29話 メイド見習い
王太子の護衛をすることになってしまった。
今、城にある一室に連れてこられた。
王太子の部屋の近くらしく、ここが待機所しなるらしい。
うわ、すごい豪華。落ち着かないかも。
護衛は王太子の側にいればいいらしい。
皆忘れてるかもしれないけど、私まだ8歳なんだけど。
8歳に護衛させるってなかなかだよ?
暗殺の護衛とか得意なんだけどね。
「メイ嬢、これからよろしく頼む。」
「はい。精一杯務めさせていただきます。」
「そう硬くなる必要はないよ。」
「これが普通なので。」
「そうなのか。敬語を無くして、名前で呼んで欲しかったんだけど。」
「さすがにそれは。」
「冗談だよ。それじゃあ。」
王太子は自室へと向かって行った。
その日は何事もなく朝を迎えた。
「殿下おはようございます。起きてください。」
何故か、王太子を起こしに行かされた。
メイドの仕事では?
ってなかなか起きないな。
「殿下起きてください!」
「スースーZzz」
「殿下!」
何度も揺すったが起きる様子はない。
いい加減にしろ。
雷魔法«感電»
バチバチ!
「ぎゃあああ!な、何が!あれ?なんでメイド服着ているの?」
「それも含めてお話があります。いいですよね。」
「は、はい。」
「で、どういうことなんですか?」
「実は、メイド長には新人のメイド見習いだって説明したんだ。君が城にいても不自然じゃないように。何か怒ってない?」
「当然です。いきなりメイド服なんて着せられたんですよ。」
「すいません。」
「はぁ、だから私はメイド服を着て掃除をやらされて、殿下を起こしに行かされたと。」
「そういうことだよ。ちなみに君は私のお気に入りってことにしといたから、近くにいても不自然じゃないよ。」
「最初に言ってもらいたいんですけど。」
「済まない。何分急なものだったもので伝えるのを忘れていた。」
「はぁ、護衛とメイドの給金しっかり貰いますからね。」
「わかってるよ。ただ、あの起こし方は出来ればやめていただけると。」
「なら、早く起きてください。」
「私は朝が弱いのだよ。」
「なら、いいじゃないですか。朝、スッキリ目が覚めますよ。」
「私、感電死しない?」
「しませんよ。人間が痛いと感じるギリギリまで弱めているので。そんなに心配なら早く起きればいいんですよ。」
「そんなぁ。」
「私、殿下のお気に入りだと思われてるんですよね?」
「ああ、そうだよ。」
「皆さんに変な勘違いされる前にお暇させていただきます。」
「ああ、そうだね。頑張ってくれたまえ。」
ギロッ
「ピッ!」
スタスタ
「怖すぎでしょ。」
「あの新人のメイって子、殿下のお気に入りだからって調子乗ってるよね。」
「そうだよね。さっきも殿下のお部屋に行ってたみたいだし。」
「あんな子供より、私の方が絶対魅力的なのに。」
「年下が好きなのかな。」
「いいなー。私も玉の輿に乗りたい。」
「本当にそれ。ウザいよね。」
大声で話すなよ。てか、仕事しろよ。
あんな感じで私は嫌われているらしい。
「二人とも、頼んでいた仕事は終わったんですか?」
「げ、メイド長。」
「もう少しで終わります。」
「無駄話をせずに早く終わらせてしまいなさい。」
「「はい。」」
メイド長も感情を表に出さないが、私の事は良く思ってはいないだろう。
どうなることやら。
雷魔法«スパーク»・・・本来は標的を感電死させる魔法。メイは、少し痺れるくらいの威力に弱めて、使用した。