番外編 カレンが根源魔法を習得するまで 2
紆余曲折がありながらも、領都にたどり着いた2人。
「こっちが私の部屋ね。」
「どんな本なの?」
「題名は『世界の根源にある大いなる力』だったかしら。古くてぶ厚い魔導書なんだけど。私の部屋にはそういうのがたくさんあるから、探しにくいのよね。」
「そうなんだ。ちょっとだけ私の部屋に行ってもいいかな?取ってきたい物があるの。」
「じゃあ、私は魔導書を探してるから、目当ての物を取ってきたら私の部屋に来てくれるかしら。」
「分かったわ。」
アレでもないコレでもないと部屋中を探し回るが目当ての魔導書は見つからない。
「あれ?魔導書は捨てずに置いてたはずなんだけど…」
「見つからないの?」
「そうなのよ。そう言えば、何を取りに行ってたの?」
「これよ。この魔宝石を取りに行ってたの。」
「すごい純度ね。」
「お母様の形見なんだけど、それをもらった時の私はまだ未熟だったから、もっと強くなってから取りに行こうって思ってたのよ。」
「そうなの。ちなみにお母様の肖像画とかある?」
「あるわよ。これ」
「ああ、これは将来有望だわ…」
「?」
「…まあいいわ。魔導書は私の部屋中を探したんだけど、見つからなかったわ。ホントにどこ行ったのかしら?」
「孤児院にあるとかはない?」
「全部持ってきたと思うんだけど…手がかりも無いし、行ってみましょうか。」
「シスター、いる?」
「「あ、サキ姉ちゃんだ!」」
「おー、元気にしてたかチビッ子共ー」
「みんな元気だぜ!」
「それは良かったわ。」
「サキそれにカレン様。久しぶりですね。」
「シスター、久しぶり。」
「ご無沙汰しています。」
「今日は何か用があって来たのですか?」
「実は、魔導書を探してて、ここにあるかもと思って来たの。」
「魔導書?…そう言えば、何冊かサキに借りたまま返せなかった本があります。その中にあるかもしれません。」
「そういえば貸した事があったような無かったような…」
「取ってきますから少し待っていてください。」
子供たちとじゃれ合うこと数分後、シスターが3冊ほどの本を持ってきた。
「これですよ。」
「あ!あった!これよこれ!シスターがこの本を持ってたんだ。間違って捨てられてなくて良かったー。」
「この本を探してたのですか?ごめんなさい」
「いいのよ。貸してた私が忘れる方が悪いんだから。」
「これでやっと根源魔法のことを勉強できるわね。」
「騒がせちゃってごめんね。」
「いいのよ。お母様の形見を取りに行くきっかけになったしね。」
「よし、これからビシバシ特訓…の前に帰りましょうか。」
「そうね。」




