


「ここが有名な北部の森林地帯かー。別名魔の森なんて言うんですよね。」

「そうだ。この北西部は魔物が弱めだから、訓練にちょうどいいんだ。」

「そうなんですね。」

「山を1つ越えると魔物の強さが数段上がる。遭難してもあの山を越えちゃダメだ。分かったな。」

「はい!」

「いい返事だ。今日は山篭りの準備をして、明日山に入るぞ。」




メイ視点


「春休みを使って魔族狩りをしますよ。」

「物騒だなぁ。もうちょっと女の子らしいことしようと思わないのかよ。」

「ただのハイキングじゃないですか。少しアウトドアな女の子ですよ。」

「虐殺しに行くのにハイキングて…」

「もちろん狩る魔族は王国を潰してやろうと思っている魔族だけですよ?」

「知ってるよ。嬢ちゃんが無駄な殺しをやるようなヤツじゃないってことは理解してる。」

「それは良かった。」

「色々探した結果、北部以外の敵対魔族はほとんど一掃したので、後はちょちょいと掃除をすればいいだけなんですよ。」

「その説明を北部に来る前にして欲しかったと思うのは俺だけか?」

「2人しかいないので聞かれても知らないです。」

「知らないです。じゃねえよ。…で捜索範囲は?」

「魔の森のいわゆる中層というところまでですね。植生なんかも変わっているらしいので、分かりやすいと思います。」

「なるほどな。どれくらいかかる目算だ?」

「1週間あれば粗方できる予測ですけど。」

「1つの地域を?」

「北部全体を。」

「バッカじゃねえの!?」

「そんなに興奮しないでください。」

「驚いてるんだよ!!」

「とにかく、カイトは北東部の捜索をお願いします。北東部は少し強めの魔物が出ますが、カイトなら楽に倒せるでしょう。魔族を見つけた場合、その場所を地図に記してください。」

「俺よりピーターを連れてきた方が良かったんじゃないか?」

「ピーターは指名依頼が入ったらしく、予定が合いませんでした。」

「俺もなんか予定入れとけば良かった。」

「まあまあ、サキさんの下着あげますから機嫌を治してください。」

「なんで持ってるんだよ!」

「なぜか荷物に紛れ込んでたんですよね。」

「なんで紛れ込んでんだよ。」

「さあ?…これ、いります?」

「……いらないし。」

「葛藤が見てとれる…まあ、カイトなら脱ぎたてホヤホヤを貰えますもんね。」

「貰わねえよ!?…セクハラはダメだと思います。」

「スキンシップですよ。」

「物は言いようだな、おい。」

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