275話 誘拐
カイト視点
「挟み撃ちで行くぞ!」
「おうよ!」
息のあったコンビネーションで攻撃を繰り出すカイトとピーター
「クヒヒ、さすがに、キツいかな。おっと危ない。」
「避けんじゃねえよ!」
「避けないと死ぬでしょ。というかそっちこそ避けてるじゃないか。」
言い合いをしながらも戦いが止まることは無く、むしろ徐々に激しさを増していった。
だが、その均衡はランメルに傾いていった。
「なんだこれは…」
「身体が、動かない…」
「もう忘れちゃったのかな。僕の得物は毒だよ。クヒヒ」
「対策はしていたはずなんだがな。」
「2人でも攻めきれなかったのに、毒に侵された身体で勝てると思うのかい?クヒヒヒ」
「やるに決まってんだろう。お前はその毒でたくさんの人を不幸にする。絶対に許しちゃなんねえんだ。」
「そこまで想っていてくれるなんて嬉しい限りだよ。クヒヒ、でも、本当にキミに用があったのは僕じゃない。」
「どういうこと…!ガハッ!」
カイトの胸からは銀色に光る刃が生えていた。
「カイト!?お前、何を!」
「邪魔したらダメだよ。クヒヒ」
「グ…お前、なんでだ…サキ!」
「久しぶりね。でも仕方なかったの。あなたを私だけのモノにするには、こうするしかなかった。」
「…お前、サキじゃない。身体はサキなのに、中身がまるで違う。」
「正解!よく分かったわね。でも、カイトなら見抜いてくれると思っていたわ。」
「お前は何者だ!?サキに何をした!」
「私はアナ。サキが作り出したもう1つの人格。サキは私の中で眠っているわ。いつ目覚めるのかは知らないけどね。それじゃあカイト、私とあなたの家に帰りましょう。」
「うわああぁぁぁ!!」
「カイト!クソ!邪魔するな!」
「毒を喰らってもそんなに動けるなんてまさにバケモノだね。クイーンもやられたみたいだし、僕も帰るとするよ。」
「待て!逃がしてなるものか!」
「無理しない方がいいよ。毒で死んじゃうからね。クヒヒ」
メイが到着する頃には敵はいなくなっていた。
「ピーター、カイトはどこですか?」
「連れていかれてしまった。俺は、何もできなかった。」
「ピーター、あなたも酷い怪我をしているじゃないですか。それだけ必死に喰らいついたのでしょう?」
「俺たちには油断があったんだ。そこをつかれた。」
「命があるなら次、同じ失敗をしないようにすればいいんです。幸いカイトには試作の発信機を渡していたので、場所は分かります。なので、対策していきましょう。」
「そうだな。」